データ分析 Data Analysis

3歳馬も参戦する牝馬のマイル戦

毎年7月上旬に行われる牝馬限定のマイル戦。時期的に3歳馬も出走できることが一つのポイントともなっており、6月の関東オークスJpnIIから参戦してくる馬もいる。また、南関東馬がほぼ毎年のように好走しており、3着以内に入らなかったのは過去10年で3回のみ。地方馬の活躍も期待できる一戦を、ここでは2013~22年の過去10回から傾向を見ていく。

南関東馬は好走例多し

過去10回中9回でJRA馬が勝利しているが、3着内まで範囲を広げてみると、南関東馬が1勝、2着2回、3着5回と8回馬券絡み。このうち3回を大井のサルサディオーネ(1勝、3着2回)が占めるものの、2019年には11番人気のローレライ(大井)が3着に入った。また、直近4回は毎年、大井所属馬が馬券絡みしている。【表1】

【表1】所属別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
JRA 9 8 5 17 23.1% 43.6% 56.4%
大井 1 2 4 13 5.0% 15.0% 35.0%
浦和 0 0 1 9 0.0% 0.0% 10.0%
川崎 0 0 0 15 0.0% 0.0% 0.0%
船橋 0 0 0 16 0.0% 0.0% 0.0%
上記以外 0 0 0 16 0.0% 0.0% 0.0%

まずは1番人気の取捨

勝ち馬は過去10回すべてで3番人気以内から出ており、一見堅い決着になりやすい一戦に思えるが、注目したいのは1番人気が4着以下に敗れた3回のケースで、いずれも万馬券となった。具体的には、2014年は1番人気エスメラルディーナが7着に敗れ、3→2→7番人気で3連単12万6170円、17年は1番人気ホワイトフーガが4着、2→4→5番人気で3連単2万6480円、21年は1番人気テオレーマが6着、2→3→6番人気で3連単1万5540円だった。【表2】

【表2】単勝人気別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1番人気 5 1 1 3 50.0% 60.0% 70.0%
2番人気 3 2 2 3 30.0% 50.0% 70.0%
3番人気 2 4 2 2 20.0% 60.0% 80.0%
4番人気 0 2 1 7 0.0% 20.0% 30.0%
5番人気 0 0 1 9 0.0% 0.0% 10.0%
6番人気以下 0 1 3 62 0.0% 1.5% 6.1%

3歳は古馬との斤量差がカギ

5歳馬が最も勝利を挙げているのは他の牝馬限定ダートグレードの多くと同じ傾向。それに加えて、スパーキングレディーカップJpnIIIでは3歳馬の扱いが一つのポイントとなるだろう。実施される7月はJRAでも3歳馬が古馬混合で戦うようになってまだ約1カ月というタイミングで、斤量面での恩恵がある。しかしながら、2014年7着エスメラルディーナ、16年3着タイニーダンサーは関東オークスJpnIIを制覇しており、その分の斤量が加算されていた。対して過去10回で唯一、3歳として勝った17年のアンジュデジールは重賞未勝利だったため、52kgでの出走。グレード未勝利の古馬と3kgもの斤量差があったことは追い風になったと言えるだろう。【表3】

【表3】年齢別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
3歳 1 1 1 6 11.1% 22.2% 33.3%
4歳 2 3 3 18 7.7% 19.2% 30.8%
5歳 5 4 2 34 11.1% 20.0% 24.4%
6歳 1 2 3 14 5.0% 15.0% 30.0%
7歳 1 0 0 11 8.3% 8.3% 8.3%
8歳 0 0 1 3 0.0% 0.0% 25.0%

地方勢は馬体重にも注目

過去10回で地方馬が3着以内に入ったのは[表1]のとおりのべ8回(5頭)。そのうちサルサディオーネ、ララベル(2017年2着)、グランデストラーダ(21年3着)の3頭は馬体重が500kgを超える大型馬だった。また、16年2着ブルーチッパーもレース当日491kgと馬格に恵まれたタイプで、地方馬を狙うなら実績に加えて馬体重も判断基準の一つに加えてもいいだろう。

勝つのはこういう馬!

勝つのはJRA馬と考えていいだろう。唯一、地方馬として勝ったサルサディオーネもJRAデビューだった。3歳馬が出走してくればグレード未勝利が好走条件だが、17年1着アンジュデジールは関東オークスJpnII・2着馬であり相応の実績は必要だろう。地方勢を狙うなら大型馬が一つの基準となる。

(文・大恵陽子)

過去20年の所属別成績

  • 1着

  • 2着

  • 3着

注記

当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。