データ分析 Data Analysis

金沢唯一のダートグレード競走

今年で第43回を数える白山大賞典は、金沢競馬の秋を彩るビッグレース。1997年からダートグレード競走として行われている。距離はその年から2100m、時期も概ね9月下旬から10月上旬の間で大きな変更なく行われてきた。ここでは、過去10年のデータを紐解き、勝ち馬検討の一助としたい。

JRA勢が圧倒

過去10年、優勝は全てJRA所属馬。3着内で見ても、JRA勢が圧倒している。地方所属馬で活躍したのは、南関東のサミットストーン(2014年2着)とミューチャリー(21年2着)、そして愛知(東海)のカツゲキキトキト(17年2着、18年3着)。全てそれまでにダートグレード競走で3着内があり、地方馬の活躍は、それほどまでの高い実力と実績がないと難しい。[表1]

[表1]所属別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
JRA 10 7 9 23 20.4% 34.7% 53.1%
南関東 0 2 0 3 0.0% 40.0% 40.0%
東海 0 1 1 16 0.0% 5.6% 11.1%
金沢 0 0 0 29 0.0% 0.0% 0.0%
その他 0 0 0 11 0.0% 0.0% 0.0%

JRA勢同士でもやや波乱含み

1番人気馬は、過去10年で4勝している一方、半数の5回も馬券圏内を外しており、決して堅い決着ばかりのレースとは言えない。2番人気の連対率が高いが、概ねJRA所属馬が占める5番人気まで互角に馬券に絡んでおり、過去10回の3連単平均配当は6873円。JRA勢が上位を占める決着がほとんどでも""ガチガチ""とは言えない数字。1万円以上の配当も過去5年で3回も出ており、JRA勢の取捨を慎重に吟味したい。
6番人気以下の馬の馬券絡みはゼロ。前出の地方競馬所属の活躍馬も、サミットストーンとミューチャリーがいずれも2番人気で、カツゲキキトキトは2回とも5番人気だった。人気薄の地方馬で高配当を狙う作戦は、得策ではなさそうだ。[表2]

[表2]人気別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1番人気 4 0 1 5 40.0% 40.0% 50.0%
2番人気 2 6 1 1 20.0% 80.0% 90.0%
3番人気 0 1 4 5 0.0% 10.0% 50.0%
4番人気 3 2 2 3 30.0% 50.0% 70.0%
5番人気 1 1 2 6 10.0% 20.0% 40.0%
6番人気以下 0 0 0 62 0.0% 0.0% 0.0%

5歳馬は不振、3歳馬が健闘

馬券圏内のほとんどを占めるJRA所属馬に絞って年齢別の成績を調べると、目立つのが5歳馬の不振。具体的な要因はハッキリしないが、重賞勝ち含め実績十分だったソロル(2015年)や、前年に続く当レース連覇を狙ったマスターフェンサー(21年)がともに1番人気で敗れるなどの例があり、意識はしておいた方がいいかもしれない。4歳馬の成績が若干良いが、季節的に古馬混合で戦い始めたばかりの3歳馬の奮闘ぶりも見逃せない。
なお、一見好成績に見える7歳以上の3着内7回のうち、3回がエイシンモアオバーによるもの(2013年から15年に1、1、2着)であることを付記しておく。[表3]

[表3]JRA所属馬の年齢別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
3歳 2 1 2 3 25.0% 37.5% 62.5%
4歳 3 2 0 2 42.9% 71.4% 71.4%
5歳 0 2 2 10 0.0% 14.3% 28.6%
6歳 2 1 2 4 22.2% 33.3% 55.6%
7歳以上 3 1 3 4 27.3% 36.4% 63.6%

前走エルムS組が好相性

JRA所属馬の前走別成績では、エルムSから当レースへ転戦してきた馬は、過去10年でのべ14頭。サンプル数が多い中で4勝、3着内率50%以上なら、十分好相性と言えそうだ。ただし、この路線で臨んだ活躍馬は、敗退からの巻き返しが目立つ。前走でエルムS・5着以内馬の当レース成績が【1-1-1-5】であるのに対し、6着以下からは【3-0-2-1】。二桁着順からの巻き返しも3例(2014年エイシンモアオバー1着、17年クリノスターオー3着、20年ロードゴラッソ3着)あり、大敗馬であっても注意が必要だ。[表4-1]
また、過去の実績をダート1800mを超える距離の重賞に絞って調べると、そこでの優勝経験がある馬が7勝と優勢。長距離重賞での実績は、重要な検討材料の一つと言っていい。[表4-2]

[表4-1]JRA所属馬の前走別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
マーキュリーC 2 0 2 6 20.0% 20.0% 40.0%
ブリーダーズGC 0 2 1 0 0.0% 66.7% 100.0%
その他地方DG 1 0 1 1 33.3% 33.3% 66.7%
エルムS 4 1 3 6 28.6% 35.7% 57.1%
レパードS 1 1 1 2 20.0% 40.0% 60.0%
その他JRA重賞 0 3 1 2 0.0% 50.0% 66.7%
JRA特別 2 0 0 6 25.0% 25.0% 25.0%

[表4-2]JRA所属馬のダート1800mを超える距離での重賞実績別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
優勝経験あり 7 3 5 8 30.4% 43.5% 65.2%
2、3着経験あり 0 1 1 5 0.0% 14.3% 28.6%
出走経験あるが3着内なし 2 1 1 5 22.2% 33.3% 44.4%
出走経験なし 1 2 2 5 10.0% 30.0% 50.0%

勝つのはこういう馬!

JRA所属の3歳馬または4歳馬で、ダート1800mを超える距離の重賞の勝利実績がある馬。前走エルムSから転戦して来た馬は着順問わず要注目。

(文・坂田 博昭)

過去20年の所属別成績

  • 1着

  • 2着

  • 3着

【注記】馬インフルエンザ流行の影響により、金沢所属馬限定の地方重賞となった2007年を除いたデータとなります。

注記

当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。