データ分析 Data Analysis

秋のダートマイル王決定戦

ダート1600mでの頂上決戦は、上半期がJRA東京競馬場で行われるフェブラリーステークスGIで、下半期がマイルチャンピオンシップ南部杯JpnI。どちらも左回りのワンターンで行われる。その条件は各馬の実力が十分に発揮できる舞台。今年も上位拮抗の熱い戦いが展開されることだろう。その一戦の傾向を、2013~22年の過去10回の結果をもとにみていくことにする。

JRAが圧倒的

JRAとの交流になった1995年以降、地方馬の勝利は98年のメイセイオペラ、2002年のトーホウエンペラーという、日本競馬史に名前を残す岩手所属の名馬だけ。03年以降はJRA馬が20連勝中となっている。過去10回における1着の内訳は、関東馬が4勝で関西馬が6勝。出走数と3着以内の回数は関西馬が圧倒しているが、関東馬は出走数が少ないぶん、勝率36.4%、連対率54.5%と好成績を挙げている点は覚えておきたい。なお、地方所属で唯一、3着に入ったのは20年の大井・モジアナフレイバー。22年は兵庫のイグナイターが、先行策から4着に粘る惜しい内容を見せた。【表1】

[表1]所属別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
JRA関西 6 8 9 32 10.9% 25.5% 41.8%
JRA関東 4 2 0 5 36.4% 54.5% 54.5%
南関東 0 0 1 5 0.0% 0.0% 16.7%
上記以外 0 0 0 78 0.0% 0.0% 0.0%

上位人気馬が優勢だが

単勝1番人気の3着内率は90.0%。2番人気は80.0%と上位人気馬の信頼度は高め。しかし3番人気は1着と2着がゼロという特徴的な傾向を示している。ちなみに1995年以降での3番人気の勝利は2回(98年メイセイオペラ、2005年ユートピア)で、4番人気の勝利も2回(10年オーロマイスター、19年サンライズノヴァ)だけ。20年はアルクトスが6番人気で勝利したが、基本的には上位人気が優勢だ。ただ、最近3年は6~7番人気が3着以内に1~2頭入っているという点には要注意。また、17年は1→7→5番人気の順で入り、3連単が12万円を超える配当となった。【表2】

[表2]単勝人気別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1番人気 6 2 1 1 60.0% 80.0% 90.0%
2番人気 2 4 2 2 20.0% 60.0% 80.0%
3番人気 0 0 1 9 0.0% 0.0% 10.0%
4番人気 1 1 2 6 10.0% 20.0% 40.0%
5番人気 0 0 3 7 0.0% 0.0% 30.0%
6番人気以下 1 3 1 95 1.0% 4.0% 5.0%

5歳と6歳が中心

8歳以上で勝利したのは2013年エスポワールシチーだが、09、12年にも勝っており実績的に別格の存在。基本的には4勝、2着4回の5歳と、2勝、2着4回の6歳が中心だ。ちなみに17年に7歳で勝利したコパノリッキーも16年に続く2勝目。その2頭を除くと、7歳以上は3着までという成績だ。【表3】

[表3]年齢別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
3歳 1 0 0 2 33.3% 33.3% 33.3%
4歳 1 2 1 15 5.3% 15.8% 21.1%
5歳 4 4 1 26 11.4% 22.9% 25.7%
6歳 2 4 3 26 5.7% 17.1% 25.7%
7歳 1 0 4 26 3.2% 3.2% 16.1%
8歳以上 1 0 1 25 3.7% 3.7% 7.4%

リピーターに要注意

コース形態の影響かリピーターの活躍が多くみられるレース。特徴的なのがアルクトスで、2019年に2着と好走したあと3戦連続で4着以下に敗れていたが、20年に6番人気で1着と盛岡コースで一変を見せた。なかには19年1着のサンライズノヴァのように、翌年から4、7、6着と成績を落とした馬もいるが、過去の実績には注意が必要だ。【表4】

[表4]主なリピーター(13年以降に出走歴がある馬)

馬名(所属) 出走年 1年目着順 2年目着順 3年目着順 4年目着順 5年目着順
エスポワールシチー(JRA) 09~13年 1着 2着 ※4着 1着 1着
ホッコータルマエ(JRA) 13、16年 2着 3着
ベストウォーリア(JRA) 14~18年 1着 1着 2着 6着 6着
コパノリッキー(JRA) 16~17年 1着 1着
ゴールドドリーム(JRA) 17~20年 5着 2着 3着 6着
モジアナフレイバー(大井) 19~20年 4着 3着
アルクトス(JRA) 19~22年 2着 1着 1着 14着

注記:※はJRA東京で実施された2011年

勝つのはこういう馬!

単勝1・2番人気というのは必須条件。JRAでも関東馬は好成績で、昨年の優勝馬カフェファラオが出走してくれば有力な存在になる。昨年がハナ差2着だったヘリオス、4着惜敗だったイグナイターをはじめ、過去の当レースで実績がある馬も上位人気に推されていればチャンスがあるだろう。

(文・浅野靖典)

過去20年の所属別成績

  • 1着

  • 2着

  • 3着

【注記】2011年は震災復興のため東京競馬場で実施。

注記

当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。