データ分析 Data Analysis

2歳馬によるダート頂上決戦

各地で実績を重ねてきた砂の素質馬が2歳JpnIの称号をかけて川崎1600メートルを舞台に争う。来年からは3歳ダート三冠競走が創設されるとあって、例年以上に注目度が増すのは必至だ。2013年のハッピースプリント(北海道)以降は5年連続で苦杯をなめてきた地方勢だが、19、20年には連勝。今年もJRAが意地を見せるのか、それとも地方馬が巻き返すのか。ここでは13~22年の過去10回の結果から傾向を探る。

JRA中心だが近年は南関東が善戦

JRA栗東が4勝、美浦が3勝。連対数はともに8回とほぼ互角。ただ、美浦は2017年ルヴァンスレーヴを最後に、ここ5年は勝利を収められていない。南関東は近年存在感を示しており、19年はヴァケーション(川崎)が勝ち、20年にはアランバローズ(船橋)とランリョウオー(浦和)でワンツーを決めた。また他地区からの遠征で馬券圏内に入った2頭は北海道所属だった。[表1]

[表1]所属別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
JRA栗東 4 4 1 17 15.4% 30.8% 34.6%
JRA美浦 3 5 3 13 12.5% 33.3% 45.8%
南関東 2 1 5 35 4.7% 7.0% 18.6%
地方他地区 1 0 1 39 2.4% 2.4% 4.9%

人気馬が好成績、伏兵は重賞実績に注目

1~3番人気が3着以内に入る確率が高く、3番人気以内でのワンツーは6回。残り4回のうち3回は1、2番人気のどちらかが連対を果たしていた。1番人気だけを見てみると栗東は【2-1-0-2】で、美浦は【2-0-2-0】。長距離輸送の栗東より、美浦の方が信頼できるという結果が出ている。また6番人気以下で馬券に絡んだ6頭のうち地方馬は5頭で、すべて重賞連対歴があったことは覚えておきたい。残り1頭のJRA美浦・ルーチェドーロも、デビュー戦をダートで圧勝し、続く函館2歳ステークスGIIIで2着に好走。重賞クラスの力と、ダート適性の両方を備えていた。[表2]

[表2]単勝人気別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1番人気 5 1 2 2 50.0% 60.0% 80.0%
2番人気 1 4 0 5 10.0% 50.0% 50.0%
3番人気 2 2 1 5 20.0% 40.0% 50.0%
4番人気 0 1 1 8 0.0% 10.0% 20.0%
5番人気 2 1 1 6 20.0% 30.0% 40.0%
6番人気以下 0 1 5 78 0.0% 1.2% 7.1%

前走兵庫ジュニアGPは大半の年で馬券絡み

前走別成績を示したのが[表3]。もちの木賞とともに2勝のJBC2歳優駿JpnIIIだが、北海道2歳優駿時代の13、14年を最後に勝利はない。3着以内が最も多い兵庫ジュニアグランプリJpnIIは、勝ち切れていない印象こそあるが、14、17、19年以外の7回で馬券に絡んでおり、3連勝式の軸としては狙い所になる。しかし、同1着馬は【1-2-1-5】。そこまで信頼できる成績を残せていないだけに、どの馬を中心に据えるかが馬券的中の明暗を分けそうだ。3着内率で50.0%を超える、もちの木賞、プラタナス賞、オキザリス賞から参戦してくる馬には注目。

[表3]前走別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
※JBC2歳優駿 2 1 1 19 8.7% 13.0% 17.4%
兵庫ジュニアGP 1 4 3 19 3.7% 18.5% 29.6%
エーデルワイス賞 1 0 0 1 50.0% 50.0% 50.0%
もちの木賞 2 1 0 3 33.3% 50.0% 50.0%
プラタナス賞 1 1 1 1 25.0% 50.0% 75.0%
オキザリス賞 1 1 1 3 16.7% 33.3% 50.0%
その他ダートの1勝クラス 0 1 1 4 0.0% 16.7% 33.3%
ハイセイコー記念 1 1 1 8 9.1% 18.2% 27.3%
平和賞 1 0 1 9 9.1% 9.1% 18.2%
上記以外のレース 0 0 1 37 0.0% 0.0% 2.6%

注記:※19年までは北海道2歳優駿

ダートで勝率50%以上や前走1着馬が狙い

馬券圏内に好走した30頭を詳しく調べてみると、ダートでの勝率が50.0%以上だったのが26頭。例外だった4頭のうち3頭はダートの連対率で50.0%以上を残していた。また25頭は前走1着。馬券圏外から巻き返したのは2013年2着スザク(JRA)と同年3着サーモピレー(北海道)、20年3着ルーチェドーロ(JRA)のみだった。大舞台で好走するためにはダートでの安定感や、前走を勝ってきた勢いがあることが望ましい。

勝つのはこういう馬!

7勝のJRAが中心も2019年、20年は南関東が連勝と近年は侮れない存在。1~3番人気の信頼度が高く、ダートでの勝率50.0%以上というのも目安。勝ち馬はすべて前走も勝っていたが、1着になるという点では兵庫ジュニアグランプリJpnIIとの相性はよくないことを頭に入れておきたい。

(文・前田 恒)

過去20年の所属別成績

  • 1着

  • 2着

  • 3着

注記

当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。