南関東のトップマイラーがいざ、全国区へ。スマイルウィが今年初戦を迎える。昨年は【3・3・0・0】。SIゴールドカップなど重賞3勝を挙げた。また、さきたま杯では23年NAR年度代表馬イグナイターとクビ差の接戦。テレ玉杯オーバルスプリントはJRAの実力馬ドライスタウトと0秒1差と、敗れたレースの内容も濃かった。主戦の矢野貴之騎手も「中央の一線級に通用するレベルにあると思う」と能力を高く評価する。あとは初めての名古屋コースへの対応が鍵となるが、矢野は「内を空けて走るのはいい。理想は外枠だが、内枠でも逃げにこだわらず、いい目標を見つけられそう」と分析。マイナス材料ではなさそうだ。能力をフルに発揮して念願のダートグレードVを果たす。

芝のデビュー戦では大敗したが、ダート替わりで一変。4連勝でオープン入りを果たした。そのうち3勝は後続に3馬身以上の差をつけている。昇級後の3戦は発馬の課題が重なり、いいリズムで走ることができず結果が出なかったが、4戦目のサマーチャンピオンでは距離を延長して積極的に運ぶことができ、交わされることなく押し切った。休養明け緒戦の前走は逃げ馬をマークする形で運び、直線で先頭に立つと最後まで渋太く脚を伸ばして勝利。斤量増もこなした。今回は初めての舞台だが、重賞で2勝した右回りや前めで運びやすそうな1500mは向くはず。坂路では軽快な動きを見せていて、高いレベルでデキをキープ。ここでも上位争い可能。

前走の武蔵野S（GIII）は1番人気に推されたが9着。キャリア8戦目で初めて掲示板を外す結果となったが、管理する黒岩調教師は「古馬相手に内枠（1番枠）でモマれる形になったのが響いたと思います」と敗因を語る。その後、中間は放牧に出してリフレッシュ。「体が成長してひと回り大きくなった」と同調教師は続けた。今回は3カ月以上の休み明けで、仕上がり具合が気になるところだが、その点に関して同調教師は次のように言う。「フェブラリーSも視野に入れていたけど、除外されました。その分、仕上がりに関しての不安がありません」。その上で今回の展望を伺うと「初コースだったり、久しぶりのひと回りだったりと、条件は楽ではないですが、こちらも経験豊富なので、期待はしています」と旗幟鮮明に語った。

3歳暮れにダート短距離に使い出して適性を見出し、去勢効果も相まって5戦3勝でオープン入り。その後も毎年オープン特別を勝ったり交流重賞で連対したりと長く活躍を続けている。前走の根岸Sは躓き加減のスタートから二の脚でハナを切り、最後は勢いのある4歳馬に差されはしたが、マイペースで運べた分、交わされてからもバテずに4着に粘り込んだ。年齢的に大きな上積みはどうかだが、8歳でも衰えはなく、21日の動きも良好で、詰めて使う分、踏ん張りが増しそう。小回りなら持ち味の先行力がより生きるし、一昨年の当レースで2着、昨年は3着と名古屋の1500mも実績ある条件。発馬を決めて再度自分の形に持ち込めれば好勝負が可能。

一昨年のなにわSを勝って条件クラスを卒業すると、続く東京スプリントでリュウノユキナを下していきなりJpnIII制覇。以降、サマーチャンピオン、オーバルスプリント、黒船賞と3勝を上乗せしてJpnIIIを4勝。いずれも違う競馬場で勝利を挙げており、レースぶりにも器用さがあるので初めての名古屋も苦にすることはないだろう。連対実績は1400mまでだが、一昨年の南部杯3着、チャンピオンズC・5着、昨年のかしわ記念4着と、GI（JpnI）で強敵を相手に力を見せており、1500mへの延長は心配しなくていい。この中間は坂路で49秒9をマークするなど意欲的、かつ力強さが増して動きも良化。6カ月半ぶりを使っての上積みは十分見込める。

8歳馬だが、昨年の暮れには中央場所のカペラSで激しい先行争いにも関わらず、先行して速力上位を証明。付きっ切りで調整している三浦助手も「ここへ向けていつも通りの調整でやれていますし、引き続き体調の良さを感じています。年齢的な衰えも感じないですし、むしろどっしりと構えられるようになって、以前にあった輸送減りする課題も近場の輸送なら極端に体重が減ることが今はなくなりましたね」とまだ進化していることを教えてくれた。「ここも先行して自分の競馬に徹するだけです」とレースへの意気込みも熱く語ってくれた。このレースが師の引退により松永昌博厩舎としてのラストラン。愛弟子、森一馬を背に躍動する姿を見せる。