第37回 2011年8月19日 レイナワルツ


 デビュー地の中央競馬では2003年の桜花賞に出走するなどの活躍を見せ、4歳春に名古屋の瀬戸口悟厩舎に転厩以降は東海地方を代表する女傑として名をはせたレイナワルツ。名古屋記念史上初の3連覇をはじめ、ダートグレードレースでも全国を股にかけて戦いました。

 特に、名古屋競馬場で初めて行われた記念すべき2005年のJBCは兒島真二騎手を背にクラシックに出走し、勝負所の3〜4コーナーでは好位から最内をついて鋭く伸びて先頭に立つと、大歓声が巻き起こりました。最後の最後でタイムパラドックスとユートピアに交わされてしまいましたが、この力走には多くの感動を呼びました。

 そして、レイナワルツと言えばインパクト抜群のルックス。芦毛でも輝くほどに白い馬体で牝馬ながらも500キロは軽く超えた雄大さにひきつけられたファンも多かったでしょう。『レイちゃん』という愛称でも親しまれ、全国区の人気者でした。

 現役引退後は生まれ故郷の浦河日成牧場で繁殖生活に入りました。すでに昨年初仔を誕生させていて(現在1歳・父タニノギムレットの牝馬)、今年はネオユニヴァースとの間に牡馬を出産しています(写真)。そう、早いものですでに2頭のママなんですよ。

 「最初から安産だったし、お乳もすぐに飲ませて子育ては上手ですよ。仔馬にベッタリする訳じゃないけど、母親らしい母親だと思います。ただ、気は強いので他の繁殖牝馬にケンカを仕掛けていくような所もあって、ヤンキー姉ちゃんって感じでしょうか(笑)」と浦河日成牧場の本巣克彦場長。

 現在は11歳になり、輝くほどに白い馬体は引き続き健在でした。出産した仔たちが2頭とも芦毛というのも微笑ましいです。お腹にはハーツクライの仔を宿しているそうで、来年には3頭目の仔を出産予定。

 私がおじゃました時は夕方から朝までたっぷりと放牧地で過ごす夜間放牧の期間中で、昼間だったのでしばし馬房で休憩中でした。本巣場長が「写真撮影だよ」と、馬房から顔を出すようにとおやつのカイバを洗面器に入れてレイナワルツと仔馬に差し出すと、2頭で寄り添いながら仲良く頬張る姿がありました。レイナワルツもすっかりママの顔です。

 「仔馬の頃から手がかからなくて、競走馬としても本当に頑張ってくれました。子供のような存在ですからかわいいですよ」と本巣場長。

 このまま順調にいけば、いよいよ来年には初仔がデビューします。今度は母レイナワルツとなって競馬場に帰ってくるんですねぇ!!!



高橋華代子(たかはしかよこ)
元NHK山形放送局キャスター。
現在は南関東競馬を中心に活動中。
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・船橋競馬を愛する100人の会