第44回 2012年3月19日 ナイキアディライト


 2歳から8歳の約6年3カ月に渡って、南関東のトップクラスで走り続けた韋駄天ナイキアディライト。3歳時には羽田盃と東京ダービーを勝って2冠に輝き、ジャパンダートダービーでもビッグウルフやユートピアと死闘を演じて僅差の3着に奮闘。古馬になってからもかしわ記念や日本テレビ盃などを勝ち、5年連続重賞制覇&重賞タイトル12勝という成績を残しました。03年NARグランプリサラブレット系3歳最優秀馬と04年NARグランプリサラブレット系4歳以上最優秀馬も受賞。

 持ち前のスピードで気持ち良く逃げたときの粘り踏ん張りはとてつもないほどの渋太さでした。一般的にスピードがあるからこそ体に負担がかかるものだと思いますが、この馬の場合は体と走りのバランスがひじょうにいいことでも知られていて、なおかつ無駄な力を一切使わないメリハリをつけられる賢さもありました。南関東の無事是名馬の象徴として長きに渡って走り続けられた要因でもあるでしょう。

 引退後は種牡馬入りをし、現在は太平洋が一望に臨める太平洋ナショナルスタッド(新冠)で過ごしています。

 現役時代はクールな二枚目の雰囲気を醸し出している馬だったんですが、今はかなり種付けがお好きなようで……。種付けしている所を見せて頂いたことがあるんですが、遠い場所からでもお相手の牝馬に荒れ狂ったかのように近づいていく姿はかなり刺激的でした。現役時代は担当厩務員さんにしか反応を示さなかった馬なので、「アディは牝馬に反応するんだろうか?」と関係者ともよく話しをしていたんですが、そんな心配は皆無でした。ナイキアディライトもやっぱり男でしたね(笑)。

 太平洋ナショナルスタッドの田村義徳代表取締役のお話しでは、12歳春を迎えた今も健康体で、賢く扱いやすい馬であることに変わりはないそうです。

 実は初年度となる2010年生まれの産駒たちが今年デビューの年を迎えて、中央や北海道、岩手、大井などで走る予定です。父に似たバランスの良さが光る仔が多いようですよ。

 ナイキアディライト、言葉では言い表せないくらいに私も大好きな馬でした。そんな愛しい馬のDNAを受け継いだ仔たちが存在しているということが、たまらなくうれしいです。

 なお、引き続き種牡馬生活を送っているので、花嫁さんは随時受付中です!!!

 ナイキアディライトの見学については、競走馬のふるさと案内所のホームページをご覧ください。(http://uma-furusato.com/


高橋華代子(たかはしかよこ)
元NHK山形放送局キャスター。
現在は南関東競馬を中心に活動中。
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