第4回 2012年1月10日(火) チャンポン(佐賀競馬場)

佐賀競馬場
チャンポン(500円)


 とある土曜日の佐賀競馬場に第1レースから突撃したものの、こちらの意気込みとは裏腹にひたすら的中ゼロ……。
 なんでこんなに当たらないのかと、精神状態の悪化が自覚できるほどになってしまったので食事で気分転換することに。「ちゃんと座ってちゃんと食べよう」と、スタンド中央の裏手にある佐賀競馬場の代名詞
「なんでも焼いてくれる店」を通過して、入場口の横にある食堂方面に歩いていくと、
 「ハイ、ここに席ありますよ!」
 という威勢のいい掛け声に迷う気持ちを押し倒されて、ついつい指定されたイスに座ってしまったのだ。
 品書きをみると、どうやらここはラーメン屋さんらしい。ええっ? ラーメン400円!? ちょっと破格のお値段じゃないですか!!

 そこから左に視線を移していくと、「チャンポン」の字が目に入った。ここは長崎じゃないけれど、同じ西九州だしこれにするか、という安易な発想で注文し、引き換え券をもらって待つこと3分。
 「ハイ、チャンポン。ソースはここに置いておくわよ」
 と、呼び込みと接客担当のおばさま。ソースですか?
 この地域ではチャンポンにソースを入れるのかなあ。初耳だぞ。でも最初はスタンダードにオリジナルの味でとそのまま食べると、実にきちんとしたチャンポン。野菜もたくさん載っていて、「全然このままでイケるじゃないですか」と思いながらあっさりと完食してしまった。

 ……でも、こちらから何も言っていないのにソースを持ってきてくれたんだもんなあ。いっちょ試してみるか。
 ということで、机の上に置かれたウスターソースを1秒ほどスープに垂らしてみた。果たしてこのコラボレーションは未知の世界を開拓してくれるのか?
 「これ、本当に普段からこうやって食べているんですかね?」
 一緒にチャンポンを食べ、一緒にソースを入れ、恐る恐る一口飲んだ友人が最初に発した言葉がこれだった。私もドンブリを持ちあげてスープを飲んでみると… うーむ、ちょっと微妙。いやいや、初心者では分からない味の深みがあるのかも? ということは、何度も食べればクセになる?
 とても美味かったけれど、大きな謎も残った佐賀競馬場のチャンポン。それにしても、味の嗜好は人それぞれ、日本も広いものだと改めて実感したのであった。

文・写真●浅野靖典

浅野靖典(あさのやすのり)
競馬キャスター・ライターとして活動中。「クリック!地方競馬」キャスターを務めているほか、JRAブリーズアップセール、八戸、九州の各競走馬市場にて司会進行を担当。ライターとしては、
・競馬総合チャンネル(netkeiba.com)
・POGの達人
・JRAホームページ
・週刊プレイボーイ
・WEBハロン
などに寄稿している。


 ※ 本文で紹介している逸品については、取材時点のものです。 その後、値段改定やメニューが変わっている場合もございます。