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第56回 2013年2月5日 TCK女王盃~川崎記念

TCK女王盃 JpnⅢ

 メーデイアは10番枠からのスタートでしたが、そこから先頭に並びかけていきましたから、ダッシュ力があります。道中はレッドクラウディアをマークする形で3番手を追走しました。直線ではレッドクラウディアを突き放して、最後は完全に追うのをやめています。また強い馬が出て来ましたね。牝馬同士のレースでは、今後は中心的な存在になりそうです。浜中騎手は今回大井が初めてだったそうですが、乗れてますね。
 アクティビューティは人気がありませんでしたが、直線でよく伸びてきました。道中は中団で溜めて、仕掛けを遅らせたのが結果につながったと思います。内々を回ってきて、4コーナーで外に出すというコース取りもよかったと思います。
 レッドクラウディアは、クイーン賞のレースぶりから今回も楽勝かと思いましたが、直線はまったく伸びませんでした。直後でマークされていたということもあったかもしれません。
 アドマイヤインディはよく4着まで来ましたが、仕掛けるタイミングが少し早かったかもしれません。普段小さい競馬場で乗っている騎手の人たちは、どうしても向正面で仕掛けて行きます。追い出すのは残り半マイル過ぎからですね。ただ向正面から仕掛けたわりには、最後までよく伸びています。牝馬同士ならまだまだ上が狙えるのではないでしょうか。

川崎記念 JpnⅠ

 ハタノヴァンクールは東京大賞典同様、好位につけて行きました。3~4コーナーでは一気にワンダーアキュートを交わして行きました。あそこで交わし切ってしまったのが勝因でしょう。もし並びかけたまでだったらワンダーアキュートに勝たれていたかもしれません。さすがにジャパンダートダービーを勝っているだけのことはあります。まだ4歳ですからこれからもっと強くなるかもしれません。
 ワンダーアキュートは、3~4コーナーで外からハタノヴァンクールに被されてしまいました。あそこで勝負があったかもしれません。直線ではハタノヴァンクールの外に持ち出して、終いも伸びてきてはいます。ただ、じりじりと脚を使う馬ですから、最後は半馬身まで差を詰めましたが、差し切るまではいきませんでした。馬体を併せての競り合いになれば強い馬だと思います。
 グラッツィアはスタートでトモを落としたのか、出遅れてしまいました。それで勢いをつけて先団にとりついたので、ペースが落ちついた(1周目の)4コーナーあたりから完全に掛かってしまいました。スタンド前でも馬群の中で、外に出すことができませんでしたから、2コーナーまでずっと掛かり通しでした。タカオノボルが物見をして下がり、前が空いたところで行かせて先頭に立ちました。あそこではもう行かせるしかありません。この馬には、スローペースになるこの距離より、もう少し短い距離のほうがいいかもしれません。
 タカオノボルは2コーナーのところで、ゲートを見てしまったようです。初めての競馬場では、こういうことはたまにあります。事故にならなかったのはよかったです。


佐々木竹見(ささきたけみ)
元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。