佐賀3歳三冠最終戦
九州(佐賀)3歳三冠路線は、荒尾の廃止や佐賀の重賞体系変更などで一冠目は変遷があったが、二冠目の九州ダービー栄城賞と、三冠目のロータスクラウン賞の位置づけは変わってない。2018年度に現在の三冠になってからは、19年スーパージンガ、21年トゥルスウィーとともに牝馬が三冠馬に輝いている。なお、トライアルとして佐賀城特別が組まれており、JRA3歳未勝利からの転入馬などにも出走チャンスが見込める。ここでは1800mだった17年以前を含めた13~22年の過去10回から傾向を見ていく。
2004年の創設から佐賀所属馬の勝利が続き、初めて高知所属馬が勝ったのは14年の第11回。その後は再び佐賀が連勝し、過去10回では佐賀7勝、高知3勝。高知の出走枠は2頭のみだが【3-3-3-5】と出走があった8回中7回で1頭は3着以内に進出している。特にここ3年は、20年1着、21年3着、22年1、2着と出走した4頭がいずれも3着以内で計2勝と、高知からの強力な遠征馬に佐賀勢が挑む構図に変化してきている。【表1】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
佐賀 | 7 | 7 | 7 | 73 | 7.4% | 14.9% | 22.3% |
高知 | 3 | 3 | 3 | 5 | 21.4% | 42.9% | 64.3% |
1番人気が8勝、2、3着各1回で3着内率100%と圧倒的な成績を残している。残る2勝も2番人気で、こちらも3着内率80.0%と堅調。それゆえ3、4、5番人気は3着内率が各30.0%、20.0%、0.0%と信頼度が一気に落ちてくる。6番人気以下は同12.1%で、2着4回、3着3回と健闘している。1、2番人気の信頼度は非常に高いが、2頭で1、2着は3度だけ(15、19、22年)で、1番人気から人気薄を手広く狙うのも一考だろう。【表2】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
1番人気 | 8 | 1 | 1 | 0 | 80.0% | 90.0% | 100.0% |
2番人気 | 2 | 2 | 4 | 2 | 20.0% | 40.0% | 80.0% |
3番人気 | 0 | 2 | 1 | 7 | 0.0% | 20.0% | 30.0% |
4番人気 | 0 | 1 | 1 | 8 | 0.0% | 10.0% | 20.0% |
5番人気 | 0 | 0 | 0 | 10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
6番人気以下 | 0 | 4 | 3 | 51 | 0.0% | 6.9% | 12.1% |
3歳三冠の一冠目が佐賀皐月賞となり、ロータスクラウン賞が2000mと現行の三冠体制となった2018年以降の過去5回で、九州ダービー栄城賞の勝ち馬は4頭出走。そのうち佐賀皐月賞も勝っていた二冠馬は、19年スーパージンガ、21年トゥルスウィーの2頭で、両馬ともに三冠達成。九州ダービー栄城賞のみを勝利した2頭は、18年スーパージェットは当レースとの二冠達成、22年イカニカンは9着敗退と明暗が分かれたが、4頭中3頭が二冠もしくは三冠達成。ともに2000mで行わる二冠目とロータスクラウン賞のつながりは強い一方、佐賀皐月賞とロータスクラウン賞のかたちでの二冠馬は誕生していない。【表3】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
佐賀二冠馬 | 2 | 0 | 0 | 0 | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
佐賀皐月賞1着 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0.0% | 0.0% | 100.0% |
九州ダービー栄城賞1着 | 1 | 0 | 0 | 1 | 50.0% | 50.0% | 50.0% |
二冠以外の重賞のみ1着 | 0 | 1 | 2 | 5 | 0.0% | 12.5% | 37.5% |
重賞未勝利 | 0 | 1 | 0 | 19 | 0.0% | 5.0% | 5.0% |
重賞初出走 | 0 | 2 | 0 | 12 | 0.0% | 14.3% | 14.3% |
トライアルとして佐賀城特別が設定されているが、過去10回で同レースの勝ち馬は8頭出走し【1-2-0-5】。勝ったのは2013年にキリノトップランがJRAから転入初戦のトライアルから連勝し佐賀2戦2勝としたケースだけだ。佐賀城特別は3歳条件で編成されている一方で、他の出走馬の多くはすでにB級以上に編入され、古馬との戦いを経験している。トライアルを勝っても本番で大幅な相手強化となることが、苦戦の要因だろう。
2022年は地元の三冠路線で勝ち星を挙げたヴェレノとガルボマンボの高知2頭がハナ差のワンツー。佐賀勢はそこから8馬身と大きな差がついた。今年は8月13日開催となり、高知所属馬にとっては黒潮菊花賞の2週前開催となるため、動向に注目したいところ。いずれにせよ、高知勢と佐賀春二冠の勝ち馬の争いというここ3年の傾向が続きそうだ。
(文・上妻輝行)
注記
当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。