笠松の晩夏を彩る3歳重賞
今年で第47回を数える伝統ある重賞で、同じ東海地区の名古屋競馬場で行われる駿蹄賞と東海ダービーとをあわせて東海三冠と呼ばれることもある。ここでは開催中止となった21年を除く12~22年の10回のデータから傾向を探る。
この間の留意すべき条件変更は2点。19年以降、それまでの10月から8月に施行時期が変更されたこと。また、12年は北陸・東海・近畿・中国地区交流、13年から20年までは北陸・東海・近畿地区交流で他地区からの遠征馬も迎えて行われてきたが、昨年からは東海地区限定と条件が変わっている。
1番人気が5勝、2着3回。2番人気も3勝を挙げており、人気に推されるような馬は一定の信頼をして良さそうだ。ただ、3連単の平均配当は17,378円と高く、その要因の多くはいわゆる“ヒモ荒れ”。例えば2018~20年は3年連続で8番人気が3着。2013年も7番人気が3着となって、いずれも高配当を演出した。人気薄の食い込みが、穴党ファンのひとつの着眼点となるだろう。【表1】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
1番人気 | 5 | 3 | 1 | 1 | 50.0% | 80.0% | 90.0% |
2番人気 | 3 | 2 | 2 | 3 | 30.0% | 50.0% | 70.0% |
3番人気 | 0 | 1 | 2 | 7 | 0.0% | 10.0% | 30.0% |
4番人気 | 1 | 2 | 1 | 6 | 10.0% | 30.0% | 40.0% |
5番人気 | 0 | 1 | 0 | 9 | 0.0% | 10.0% | 10.0% |
6番人気以下 | 1 | 1 | 4 | 47 | 1.9% | 3.8% | 11.3% |
2020年以降の2回はフルゲート12頭で、それまではフルゲート10頭。馬番別では、概ね半分よりは内目の枠が優勢という結果が出た。1番枠が2勝しており、内になる分には問題はなさそうだが、外に関しては、13年のウォータープライドや20年のドラゴンウォリアー(いずれも2番人気)が10番枠で大敗した例がある。有力馬が外枠に入った場合は注意が必要かもしれない。【表2】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
1~3番 | 2 | 1 | 4 | 22 | 6.9% | 10.3% | 24.1% |
4~6番 | 6 | 4 | 2 | 18 | 20.0% | 33.3% | 40.0% |
7~9番 | 1 | 4 | 2 | 23 | 3.3% | 16.7% | 23.3% |
10番~ | 1 | 1 | 2 | 10 | 7.1% | 14.3% | 28.6% |
46回の当レースの歴史で、牝馬の優勝は2回しかなく、最近では2009年にトウホクビジンが勝ったのが最後だ。ただ、3着内率で比べると牡牝にそこまで大きな差はなく、馬券の検討という意味では牝馬を殊更に不安視する必要はなさそうだ。とりわけ、前述した13年、18~20年の人気薄での3着馬は、いずれも牝馬。牡馬の3着内馬は1頭を除き全て、最低でも4番人気であるのと比較すると、人気薄の牝馬が高配当狙いのひとつのポイントと言えそうだ。【表3】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
牡 | 10 | 4 | 5 | 36 | 18.2% | 25.5% | 34.5% |
セン | 0 | 0 | 0 | 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
牝 | 0 | 6 | 5 | 36 | 0.0% | 12.8% | 23.4% |
東海地区所属馬に限定して、駿蹄賞および東海ダービーとの関連性を調べてみた。
両レースともに、出走経験のある馬の方が当レースでの活躍例が多いが、駿蹄賞で4着以下に敗れた馬の当レースでの巻き返しは見られるものの、東海ダービーからは巻き返し例が極めて少なく、データからは東海ダービーに出ているなら3着以内に好走していることが条件と言える。【表4-1,2】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
駿蹄賞3着以内 | 2 | 2 | 1 | 5 | 20.0% | 40.0% | 50.0% |
駿蹄賞4着以下 | 2 | 1 | 0 | 7 | 20.0% | 30.0% | 30.0% |
不出走 | 1 | 5 | 5 | 54 | 1.5% | 9.2% | 16.9% |
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
東海ダービー3着以内 | 4 | 3 | 1 | 5 | 30.8% | 53.8% | 61.5% |
東海ダービー4着以下 | 0 | 1 | 1 | 12 | 0.0% | 7.1% | 14.3% |
不出走 | 1 | 4 | 4 | 49 | 1.7% | 8.6% | 15.5% |
また、駿蹄賞と東海ダービー両方に出走した馬はのべ18頭。それらの当レースでの成績は4勝して2着も3頭おり、これは注目すべきデータと言える。【表4-3】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
両レース出走 | 4 | 3 | 1 | 10 | 22.2% | 38.9% | 44.4% |
駿蹄賞のみ出走 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
東海ダービーのみ出走 | 0 | 1 | 1 | 7 | 0.0% | 11.1% | 22.2% |
出走なし | 1 | 4 | 4 | 47 | 1.8% | 8.9% | 16.1% |
東海ダービーで3着以内の牡馬。駿蹄賞にも出走していればなお有望。枠は中枠よりも内目が好ましい。
(文・坂田博昭)
注記
当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。