レースの見どころ
第52回を迎える東海ダービー。近年は第48回のサムライドライブ(2着)、第49回のエムエスクイーンなどの無敗で勝ち進んできた牝馬が人気の中心になることが多かった。しかし昨年はトミケンシャイリが6連勝で見事に当レースも制覇して風向きが変わった。今年の中心は一冠目の駿蹄賞を大差勝ちで制したタニノタビトだろう。あれから一か月が経過したが、魅惑の新星が現れることはなく、臨戦過程もすこぶる順調なことから揺るぎない存在と思うが、関係者の思い入れが限りなく強いダービー。思わぬ結果が待っているかもしれない。
駿蹄賞では伏兵の域を出ないとみていたが、単勝3番人気に押し上げたファンの目は肥えている。発馬で後手を踏んで中団からのレースになったものの、コースロスを防ぐためか、いち早く内に入れていったあたりは鞍上の好判断。さらに他馬よりもワンテンポ早く仕掛けて、逃げ馬の内をついて一気に抜け出したタイミングは絶妙だった。セーフティリードと思える差がついても気合をつけていたのは本馬の気性を見越してのことで、なお気性的な難しさが解消したとはいえないが、中間の攻め量は出走馬の中でも格別のものと断じることができる。
転入当初から見栄えのする馬体に定評があり、一連の重賞戦線で常に上位争いをしてきた実績は相応の評価が必要。駿蹄賞はスタートが甘くなり、それを挽回するために結構な無理脚を使った印象があるが、1周目のスタンド前では折り合いがついていたし、距離に対しての融通という点では収穫のある一戦だった。その後は地元戦を挟まずにここ一本という臨戦過程に好感を持てる。むしろ心配なのは3走続けて手綱を託された渡邊竜也騎手か。地元で思ったように勝ち星を増やしていないのは気になるが、大一番で冴え渡る手腕をぜひ見せてほしい。
新緑賞を制した後だっただけに前走の3着はいただけない。ただ、勝った馬は連勝中と勢いがあったし、目標にされる不利は考慮してしかるべき。再度の笠松出張をやめてダービー一本に切り替えたあたりに意欲を感じるし、実際に中間の攻め馬の気配は引き続き好調そのもの。他馬との比較で距離経験がないのは不安が先立つものの、今回は末脚にかける競馬も思案中とのこと。常に逃げていた馬が追い込みに徹して成果をあげるケースがしばしばあるだけに、本馬にもそんな期待をかけてみたい。
レイジーウォリアーは認定戦2勝の実績、それ以降も重賞で常に好勝負を演じており、牝馬では東海地区トップに推す意見は少なくない。デビュー当初のモマれ弱さも徐々に払拭しており、出脚や粘りは着実にアップしている。ただ、前走を見る限り2000mはいくぶん長い印象がある。このあたりをどう改善していくかが焦点だろう。高配当狙いならツボを持っているエムエスムーン。再審査明けになるが、能試の感触は上々で出来は悪くない。先行グループが予想以上に競り合うような展開なら、笠松のドミニクともども最後の直線で急襲があってもおかしくない。
提供 競馬東海 鬼頭 信正
注記
当ページの情報は、6月6日(月)17時現在のものです。
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