歴史ある佐賀3歳王者決定戦
ダービーシリーズ2023の開幕戦・九州ダービー栄城賞は、今年で第65回と佐賀で最も長い歴史を誇る重賞。22年に1着賞金が1000万円となったが、23年は2000万円と倍増され、3歳三冠達成ボーナスが新設された。佐賀(九州)3歳三冠の二冠目にあたり、荒尾競馬廃止後の2012年以降では3頭の三冠馬が誕生している。ここでは13~22年の過去10回から傾向を見ていく。
デビュー地別の成績では、北海道(門別)6勝、佐賀4勝。ともに出走40頭以上と多いものの、勝ち馬はどちらかから出ており、2018年に現行の3歳三冠体系となってからの三冠馬2頭はいずれも北海道デビューだった。JRA未勝利からの転入馬は収得賞金が少ない場合が多く、下級から連勝続きで出走が叶っても、トップ級との初対戦で壁にぶつかる傾向が見られ、勝ち馬は2000年以降でも1頭(11年)しか出ていない。【表1】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
佐賀 | 4 | 3 | 6 | 29 | 9.5% | 16.7% | 31.0% |
北海道 | 6 | 3 | 1 | 34 | 13.6% | 20.5% | 22.7% |
地方その他 | 0 | 1 | 1 | 5 | 0.0% | 13.0% | 21.7% |
JRA | 0 | 3 | 2 | 18 | 0.0% | 13.0% | 21.7% |
1番人気が5勝、3着3回で3着内率80.0%と信頼でき、単勝1倍台の圧倒的人気に応えるケースが多い。2番人気は3着内率60.0%、3~5番人気は20.0~40.0%とさほど信頼度は高くなく、上位人気3頭で決まったのは1回(2020年)だけ。6番人気以下は14年と22年に勝利したほか、10回中7回で馬券絡みがあり、人気薄の食い込みに警戒が必要だ。【表2】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
1番人気 | 5 | 0 | 3 | 2 | 50.0% | 50.0% | 80.0% |
2番人気 | 1 | 3 | 2 | 4 | 10.0% | 40.0% | 60.0% |
3番人気 | 1 | 2 | 1 | 6 | 10.0% | 30.0% | 40.0% |
4番人気 | 1 | 1 | 0 | 8 | 10.0% | 20.0% | 20.0% |
5番人気 | 0 | 2 | 0 | 8 | 0.0% | 20.0% | 20.0% |
6番人気以下 | 2 | 2 | 4 | 58 | 3.0% | 6.1% | 12.1% |
勝ち馬の性別は牡馬6勝、牝馬4勝とほぼ互角。佐賀皐月賞が一冠目となった2018年以降では、牡馬はスーパージェット(18年)、イカニカン(22年)とも栄城賞が重賞初制覇と成長力を示しての勝利。一方、牝馬の勝ち馬は3頭中2頭(19年スーパージンガ、21年トゥルスウィー)が花吹雪賞、ル・プランタン賞を勝利し、残る1頭(21年トップレベル)は両重賞とも2着と勢いがあり、性別で傾向が分かれている。【表3】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
牡馬・セン馬 | 6 | 7 | 4 | 46 | 9.5% | 20.6% | 27.0% |
牝馬 | 4 | 3 | 6 | 40 | 7.5% | 13.2% | 24.5% |
佐賀皐月賞が一冠目となった2018年以降の過去5回では、佐賀皐月賞、トライアル(鯱の門特別、くすの栄橋特別)の3競走の1着馬に九州ダービー栄城賞の優先出走権が与えられていたが、今年はくすの栄橋特別は実施されない。重賞・佐賀皐月賞の勝ち馬が【2-0-2-1】と安定した成績。佐賀皐月賞馬が敗れた3回の勝ち馬は、佐賀皐月賞からの巻き返しが2頭、B級特別からの参戦が1頭。鯱の門特別の勝ち馬は2着3回までとなっている。
佐賀皐月賞が一冠目となって以降、2019年スーパージンガ、21年トゥルスウィーと、二冠馬が2頭誕生(ともにのちに三冠達成)。20年のトップレベルは佐賀皐月賞2着、23年のイカニカンは同7着で、5回中4回で佐賀皐月賞組が勝利と、同レースの出走馬が中心となる。ほかに、古馬B級で勝ち負けレベルのレースをした馬がいれば、有力候補となりうる。
(文・上妻輝行)
注記
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