2023年6月27日(火) 金沢競馬場
石川ダービー
右 2000m 金沢12R 18:00発走
石川ダービー ゴール前

データ分析 Data Analysis

金沢で3歳の頂点を目指す

石川ダービーは、金沢競馬場所属の3歳馬による世代王者決定戦。当地における3歳重賞の歴史はめまぐるしい変遷を辿ってきたが、2017年、全国のダービーをシリーズ化した企画『ダービーウイーク』が『ダービーシリーズ』として再整備されるのを機に、金沢競馬場にも04年限りでの日本海ダービー休止以来13年ぶりに“ダービー”が復活した。過去6回、施行時期は5月から6月の間で微妙に前後しているが、競走条件としては一貫して金沢2000mで実施。ここでは、17年の第1回から昨年まで過去6回の石川ダービーをデータで振り返り、傾向を探りたい。

■地元デビュー馬奮闘!

出走馬自身のプロフィールの中では、デビュー地と性別に注目。ハイレベルと見られがちな門別出身馬や、とかく注目されるJRAからの転入馬ではあるが、当レース実績としては地元金沢でデビューした馬が明らかに優勢。地元生え抜きの馬たちが培ってきた力と“意地”に注目していいレースと言える。【表1-1】

[表1-1]デビュー地別成績(過去6回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
金沢 4 3 3 17 14.8% 25.9% 37.0%
JRA 1 2 0 18 4.8% 14.3% 14.3%
門別 1 0 3 15 5.3% 5.3% 21.1%
南関東 0 1 0 0 0.0% 100.0% 100.0%
岩手 0 0 0 2 0.0% 0.0% 0.0%
兵庫 0 0 0 1 0.0% 0.0% 0.0%

また、牝馬の出走が多いことも特徴的な当レースだが、連対率・3着内率まで見ると牡牝の目立った差は見られない。むしろ2020年のハクサンアマゾネスや昨年のスーパーバンタムのように、当レース勝利の後も大きな活躍を遂げた牝馬もおり、その意味ではむしろ牝馬であっても好素材には素直に注目していきたい。【表1-2】

[表1-2]性別別成績(過去6回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
2 2 5 20 6.9% 13.8% 31.0%
セン 0 1 0 2 0.0% 33.3% 33.3%
4 3 1 31 10.3% 17.9% 20.5%

■人気馬優勢だが一筋縄では……

勝ち馬は一応3番人気までの馬から出ているが、それでも1番人気の勝率は5割。4番人気以下での入着も一定数見られ、馬券検討としては“堅い本命サイド”とは言えないレースだ。過去6回の3連単の平均配当は22,473円で、万馬券3回以外の堅い決着はいずれも3,000円以下の配当と、極端な分布となっている。荒れ方も、断然人気のヤマミダンスが着を外した2017年、3→2→1番人気の順で3連単万馬券となった18年、ハクサンアマゾネスが断然人気で圧勝したにもかかわらず、続いた馬が4番人気と8番人気で好配当となった20年と、パターンとしては実に多彩。穴党でも、粘り強く高配当の可能性を探る価値のあるレースかもしれない。【表2】

[表2]人気別成績(過去6回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1番人気 3 1 1 1 50.0% 66.7% 83.3%
2番人気 1 2 1 2 16.7% 50.0% 66.7%
3番人気 2 1 1 2 33.3% 50.0% 66.7%
4番人気 0 1 0 5 0.0% 16.7% 16.7%
5番人気 0 0 1 5 0.0% 0.0% 16.7%
6番人気以下 0 1 2 38 0.0% 2.4% 7.3%

■内枠不利が波乱の要因に?

馬番別の実績を調べたところ、明らかに外枠有利・内枠不利の結果が出た。普段から馬場の内側を開けて走ることの多い金沢だが、コースを1周半する2000m戦でも枠番による位置取りの駆け引きなどがレースに影響を及ぼすということなのかもしれない。実際、1番人気に推された馬の中でも、2017年ヤマミダンスは1番枠で4着、18年にはノブイチが2番枠で3着に敗れ、この敗退が波乱の要因となった。逆に好実績の枠番は11番で、6回中実に4勝。枠番は“運”の部分ではあるし、勝った4頭はいずれも力量馬ではあったが、情報として頭の片隅に入れておいても面白い。【表3】

[表3]馬番別成績(過去6回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1~3番 0 0 4 14 0.0% 0.0% 22.2%
4~6番 1 1 1 15 5.6% 11.1% 16.7%
7~9番 1 2 1 14 5.6% 16.7% 22.2%
10~12番 4 3 0 10 23.5% 41.2% 41.2%

■北日本新聞杯好走組に注目

当レースのトライアルに指定されている北日本新聞杯は、例年当レースとおよそ1ヶ月の間隔で設定されており、一定数の馬がこのレースを経由して当レースに挑む。間隔があるだけに、当レースとの間に更に1走挟む馬もいるが、それも含めての成績の相関を見ると、やはり北日本新聞杯の出走馬の方が分が良いようだ。【表4-1】

[表4-1]北日本新聞杯出走組・不出走組の比較(過去6回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
出走馬 4 3 6 25 10.5% 18.4% 34.2%
不出走馬 2 3 0 28 6.1% 15.2% 15.2%

更に、北日本新聞杯出走馬をそこでの成績別に見ると、1着馬は明らかに当レースでも好成績。逆に4着以下からの巻き返しはレアなケースと言えそうだ。【表4-2】 なお、2020年に牝馬の重賞・ノトキリシマ賞が創設されており、その勝ち馬からすでにハクサンアマゾネスとスーパーバンタム(北日本新聞杯も勝利)と、2頭の当レース勝ち馬が出ている。当レースより更に歴史が浅い重賞ではあるが、今後牝馬に関してはノトキリシマ賞と当レースとの関連性を注視していく必要があるかもしれない。

[表4-2]北日本新聞杯での着順別成績(過去6年)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
北日本新聞杯1着 2 2 1 1 33.3% 66.7% 83.3%
同2着 0 0 4 2 0.0% 0.0% 66.7%
同3着 1 1 0 2 25.0% 50.0% 50.0%
同4着以下 1 0 1 20 4.5% 4.5% 9.1%

勝つのはこういう馬!

中~外枠に入った、金沢デビューの実績馬、注目馬。トライアルの北日本新聞杯に出走し、そこで勝っていれば更に期待度は上がる。

(文・坂田博昭)

注記

当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。