データ分析 Data Analysis

南関東2歳馬による頂上決戦

第一次競馬ブームの立役者となったハイセイコーがレース名になっており、2020年からは南関東S1に昇格。名実ともに南関東の2歳チャンピオン決定戦の位置づけとなった。初年度からのちの全日本2歳優駿JpnI、東京ダービーを制するアランバローズ(船橋)が1着。古馬になってS1・2勝のランリョウオー(浦和)が2着と、ハイレベルな争いを繰り広げた。今後の南関東を背負うべくスターホース候補が集結する一戦。ここでは12~21年の過去10回から傾向を探る。

■S1昇格後の強さが目立つ浦和・小久保厩舎

5勝を含む11連対の大井が数字のうえではトップだが、各項目の率を見てみると4勝、2着2回の船橋が大井を大きく上回っている。表だけで判断すると船橋、大井が優勢に思えるが、S1昇格後の前2年の勢いが目立つのは浦和・小久保智厩舎。4頭が出走して1勝、2着1回、3着2回と全ての馬が3着以内と、大舞台での勝負強さを存分に発揮している。今年も同厩舎から参戦してくるようなら要チェックだ。[表1]

[表1]所属別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
大井 5 6 4 69 6.0% 13.1% 17.9%
船橋 4 2 1 14 19.0% 28.6% 33.3%
浦和 1 1 4 12 5.6% 11.1% 33.3%
川崎 0 1 1 11 0.0% 7.7% 15.4%

■2、3番人気が好成績も伏兵の台頭に注意

伏兵の台頭が多く人気馬同士で決まることは、ほとんど望めない。1番人気は1勝のみと勝ち切れておらず、馬券の軸にするなら計7勝を挙げる2、3番人気がベター。7番人気が馬券絡み4回と健闘し、8番人気以下も1勝を含む馬券圏は5回。2、3番人気を中心に穴馬まで手広く押さえて、好配当を仕留めたい。[表2]

[表2]単勝人気別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1番人気 1 2 1 6 10.0% 30.0% 40.0%
2番人気 4 1 1 4 40.0% 50.0% 60.0%
3番人気 3 3 0 4 30.0% 60.0% 60.0%
4番人気 0 1 2 7 0.0% 10.0% 30.0%
5番人気 1 1 0 8 10.0% 20.0% 20.0%
6番人気 0 0 0 10 0.0% 0.0% 0.0%
7番人気 0 2 2 6 0.0% 20.0% 40.0%
8番人気以下 1 0 4 61 1.5% 1.5% 7.6%

■18年までは1、2勝馬、過去3回は3、4勝馬がV

3着以内に好走した馬のここまでの勝利数を調べてみると、2勝馬が4勝、1勝馬が3勝。3、4勝馬は24頭が出走して3勝のみで、デビューからの実績を考えるとそこまで好結果を残せていない印象を受ける。ただ、注意したいのは2019、20年は3勝馬、21年は4勝馬のノブレスノア(浦和)がVと、その傾向は崩れつつある。以前までの傾向に戻るのか、実績上位馬が引き続き力を見せるのか見極めが必要になる。[表3]

[表3]3着以内馬の勝利数別成績(過去10回)

1着 2着 3着
1勝馬 3 4 4
2勝馬 4 2 2
3勝馬 2 3 4
4勝馬 1 1 0

■近年は前走重賞組が好走

2019年までは、重賞で馬券に絡んだ実績がない馬が活躍する傾向が強かった(ただし準重賞時代のゴールドジュニアーの3着以内馬は1勝、2着2回、3着1回)が、S1に昇格した20年はゴールドジュニアの覇者アランバローズ(船橋)、21年は鎌倉記念3着のノブレスノア(浦和)がこのレースを勝利と、重賞級の力がないと勝ち切ることができなくなり、レベルが一気に高くなったことが表れている。近年はゴールドジュニア、鎌倉記念、平和賞からの参戦が好走パターン。重賞でもまれてきた経験がこの舞台で生きる形となっている。[表4]

[表4]

3着以内馬の重賞で3着以内あり・なし別成績(12~19年)

1着 2着 3着
あり 1 1 3
なし 7 7 5

3着以内馬の重賞で3着以内あり・なし別成績(20、21年)

1着 2着 3着
あり 2 0 2
なし 0 2 0

勝つのはこういう馬!

3、4勝馬や、重賞で好走後に参戦してきた馬が活躍する形に変化しており、S1昇格前と昇格後で傾向に差がある点がポイント。S1昇級後の2020、21年で出走馬4頭全てが3着以内に好走している浦和・小久保智厩舎には特に注目だ。

(文・前田 恒)

注記

当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。