その金ナイターで行われる牝馬重賞
グランダム・ジャパン古馬シーズンの4戦目で、レース名のとおり真夏の園田1700mで行われる。なお、園田競馬場がナイター設備工事中だった2012年は姫路1800mで実施され、14年以降は、“そのだ金曜ナイター”で実施されるのが恒例だ。ちなみに、過去8回でナイター未経験で勝ったのは19年エイシンセラードのみ。ここでは12~21年の過去10回から傾向を見ていく。
過去10回で最も勝利を挙げるのは地元兵庫所属馬の5勝。うちエーシンサルサが2014、15年と連覇した。一方で、地元馬が3着以内を独占したことはなく、遠征馬が3着以内を独占したのは17年と21年の2回。遠征馬では高知所属馬が最多の3勝を挙げるが、これは16~18年に3連覇したディアマルコ1頭の成績。意外なことに南関東所属馬は未勝利ではあるが、3着内率は45.0%と高いこと、また近年は南関東から他地区への遠征が活発化しており、遠征馬のレベルも上がってきているため、軽視はできない。[表1]
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
兵庫 | 5 | 2 | 5 | 60 | 6.9% | 9.7% | 16.7% |
高知 | 3 | 0 | 0 | 5 | 37.5% | 37.5% | 37.5% |
愛知 | 1 | 0 | 1 | 3 | 20.0% | 20.0% | 40.0% |
金沢 | 1 | 0 | 0 | 0 | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
南関東 | 0 | 7 | 2 | 11 | 0.0% | 35.0% | 45.0% |
その他 | 0 | 1 | 2 | 10 | 0.0% | 7.7% | 23.1% |
過去10回中9回で4番人気以内の馬が優勝している。最も人気薄での勝利は21年のシーアフェアリー(愛知)で9番人気。同馬は金沢・お松の方賞2着など重賞で好走歴もあったが、この年はラインカリーナやサルサレイアなど南関東の重賞で掲示板に載った実績のある馬が遠征してきており、さらに人気を落としたとも言える。[表2]
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
1番人気 | 2 | 4 | 2 | 2 | 20.0% | 60.0% | 80.0% |
2番人気 | 3 | 1 | 2 | 4 | 30.0% | 40.0% | 60.0% |
3番人気 | 2 | 3 | 0 | 5 | 20.0% | 50.0% | 50.0% |
4番人気 | 2 | 1 | 2 | 5 | 20.0% | 30.0% | 50.0% |
5番人気以下 | 1 | 1 | 4 | 73 | 1.3% | 2.5% | 7.6% |
3歳での勝利は過去10回では2016年のディアマルコ(高知)だけで、第1回まで範囲を広げても他に10年エレーヌ(笠松)のみ。前者はその後3連覇を果たすなど強さを見せ、後者は東海ダービーを含む重賞7勝を挙げていたことから、3歳で勝つには相当な力が必要だ。中心は過去10回中7回の勝利を挙げる4歳と5歳で、競走馬が心身ともに完成の域を迎えると言われる年齢と一致する。[表3]
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
3歳 | 1 | 0 | 0 | 6 | 14.3% | 14.3% | 14.3% |
4歳 | 3 | 3 | 2 | 19 | 11.1% | 22.2% | 29.6% |
5歳 | 4 | 5 | 4 | 30 | 9.3% | 20.9% | 30.2% |
6歳 | 1 | 1 | 4 | 23 | 3.4% | 6.9% | 20.7% |
7歳 | 1 | 1 | 0 | 9 | 9.1% | 18.2% | 18.2% |
8歳 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
稀にではあるが、人気馬の出遅れが見られる当レース。2015年はピッチシフターが、20年はクレイジーアクセルがともに1番人気ながら出遅れた。ピッチシフターは3着まで挽回したが、クレイジーアクセルは逃げることができず5着に終わった。園田競馬場は外枠が滑りやすいスタート地点も存在するが、前者は9番枠、後者は1番枠で、それには当てはまらない。明確な理由は不明ながら、繊細な牝馬、ナイター競馬、遠征など当レース特有の要素が絡み合っている可能性もある。人気は信頼できるものの、レースでの不測の事態を踏まえた馬券の組み立ても必要なのかもしれない。
まず注目すべきは地元馬。近走で勝てていなくても、上位に好走していれば注目していいだろう。というのも、兵庫はイグナイターやジンギに代表されるように牡馬のレベルが高いため、牝馬がA1やA2クラスで勝つにはそれなりの力が必要なのである。また、勝利こそないものの南関東からの遠征馬には必ず警戒すべき。特に今年は東京シンデレラマイル勝ちのダノンレジーナが佐賀ヴィーナスカップに遠征するなど、これまででは考えられなかったハイレベルな馬が西日本へ遠征している。今年、南関東所属馬が勝っても不思議はない。
(文・大恵陽子)
注記
当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。