2023年11月9日(木) 笠松競馬場
ラブミーチャン
記念
右1600m 15:45発走
ラブミーチャン記念 ゴール前

データ分析 Data Analysis

笠松活躍馬の名を冠して10年目

今年で記念すべき第10回を迎えるラブミーチャン記念。その過去9回に、前身となる『プリンセス特別』の1回分を加え、2013~22年の過去10回分から分析する。この過去10回においては、2歳牝馬による地方全国交流、距離1600mという主要な条件は変わらない。また施行時期は、年によって若干前後しつつも、10月下旬から11月中旬頃の間に行われている。

■人気馬が順当に活躍

1番人気が7勝し、3着内パーフェクト。2番人気までで9勝、3着内率90%と、人気馬に敬意を表するべきレースだ。一方、6番人気以下で3着内に入った馬は1頭しかおらず、極端な人気薄の穴狙いは避けるべきレースと言える。過去10回の3連単の平均配当は、わずか4949円。1万円以上の配当がわずか1回しかない一方で、1000円を割る超低配当が3回も出ており、配当面でも人気馬の台頭が裏付けられる。【表1】

[表1]人気別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1番人気 7 2 1 0 70.0% 90.0% 100.0%
2番人気 2 4 2 2 20.0% 60.0% 80.0%
3番人気 0 1 3 6 0.0% 10.0% 40.0%
4番人気 1 2 1 6 10.0% 30.0% 40.0%
5番人気 0 1 2 7 0.0% 10.0% 30.0%
6番人気以下 0 0 1 45 0.0% 0.0% 2.2%

■中枠優勢だがそれほど差はない

笠松1600mのコースは、出走可能頭数が10頭。第3コーナー奥の引き込み線からスタートし、すぐに第4コーナーを回る形態で、枠順の有利不利についても気になるところだ。馬番別の成績を見ると、大きく分けて“中→内→外”の順に優勢という数字が出た。とはいえ、数字の差はそれほど大きいものではなく、外枠からも9番枠だったチェゴ(2017年2番人気)、10番枠だったラジアントエンティ(20年1番人気)と、人気に推されつつ勝った馬も出ている。また3番人気以内で3着を外した馬の頭数も内3頭・中2頭・外3頭と僅差。馬の脚質や気性などの個性で枠順の“向き不向き”はあるかも知れぬが、巷でイメージされるほど枠順による有利不利はないのかも知れない。【表2】

[表2]馬番別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
内(1~3番) 3 3 3 21 10.0% 20.0% 30.0%
中(4~6番) 5 5 1 17 17.9% 35.7% 39.3%
外(7~10番) 2 2 6 28 5.3% 10.5% 26.3%

■北海道デビュー馬が席巻

北海道からの遠征馬の勝率は5割。2014年は3頭、19年は2頭と複数の馬が出走していてのこの数字なので、上位入着を果たす馬も含め、やはり北海道からの遠征馬の「本気度」は相当高いと見ていい。【表3-1】 この時期は、門別でデビューしたあとすでに他地区に移籍している馬も一定数いる。そこでデビュー地別の成績を調べると、更に北海道の優位が浮き彫りになる。【表3-2】

[表3-1]所属別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
北海道 5 1 1 3 50.0% 60.0% 70.0%
笠松 2 6 5 51 3.1% 12.5% 20.3%
金沢 2 0 0 1 66.7% 66.7% 66.7%
南関東 1 0 0 3 25.0% 25.0% 25.0%
名古屋 0 2 2 4 0.0% 25.0% 50.0%
兵庫 0 1 0 2 0.0% 33.3% 33.3%
岩手 0 0 1 1 0.0% 0.0% 50.0%
高知 0 0 1 1 0.0% 0.0% 50.0%

他地区デビューで勝った2頭は、金沢のヤマミダンス(16年)と大井のボヌールバローズ(22年)で、いずれも1番人気での勝利。後の活躍も含めての話になるが、やはりよほどのポテンシャルを備え、かなりのパフォーマンスを発揮していない限り、北海道デビュー馬に対抗するのは難しそうだ。

[表3-2]デビュー地別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
北海道 8 6 8 26 16.7% 29.2% 45.8%
金沢 1 0 0 1 50.0% 50.0% 50.0%
南関東 1 0 0 4 20.0% 20.0% 20.0%
笠松 0 1 2 27 0.0% 3.3% 10.0%
JRA 0 1 0 1 0.0% 50.0% 50.0%
兵庫 0 1 0 1 0.0% 50.0% 50.0%
名古屋 0 1 0 3 0.0% 25.0% 25.0%
高知 0 0 0 1 0.0% 0.0% 0.0%
岩手 0 0 0 2 0.0% 0.0% 0.0%

■重賞経験はほぼ必須、門別重賞は一段上の評価を

重賞経験別の成績ではさらに差があることがわかる。重賞出走歴がある馬の中では、重賞の勝利、または2、3着入着の実績がある方が望ましいが、上位入着歴がない馬たちでも善戦していることが窺われる。【表4】

[表4]重賞経験別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
重賞
勝ちあり
4 2 2 3 36.4% 54.5% 72.7%
重賞
2、3着あり
3 3 2 4 25.0% 50.0% 66.7%
重賞出走も
3着内なし
2 2 0 12 12.5% 25.0% 25.0%
重賞
出走なし
1 3 6 47 1.8% 7.0% 17.5%

注目したいのは出走した重賞の中身で、門別の重賞に結果問わず1度でも出走歴があった馬の当レース成績は、【7-3-1-2】とかなりの好成績だ。象徴的なのは、当レースを4番人気で優勝したミスミランダー(2015年)。門別で重賞を4戦し、フルールカップ2着が最高の成績で臨んだ当レースでは、名古屋・園田・金沢でそれぞれ直近に重賞を勝って来た馬たち3頭を撃破し、馬券的にも高配当をもたらした。レベルの高い門別2歳重賞での実績は、他地区の重賞でのものよりも一段高く見積もる必要があるだろう。

勝つのはこういう馬!

北海道からの遠征馬、または北海道デビューの他地区所属馬。重賞出走、出来ればそこでの高い戦歴がある馬が良く、門別の重賞に出走歴がある馬には特に注目。更に中枠に組まれていればなお望ましい。

(文・坂田 博昭)

注記

当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。