笠松活躍馬の名を冠して10年目
今年で記念すべき第10回を迎えるラブミーチャン記念。その過去9回に、前身となる『プリンセス特別』の1回分を加え、2013~22年の過去10回分から分析する。この過去10回においては、2歳牝馬による地方全国交流、距離1600mという主要な条件は変わらない。また施行時期は、年によって若干前後しつつも、10月下旬から11月中旬頃の間に行われている。
1番人気が7勝し、3着内パーフェクト。2番人気までで9勝、3着内率90%と、人気馬に敬意を表するべきレースだ。一方、6番人気以下で3着内に入った馬は1頭しかおらず、極端な人気薄の穴狙いは避けるべきレースと言える。過去10回の3連単の平均配当は、わずか4949円。1万円以上の配当がわずか1回しかない一方で、1000円を割る超低配当が3回も出ており、配当面でも人気馬の台頭が裏付けられる。【表1】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
1番人気 | 7 | 2 | 1 | 0 | 70.0% | 90.0% | 100.0% |
2番人気 | 2 | 4 | 2 | 2 | 20.0% | 60.0% | 80.0% |
3番人気 | 0 | 1 | 3 | 6 | 0.0% | 10.0% | 40.0% |
4番人気 | 1 | 2 | 1 | 6 | 10.0% | 30.0% | 40.0% |
5番人気 | 0 | 1 | 2 | 7 | 0.0% | 10.0% | 30.0% |
6番人気以下 | 0 | 0 | 1 | 45 | 0.0% | 0.0% | 2.2% |
笠松1600mのコースは、出走可能頭数が10頭。第3コーナー奥の引き込み線からスタートし、すぐに第4コーナーを回る形態で、枠順の有利不利についても気になるところだ。馬番別の成績を見ると、大きく分けて“中→内→外”の順に優勢という数字が出た。とはいえ、数字の差はそれほど大きいものではなく、外枠からも9番枠だったチェゴ(2017年2番人気)、10番枠だったラジアントエンティ(20年1番人気)と、人気に推されつつ勝った馬も出ている。また3番人気以内で3着を外した馬の頭数も内3頭・中2頭・外3頭と僅差。馬の脚質や気性などの個性で枠順の“向き不向き”はあるかも知れぬが、巷でイメージされるほど枠順による有利不利はないのかも知れない。【表2】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
内(1~3番) | 3 | 3 | 3 | 21 | 10.0% | 20.0% | 30.0% |
中(4~6番) | 5 | 5 | 1 | 17 | 17.9% | 35.7% | 39.3% |
外(7~10番) | 2 | 2 | 6 | 28 | 5.3% | 10.5% | 26.3% |
北海道からの遠征馬の勝率は5割。2014年は3頭、19年は2頭と複数の馬が出走していてのこの数字なので、上位入着を果たす馬も含め、やはり北海道からの遠征馬の「本気度」は相当高いと見ていい。【表3-1】 この時期は、門別でデビューしたあとすでに他地区に移籍している馬も一定数いる。そこでデビュー地別の成績を調べると、更に北海道の優位が浮き彫りになる。【表3-2】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
北海道 | 5 | 1 | 1 | 3 | 50.0% | 60.0% | 70.0% |
笠松 | 2 | 6 | 5 | 51 | 3.1% | 12.5% | 20.3% |
金沢 | 2 | 0 | 0 | 1 | 66.7% | 66.7% | 66.7% |
南関東 | 1 | 0 | 0 | 3 | 25.0% | 25.0% | 25.0% |
名古屋 | 0 | 2 | 2 | 4 | 0.0% | 25.0% | 50.0% |
兵庫 | 0 | 1 | 0 | 2 | 0.0% | 33.3% | 33.3% |
岩手 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0.0% | 0.0% | 50.0% |
高知 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0.0% | 0.0% | 50.0% |
他地区デビューで勝った2頭は、金沢のヤマミダンス(16年)と大井のボヌールバローズ(22年)で、いずれも1番人気での勝利。後の活躍も含めての話になるが、やはりよほどのポテンシャルを備え、かなりのパフォーマンスを発揮していない限り、北海道デビュー馬に対抗するのは難しそうだ。
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
北海道 | 8 | 6 | 8 | 26 | 16.7% | 29.2% | 45.8% |
金沢 | 1 | 0 | 0 | 1 | 50.0% | 50.0% | 50.0% |
南関東 | 1 | 0 | 0 | 4 | 20.0% | 20.0% | 20.0% |
笠松 | 0 | 1 | 2 | 27 | 0.0% | 3.3% | 10.0% |
JRA | 0 | 1 | 0 | 1 | 0.0% | 50.0% | 50.0% |
兵庫 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0.0% | 50.0% | 50.0% |
名古屋 | 0 | 1 | 0 | 3 | 0.0% | 25.0% | 25.0% |
高知 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
岩手 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
重賞経験別の成績ではさらに差があることがわかる。重賞出走歴がある馬の中では、重賞の勝利、または2、3着入着の実績がある方が望ましいが、上位入着歴がない馬たちでも善戦していることが窺われる。【表4】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
重賞 勝ちあり |
4 | 2 | 2 | 3 | 36.4% | 54.5% | 72.7% |
重賞 2、3着あり |
3 | 3 | 2 | 4 | 25.0% | 50.0% | 66.7% |
重賞出走も 3着内なし |
2 | 2 | 0 | 12 | 12.5% | 25.0% | 25.0% |
重賞 出走なし |
1 | 3 | 6 | 47 | 1.8% | 7.0% | 17.5% |
注目したいのは出走した重賞の中身で、門別の重賞に結果問わず1度でも出走歴があった馬の当レース成績は、【7-3-1-2】とかなりの好成績だ。象徴的なのは、当レースを4番人気で優勝したミスミランダー(2015年)。門別で重賞を4戦し、フルールカップ2着が最高の成績で臨んだ当レースでは、名古屋・園田・金沢でそれぞれ直近に重賞を勝って来た馬たち3頭を撃破し、馬券的にも高配当をもたらした。レベルの高い門別2歳重賞での実績は、他地区の重賞でのものよりも一段高く見積もる必要があるだろう。
北海道からの遠征馬、または北海道デビューの他地区所属馬。重賞出走、出来ればそこでの高い戦歴がある馬が良く、門別の重賞に出走歴がある馬には特に注目。更に中枠に組まれていればなお望ましい。
(文・坂田 博昭)
注記
当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。