旧競馬場の名を刻み、新競馬場へ
グランダム・ジャパン(GDJ)3歳シーズンの2戦目となる若草賞。シリーズ発足当初は福山競馬場で行われていたが、同競馬場の廃止により、2014年からは開催地を名古屋に移して今に至る。名古屋競馬場の移転に伴い、距離は従来の1400mから1500mに変更。レースタイトルには、旧競馬場所在地のかつての地名“土古”が冠された。ここでは、旧名古屋競馬場に開催が移った14年から22年まで9年間をデータで振り返る。
過去9年、1〜2番人気の馬で7勝、2着6回と、上位人気の馬の信頼度は高いレース。一方、3着には4番人気以下の伏兵の台頭がしばしばあり、好配当を見込むならいわゆる“ヒモ荒れ”が狙い目となる。なお、人気薄で勝った2017年のタッチスプリントや18年のレコパンハロウィー、あるいは3着に食い込んだ21年のオーゴンノキズナや昨年のスターフジサンなど、好配当を演出してきたのは後方からマクリ追い込みを決めた馬。差しも決まる新競馬場の展開傾向も考慮すれば、波乱を巻き起こす追い込み馬の台頭には一考の余地があるだろう。[表1]
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
1番人気 | 6 | 1 | 0 | 2 | 66.7% | 77.8% | 77.8% |
2番人気 | 1 | 5 | 1 | 2 | 11.1% | 66.7% | 77.8% |
3番人気 | 0 | 1 | 1 | 7 | 0.0% | 11.1% | 22.2% |
4番人気 | 1 | 1 | 3 | 4 | 11.1% | 22.2% | 55.6% |
5番人気 | 0 | 1 | 1 | 7 | 0.0% | 11.1% | 22.2% |
6番人気以下 | 1 | 0 | 3 | 56 | 1.7% | 1.7% | 6.7% |
地元名古屋勢の活躍もあるが、率で言うと微妙な成績。逆に目立つのは兵庫からの遠征馬で、出走16頭中13頭が、それまでに重賞で3着以内に入ったことのある実績馬で、そもそも遠征の“本気度”が窺われる馬が多いのは、GDJ3歳シーズンの序盤であり、かつ遠征距離の短さも相まってのことだろう。特に、1月に行われる同じ3歳牝馬重賞・兵庫クイーンセレクション(2020年までは園田クイーンセレクション)で3着以内に活躍した兵庫所属馬は、当レースでも【2-2-2-2】と目が離せない。また近年各地で活躍が目立つ高知からの遠征馬は、当レースでも出走数が少ないとは言え実績があり。出てくるようならマークが必要だろう。[表2]
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
兵庫 | 4 | 2 | 3 | 7 | 25.0% | 37.5% | 56.3% |
名古屋 | 2 | 2 | 5 | 44 | 3.8% | 7.5% | 17.0% |
高知 | 2 | 1 | 0 | 1 | 50.0% | 75.0% | 75.0% |
南関東 | 1 | 3 | 1 | 12 | 5.9% | 23.5% | 29.4% |
北海道 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0.0% | 100.0% | 100.0% |
佐賀 | 0 | 0 | 0 | 5 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
笠松 | 0 | 0 | 0 | 9 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
2歳のうちは、デビューの早い北海道からの転入馬の活躍が多く見られる重賞戦線だが、明けて3歳の春ともなれば徐々に各地のデビュー馬が台頭してくる時期。当レースの活躍馬をデビュー地別に見ると、全体としてはまだ北海道出身馬の優勢は揺るがぬものの、兵庫の“生え抜き”は見逃せない。逆に、名古屋所属の勝ち馬2頭はいずれも北海道からの転入馬で、名古屋デビュー馬は劣勢の感が否めない。注意したいのはJRAからの転入馬。名古屋への転入初戦をちぎって勝って臨んだ17年ショルト(1番人気6着)や、JRAで1勝したあと名古屋と笠松で2連勝して臨んだ22年グレタ(3番人気4着)のように、少々目立つ戦歴があっても買いかぶりは禁物だ。[表3]
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
北海道 | 6 | 4 | 3 | 40 | 11.3% | 18.9% | 24.5% |
兵庫 | 3 | 1 | 3 | 4 | 27.3% | 36.4% | 63.6% |
名古屋 | 0 | 2 | 2 | 18 | 0.0% | 9.1% | 18.2% |
南関東 | 0 | 1 | 0 | 4 | 0.0% | 20.0% | 20.0% |
JRA | 0 | 0 | 0 | 6 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
その他 | 0 | 1 | 1 | 6 | 0.0% | 12.5% | 25.0% |
前走の着順別に見ると、活躍を期待するにはせめて前走3着まで。4着以下となると率はガクンと落ちる。前走4着以下から巻き返した8例のうち、優勝した2例はその前走がJRAへの挑戦(15年ジュエルクイーン、17年タッチスプリント)、4例が南関東の重賞または特別戦。あとの2例は名古屋の牡牝混合の重賞スプリングカップだった。前走敗退馬の活躍に期待するなら、その前走レースが負けても“言い訳の立つ”レベルのものだったかどうかは見極めるべきだろう。[表4]
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
前走1着 | 3 | 4 | 4 | 16 | 11.1% | 25.9% | 40.7% |
前走2着 | 3 | 1 | 2 | 9 | 20.0% | 26.7% | 40.0% |
前走3着 | 1 | 1 | 0 | 10 | 8.3% | 16.7% | 16.7% |
前走4着以下 | 2 | 3 | 3 | 43 | 3.9% | 9.8% | 15.7% |
遠征馬の中で高実績、かつ近走好走歴のある馬を素直に信頼。とりわけ兵庫からの遠征馬で重賞実績がある馬は、活躍の可能性が高い。地元・名古屋所属馬を狙うなら、門別出身馬の完成度に期待。
(文・坂田 博昭)
注記
当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。