金沢伝統の牝馬重賞
今年で第41回を数える読売レディス杯は、2010年のグランダム・ジャパン(GDJ)開始当初から古馬シーズンに編入され、地方全国交流競走として金沢競馬場で争われてきた。近10年、距離は一貫して1500mで変更はないが、実施時期には多少の変遷がある。2013、14年には7月上旬に実施されたこと、また2021年はコロナ禍の影響で、金沢所属馬限定戦として11月に時期を移して実施された点に留意しつつ、過去10年のデータを紐解いていく。
1、2番人気で8勝、2着5回。人気馬がそれなりに勝っているとは言えるが、一方で人気薄の台頭が少ないとも言えない。近2年は1、2着が人気通りの決着となり、3連単1000円台と堅く収まったが、1、2番人気ともに4着以下に沈んだ2015年は3連単42万円台、2019年は24万円台と超高配当も出ている。極端に荒れたその2年を含め、過去10年で3連単1万円超の配当が5回。人気薄の中に「これ」と思われる馬がいるなら、高配当狙いも決して無理ではないレースと言える。【表1】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
1番人気 | 4 | 3 | 0 | 3 | 40.0% | 70.0% | 70.0% |
2番人気 | 4 | 2 | 1 | 3 | 40.0% | 60.0% | 70.0% |
3番人気 | 0 | 0 | 2 | 8 | 0.0% | 0.0% | 20.0% |
4番人気 | 0 | 2 | 2 | 8 | 0.0% | 0.0% | 20.0% |
5番人気 | 1 | 1 | 1 | 7 | 10.0% | 20.0% | 30.0% |
6番人気以下 | 1 | 2 | 4 | 55 | 1.6% | 4.8% | 11.3% |
出走頭数が多いとはいえ、4歳馬が8勝と絶対数では断然の実績と言える。2、3着ならばそれ以上の高齢の馬の食い込みもあるが、勝利は2頭だけ。まずはやはり、イキのいい4歳馬から勝利の可能性を探るべきだろう。
3歳馬は、この時期だけに出走数自体が少なく、評価が難しい。浦和・桜花賞を勝ったあとの休み明けで臨んだスターインパルス(2017年)が、1番人気に推され2着したのが最高で、あとは3着内なし。3歳夏の段階では、"古馬の壁"はそれなりに厚いということだろう。【表2】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
3歳 | 0 | 1 | 0 | 5 | 0.0% | 16.7% | 16.7% |
4歳 | 8 | 3 | 3 | 34 | 16.7% | 22.9% | 29.2% |
5歳 | 0 | 3 | 2 | 24 | 0.0% | 10.3% | 17.2% |
6歳 | 1 | 3 | 5 | 14 | 4.3% | 17.4% | 39.1% |
7歳以上 | 1 | 0 | 0 | 5 | 16.7% | 16.7% | 16.7% |
南関東からの遠征馬が強い。過去10年で半分の5勝、2着も4回。南関東所属馬でワンツーとなった年も3回(2013、17、22年)あり、実績の上では群を抜いている。南関東所属で3着以内に入った11頭のうち、1、2番人気だったのは7頭。人気薄での活躍馬の中には、5番人気で勝って3連単24万円以上の高配当を演出したジェッシージェニー(19年)のような馬もおり、伏兵扱いされている馬であってもその台頭の可能性には注意を払いたい。
また、兵庫からの遠征馬は南関東より出走数が少ないが、活躍馬の比率でいうと互角かそれ以上。兵庫から当レースへの遠征では、南関東所属馬とは異なりグランダム・ジャパンのポイントにおいて出走地区による"割り増し"がないが、それでもこのレースに遠征してくる陣営の“意欲”は汲むべきなのかも知れない。【表3】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
南関東 | 5 | 4 | 2 | 11 | 22.7% | 40.9% | 50.0% |
兵庫 | 2 | 3 | 1 | 3 | 22.2% | 33.3% | 77.8% |
金沢 | 2 | 1 | 4 | 55 | 3.2% | 8.1% | 9.7% |
北海道 | 1 | 0 | 0 | 0 | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
高知 | 0 | 1 | 1 | 3 | 0.0% | 20.0% | 40.0% |
愛知 | 0 | 1 | 0 | 3 | 0.0% | 25.0% | 25.0% |
岩手 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0.0% | 0.0% | 100.0% |
笠松 | 0 | 0 | 1 | 7 | 0.0% | 0.0% | 12.5% |
前走のレース種別で見ると、勝利数は重賞と特別ともに5回だが、3着内の活躍全体で見れば、やはり前走で重賞を使われている馬がかなり優勢だ。但し、その前走の着順まで詳しく見ると、当レース3着内となった馬の中で前走重賞を勝った馬は、スターインパルス(2017年2着)だけ。むしろ、前走で直近にあるグランダムジャパン古馬シーズンの重賞・兵庫サマークイーン賞を勝った馬が、ディアマルコ(18年1番人気4着)、エイシンエール(19年1番人気7着)、エイシンセラード(20年3番人気6着)と3年連続で馬券圏外に敗退するなど、前走重賞勝ちの馬の当レースの成績はトータル【0-1-0-4】。前走で勝った事実だけを鵜呑みにするのではなく、相手関係や、夏場だけに中間の体調面などを勘案して慎重に検討したい。【表4】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
重賞 | 5 | 7 | 4 | 26 | 11.9% | 28.6% | 38.1% |
準重賞 | 5 | 7 | 4 | 26 | 11.9% | 28.6% | 38.1% |
特別 | 5 | 3 | 5 | 48 | 8.2% | 13.1% | 21.3% |
一般戦 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
南関東から遠征してきた4歳馬。前走重賞に出走して臨む馬の中から、人気や前走の成績にとらわれることなく選んでいきたい。
(文・坂田 博昭)
注記
当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。