名古屋の秋を彩る牝馬の戦い
秋桜(あきざくら)賞は、グランダム・ジャパン(GDJ)古馬シーズンのラストひとつ前で他場からの遠征馬も数多く参戦し、激戦が繰り広げられてきた。2013年以降は1400mで実施されてきたが、昨年の名古屋競馬場移転に伴い1500mとなり、さらに今年は1700mでの実施となる。時期的には、9月の上旬から中旬に行われている。ここでは13~22年の過去10回から傾向を探る。
1番人気が5勝。しかしあとの5回は4着以下と、“勝つか飛ぶか”極端な結果となっている。2番人気まで広げれば8頭が勝っており、勝利の可能性としては人気馬が期待に応えていると言えないこともない。しかし、2、3着に関しては20頭中14頭が4番人気以下。馬券という意味では波乱含みの傾向も見て取れる。【表1】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
1番人気 | 5 | 0 | 0 | 5 | 50.0% | 50.0% | 50.0% |
2番人気 | 3 | 1 | 2 | 4 | 30.0% | 40.0% | 60.0% |
3番人気 | 0 | 3 | 0 | 7 | 0.0% | 30.0% | 30.0% |
4番人気 | 2 | 1 | 2 | 5 | 20.0% | 30.0% | 50.0% |
5番人気 | 0 | 2 | 2 | 6 | 0.0% | 20.0% | 40.0% |
6番人気以下 | 0 | 3 | 4 | 55 | 0.0% | 4.8% | 11.3% |
実際、過去10回の3連単の平均配当は57,020円。近2年は堅い決着だったが、その前2020年は9万円台、更にその前19年は27万円台と大波乱。10回中5回で3連単1万円以上の高配当が出ており、穴を探す価値は十分にあるレースと言える。
南関東所属馬が、のべ15頭出走して6勝。3着内が10頭と、他を圧倒している。南関東勢は強豪馬や実績馬が複数出走することも多いが、その3着内の活躍馬に共通しているのが、前走でGDJのシリーズ重賞を使われ、掲示板内の活躍をしていること。この例外は、2021年1着のグランデストラーダ1頭だけで、前走はダートグレードのスパーキングレディカップJpnIIIで3着だった。逆に、前走GDJ古馬シーズンの重賞を好走したにもかかわらず当レースで凡退したのも、2018年9着のエースウィズ(前走読売レディス杯1着)1頭だけ。GDJでの活躍を期する馬たちの遠征意欲が、結果に結びついていると言えるだろう。【表2】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
南関東 | 6 | 1 | 3 | 5 | 40.0% | 46.7% | 66.7% |
愛知 | 2 | 3 | 3 | 45 | 3.8% | 3.8% | 15.1% |
兵庫 | 1 | 1 | 3 | 9 | 7.1% | 35.7% | 35.7% |
高知 | 1 | 1 | 0 | 7 | 11.1% | 22.2% | 22.2% |
笠松 | 0 | 2 | 0 | 12 | 0.0% | 14.3% | 14.3% |
金沢 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0.0% | 50.0% | 50.0% |
北海道 | 0 | 1 | 0 | 2 | 0.0% | 33.3% | 33.3% |
佐賀 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0.0% | 0.0% | 50.0% |
年齢別に見ると、サンプルが十分にある4歳以上では、5歳馬が若干優勢。昨年6歳のダノンレジーナ(GDJ2022古馬シーズン優勝)が勝ち、少し数字的には平準化された感じがあるが。6歳から7歳以上へと高齢になるにつれ、好走割合も落ちてくる。
3歳馬は7頭出走して2勝(2013年ピッチシフター、17年スターインパルス)。いずれもそれまでに複数の重賞勝利があり、人気にもなっていた。但し、3歳馬の重賞路線の整備が進んだこともあり、2019年以降3歳馬の出走はない。今後もし出てくるようなら、当レースを狙う“動機”や、古馬一線級と戦えるだけの戦歴の裏付けがあるかどうかを慎重に検討すべきだろう。【表3】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
3歳 | 2 | 0 | 0 | 5 | 28.6% | 28.6% | 28.6% |
4歳 | 3 | 3 | 3 | 27 | 8.3% | 16.7% | 25.0% |
5歳 | 4 | 4 | 2 | 25 | 11.4% | 22.9% | 28.6% |
6歳 | 1 | 3 | 3 | 17 | 4.2% | 16.7% | 29.3% |
7歳以上 | 0 | 0 | 2 | 8 | 0.0% | 0.0% | 20.0% |
年齢別に見ると、サンプルが十分にある4歳以上では、5歳馬が若干優勢。昨年6歳のダノンレジーナ(GDJ2022古馬シーズン優勝)が勝ち、少し数字的には平準化された感じがあるが。6歳から7歳以上へと高齢になるにつれ、好走割合も落ちてくる。
3歳馬は7頭出走して2勝(2013年ピッチシフター、17年スターインパルス)。いずれもそれまでに複数の重賞勝利があり、人気にもなっていた。但し、3歳馬の重賞路線の整備が進んだこともあり、2019年以降3歳馬の出走はない。今後もし出てくるようなら、当レースを狙う“動機”や、古馬一線級と戦えるだけの戦歴の裏付けがあるかどうかを慎重に検討すべきだろう。【表3】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
3歳 | 2 | 0 | 0 | 5 | 28.6% | 28.6% | 28.6% |
4歳 | 3 | 3 | 3 | 27 | 8.3% | 16.7% | 25.0% |
5歳 | 4 | 4 | 2 | 25 | 11.4% | 22.9% | 28.6% |
6歳 | 1 | 3 | 3 | 17 | 4.2% | 16.7% | 29.3% |
7歳以上 | 0 | 0 | 2 | 8 | 0.0% | 0.0% | 20.0% |
重賞での実績という切り口で調べると、重賞に出ているだけでなく、勝利の実績があるかどうかで数字的には大きな差が出た。当レースの活躍のためには、重賞の勝利経験はかなり重要な要件であると言える。なお、当レースが重賞初制覇となった3頭はいずれも、“南関東所属”の“5歳馬”で、これまでに紐解いたデータに合致する馬だった。
注目すべきは、4頭の3着内活躍馬がいる重賞未経験馬。4頭全てが名古屋または笠松の地元東海所属馬で、いずれもJRAから地方競馬に転入後、条件戦で殆ど途切れることなく活躍を続けてオープンまで上り詰めた、所謂“底を見せていない馬”。東海所属馬の好走のひとつの形と見てもいいかもしれない。【表4】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
重賞勝ち経験あり | 7 | 8 | 5 | 28 | 14.6% | 31.3% | 41.7% |
重賞2、3着経験あり | 3 | 0 | 2 | 19 | 12.5% | 12.5% | 20.8% |
出走あるが3着内なし | 0 | 0 | 1 | 17 | 0.0% | 0.0% | 5.6% |
出走なし | 0 | 2 | 2 | 18 | 0.0% | 9.1% | 18.2% |
南関東所属で、当該年のGDJ古馬シーズンで好走歴のある5歳馬。出来れば重賞勝ちの経験があれば望ましい。
(文・坂田 博昭)
注記
当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。