データ分析 Data Analysis

快速武器の地方馬が集結するスピード王決定戦

日本各地で行われてきたスーパースプリントシリーズのファイナルにふさわしく、例年一瞬たりとも見逃せないハイレベルな争いが繰り広げられてきた。NARグランプリ最優秀短距離馬に選出されたラブミーチャンやナイキマドリードを筆頭に、アピアやノブワイルドといった地方競馬を代表するスピード自慢が勝ち馬として名を連ねている。ここでは2012年~21年まで過去10回の結果から傾向を探っていく。

■近年は大井、船橋、浦和の3強ムード

笠松を代表する快速馬ラブミーチャンが2011年から3連覇した後も、他地区から多くの馬が参戦してきたが勝ち馬は出ていない。近年は南関東勢が優勢で、特に浦和・小久保智厩舎が近3年で2勝、3着2回と活躍が目立っている。ただし、各項目の成績を見てみると大井、船橋、浦和に大きな差はない。対して川崎は12頭が出走して馬券圏なしと苦戦傾向にある。[表1]

[表1]所属別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
船橋 4 4 4 28 10.0% 20.0% 30.0%
大井 2 4 1 17 8.3% 25.0% 29.2%
浦和 2 1 4 12 10.5% 15.8% 36.8%
川崎 0 0 0 12 0.0% 0.0% 0.0%
他地区 2 1 1 34 5.3% 7.9% 10.5%

■3番人気までがV圏内

勝ち馬は1、2、3番人気のみと、上位人気馬を中心に考えるのが妥当。過去10回のうち9回が1~4番人気のワンツー決着。連対圏で見てみても安定した成績を収めていることが分かる。11番人気の低評価を覆して3着に好走した2021年のフランシスコダイゴは前年のこのレースでも3着。高い舞台適性を示していただけでなく、前項でも触れた小久保智厩舎の所属だった。[表2]

[表2]単勝人気別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1番人気 5 2 1 2 50.0% 70.0% 80.0%
2番人気 2 2 2 4 20.0% 40.0% 60.0%
3番人気 3 1 0 6 30.0% 40.0% 40.0%
4番人気 0 4 1 5 0.0% 40.0% 50.0%
5番人気 0 0 1 9 0.0% 0.0% 10.0%
6番人気以下 0 1 5 77 0.0% 1.2% 7.2%

■自身のスピードを発揮しやすい6、7枠が好成績

3勝、2着3回の6枠と、2勝、2着3回の7枠が好成績を残していることが枠順別成績から見て取れる。それに対して、スタートやテンのスピードに課題があると力を発揮できない可能性がある1、2枠と、難しい立ち回りが求められる8枠からは勝ち馬が出ていない。1000m戦だけに、いかにスムーズにレースを運びスピードに乗ることができるかが重要になる。[表3]

[表3]枠順別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1枠 0 0 0 10 0.0% 0.0% 0.0%
2枠 0 2 0 8 0.0% 20.0% 20.0%
3枠 2 0 1 15 11.1% 11.1% 16.7%
4枠 2 0 3 13 11.1% 11.1% 27.8%
5枠 1 1 2 14 5.6% 11.1% 22.2%
6枠 3 3 2 11 15.8% 31.6% 42.1%
7枠 2 3 1 14 10.0% 25.0% 30.0%
8枠 0 1 1 18 0.0% 5.0% 10.0%

※21年の5枠8番は出走取消

■船橋1000mの重賞成績に注目

1月にこの舞台で行われる船橋記念の覇者が参戦してきた場合は【2-3-0-3】で、前年の習志野きらっとスプリントを制し、連覇に挑んだ馬は【3-1-0-3】。3着を外したのべ6頭を見てみると(2015年ナイキマドリードと17年フラットライナーズは両方に該当)、ナイキマドリードは前2走がともに勝ち馬から2秒以上離された9歳馬で、16年のルックザットキルを除いた2頭は勝ち馬が出ていない2枠と8枠だった。枠順や近走成績に陰りがなければ、順当にV争いと判断するべきだろう。

勝つのはこういう馬!

まず上位人気馬から勝ち馬が出ると考えることがセオリーで、その中でもいかに自身のスピードを発揮しやすい枠順に入ったかを検討する必要がある。前年の覇者や、同年船橋記念を勝った馬が出てくれば、V争いが濃厚。さらに小久保智厩舎は要チェック。

(文・前田 恒)

注記

当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。