南関東の躍進目立つ古馬シーズン開幕戦
2017年に地方全国交流戦として創設された、佐賀では唯一の古馬牝馬重賞。18年の第2回からグランダム・ジャパン(GDJ)古馬シーズンに参入し、その後は毎年その開幕戦となっている。第1回は7月で、その後は5月から6月にかけての実施だったが、今年はもっとも早い時期に行われることになる。なお22年はダノンレジーナ(浦和)が当レースを皮切りに、兵庫サマークイーン賞、秋桜賞とシリーズ対象競走3勝で総合優勝を果たした。ここでは17~22年の過去6回から傾向を見ていく。
過去6回すべて勝ち馬の所属が異なり、第1回から順に兵庫、高知、佐賀、大井、川崎、浦和。2018年と20年は他地区馬が上位を独占し、佐賀は1勝、2着2回、3着1回にとどまる。西日本以外からはじめて遠征があった第3回の19年と、20年は大井が3着以内に2頭ずつ進出。21年は川崎が勝利し、22年は浦和が勝利し2着が大井と南関東勢が躍進している。【表1】
所属 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
南関東 | 3 | 3 | 1 | 6 | 23.1% | 46.2% | 53.8% |
佐賀 | 1 | 2 | 1 | 37 | 2.4% | 7.3% | 9.8% |
兵庫 | 1 | 1 | 1 | 4 | 14.3% | 28.6% | 42.9% |
高知 | 1 | 0 | 0 | 0 | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
上記以外 | 0 | 0 | 3 | 3 | 0.0% | 0.0% | 50.0% |
1番人気は3勝、2着1回で、上位人気3頭が3着以内を独占したのは2018年だけ。逆に揃って4着以下となったのも1回(21年)あり、上位人気の信頼度は高いとはいえない。GDJ古馬シーズン初戦ということで、近走で対戦歴がない馬が多いことが能力比較を難しくしている印象。しかし、22年は前走浦和・しらさぎ賞から2着ダノンレジーナ(浦和)、3着アルコレーヌ(大井)、4着シーアフェアリー(愛知)が出走。しらさぎ賞の着順どおりに1、2、3番人気となり、結果も1、2、4着(3着は4番人気の地元ミスカゴシマ)と順当に収まっている。【表2】
単勝人気 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
1番人気 | 3 | 1 | 0 | 2 | 50.0% | 66.7% | 66.7% |
2番人気 | 0 | 2 | 1 | 3 | 0.0% | 33.3% | 50.0% |
3番人気 | 2 | 0 | 0 | 4 | 33.3% | 33.3% | 33.3% |
4番人気 | 0 | 1 | 1 | 4 | 0.0% | 16.7% | 33.3% |
5番人気 | 0 | 2 | 2 | 2 | 0.0% | 33.3% | 66.7% |
6番人気以下 | 1 | 0 | 2 | 35 | 2.6% | 2.6% | 7.9% |
年齢別では、出走数が27頭と最も多い5歳が4勝、2着3回、3着4回で、勝率・連対率・3着内率のいずれもトップとなっている。これに続くのが4歳で1勝、2着2回、3着1回。6歳は2022年にダノンレジーナ(浦和)が初勝利したが、3着以内は計3回。7歳以上の馬券絡みはなし。なお2年連続出走で前年より着順を上げたのはアンバラージュ(4着→2着)と、ミスカゴシマ(7着→3着)の2頭だけで、ともに4歳→5歳のケースだった。【表3】
年齢 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
4歳 | 1 | 2 | 1 | 12 | 6.3% | 18.8% | 25.0% |
5歳 | 4 | 3 | 4 | 16 | 14.8% | 25.9% | 40.7% |
6歳 | 1 | 1 | 1 | 13 | 6.3% | 12.5% | 18.8% |
7歳 | 0 | 0 | 0 | 5 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
8歳以上 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
佐賀所属馬は3着以内に4頭進出しているが、同一年に2頭以上進出したケースはない。4頭のうち、条件戦を連勝し重賞初出走だった2019年1着ハッピーハッピー以外の3頭はすべて重賞勝ち馬だった。佐賀競馬では古馬の牝馬限定戦はB級以上では年間を通してこの佐賀ヴィーナスカップのみ。A級で牡馬相手に互角に戦えていれば直近のレースで敗れていても問題ないが、そういう馬の出走がなければ、他地区相手には非常に厳しい戦いになりそうだ。
過去6回中4回で5歳の遠征馬が勝利。南関東勢の躍進を考慮すれば、南関東の5歳馬がいれば、直近の成績にかかわらず狙い目となりそうだ。過去10戦で3連勝以上を含め4勝以上を挙げていた勢いある馬も有力。また前年のGDJ古馬シーズンの対象競走で勝利していた馬も2018年ディアマルコ(高知)、20年ジェッシージェニー(大井)と2勝。22年ダノンレジーナ(浦和)は、古馬シーズン対象外だが東京シンデレラマイル連覇(20、21年)があり、実績馬も軽視できない。
(文・上妻輝行)
注記
当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。