第36回 2011年7月20日 ネイティヴハート


 岩手所属として00朝日杯3歳S(3着)や01NHKマイルカップ(4着)など中央の芝の重賞レースに挑戦し、並みいる強豪を相手に堂々と戦い続けたネイティヴハート。南関東に移籍後も中央の芝のレースを主戦場とし、06オーシャンSでは内田博幸騎手を背に14番人気ながらも豪快に差し切って、8歳にして悲願の中央の芝のタイトルを手にしました。その年のNARグランプリ最優秀短距離馬に選出。

 9歳まで走り続け、現役引退後は歴戦の疲れを取るために北海道の牧場でのんびり過ごし、その後はイーストスタッドで種牡馬生活をスタートさせました。現役時代から気性のきつさは天下一品で、同時に超馬っ気の強い所も有名でした。種牡馬入りという話しを聞いた時は、「ネイティヴにとって天職だねぇ」と厩舎の人たちと喜び合ったものです。

 イーストスタッドの青木大典場長のお話しでは、最初から種付けは天才的なうまさだったそうで、さすがネイティヴ!!(笑)

 今年13歳になりましたが、体のハリや毛づやは現役時代を彷彿とさせるような様相で、本当に若々しくて驚いてしまいます。「普段からチャカチャカして落ち着きがない馬ですが、種牡馬の中ではおとなしい方だと思うし扱いやすいですよ」(青木場長)現役時代には洗い場でよく脚を折り曲げてストレッチしている姿が見られたんですが、そういうクセは今も変わらないそうです。

 「彼が現役時代は同志って感じだったけど、今は親子かな。いい相棒って感じですよ。目つきはかなり優しくなりましたね。中央の重賞レースを勝たせてもらって、私は本当に幸せな男だと思います。彼に対してもそれだけの責任があるし、これからも『ネイティヴハート』という名前は維持をさせてあげたいんです」と池田草龍オーナー。

 池田オーナーは月に1度は愛する相棒に会いに行っているそうで、「つい先日もいらっしゃいましたよ。この馬には池田オーナーをはじめ坂本昇調教師、生産者関係など今でもたくさんの人たちが会いに来ます。みんなに愛されている馬なんだなぁって実感できますよ」(青木場長)

 実は昨年、ネイティヴハートの初めての仔が誕生しました。タイキルナ2010(牡馬)、タイキノワール2010(牝馬)、タイキブルジュ2010(牝馬)。3頭とも現在は1歳で元気に成長しているそうです。前者2頭は池田オーナーが所有予定とのこと。ネイティヴハートお父さんが歩んだように、今度は産駒たちが地方から中央に挑戦する日が来ることを楽しみに待ちたいですね。



高橋華代子(たかはしかよこ)
元NHK山形放送局キャスター。
現在は南関東競馬を中心に活動中。
・南関魂
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・船橋競馬を愛する100人の会