第41回 2011年12月20日 トーホウエンペラー


 今年の東京大賞典GTは地方競馬初の国際GTとして大井競馬場で行われます。早いもので岩手の雄トーホウエンペラーが制してから10年の月日が流れました。名馬の宝庫を代表する1頭として全国を舞台に戦い続け、01東京大賞典や02南部杯など8つのタイトルホルダーとなり、2年連続でNARグランプリ年度代表馬にも輝きました。

 現役引退後は03年から北海道のアロースタッドで種牡馬生活に入り、南関東の重賞ウイナー無事是名馬のクレイアートビュンや中央6勝馬トーホウオルビスなどを輩出。

 父と同じ岩手の千葉四美厩舎で手掛けられて07南部駒賞を勝ったトーホウノゾミのことも忘れてはならないでしょう。産駒初となる重賞レースを制し、その年の全日本2歳優駿にも参戦。「エンペラーの子供がこういう大舞台で走る姿を見せたかったんですよ!最高です!」と満面の笑みを浮かべていた千葉調教師の表情が忘れられません。

 トーホウエンペラーも15歳になり、来年には種牡馬生活10年目に突入するベテランの域に入りました。青毛特有の毛並みは現役時代から絵になる馬でしたが、今も雰囲気たっぷりで、バランスの良さは引き続き定評があるそうです。レースではクールでカッコいい印象でしたが、ニンジンを頬張っている姿は何とも微笑ましい……。

 普段はおとなしいそうですが、種付け時はやる気満々でひじょうにエネルギッシュなタイプだそう。そんな気性の強さは年を重ねても変わらないそうです。

 現役時代は中央に登録したものの体質が弱く、未出走のまま岩手に移籍したことはあまりにも有名ですが、「今は熱を出したり脚元が腫れたりそういう話しは聞いたことがありません。何の心配もいらない丈夫な馬ですよ」とジェイエスの綿引正さん。

 今は来年2月からの種付けシーズンに向けて体作りを開始する頃だそうです。

 「この馬は現役時代のオーナーさんが今でもお持ちになっていて、シーズンになるとしっかりした血統の繁殖牝馬を連れてきてくださいます。本当に幸せな馬だなぁと思いますよ。馬は元気で老けこむ年齢ではありませんし、活躍馬を送り出して欲しいです」(綿引さん)

 アロースタッドはアジュディケーティング&アジュディミツオー親子がいることでも知られていますが、トーホウエンペラーのお父さんブライアンズタイムも26歳になった今も現役種牡馬として頑張っています。愛息もまだまだこれから!エンペラーにたくさんの花嫁さんが集まりますように〜!

 トーホウエンペラーの見学は競走馬のふるさと案内所のホームページをご確認ください(http://uma-furusato.com/


高橋華代子(たかはしかよこ)
元NHK山形放送局キャスター。
現在は南関東競馬を中心に活動中。
・南関魂
・TCKホームページ重賞競走
・楽天競馬
・競馬総合チャンネル地方コース
・ウェブハロン
・船橋競馬を愛する100人の会