ダイオライト記念〜かしわ記念(第36回)

ダイオライト記念JpnU

 今のスマートファルコンが楽に逃げたら、ついてこられる馬はいないでしょう。この馬にとっては、距離的にはこのくらいのほうがいいのかもしれません。1400とか1600メートルだと、ほかの馬も行こうとしますが、楽にハナに行けて、ゆったり流れるこの距離だと、ほんとうに強いレースをします。若い頃は行きたがって抑えがきかないようなところもありましたが、年齢を重ねてかなり落ち着いて、折り合いがつくようになって、力を発揮できるようになりました。昨年JBCクラシックを逃げ切ってから、明らかに強くなっています。
 2着のカキツバタロイヤルは、勝負どころでも勝ち馬を追いかけることなく、じっくり乗っていたのがよかったと思います。
 インバルコは、カキツバタロイヤルのさらにうしろを追走していました。この馬も勝ち馬を追いかけていかなかったぶん、最後も余力があっての3着だったと思います。
 スーパーパワーは、カキツバタロイヤルの直後を進んで流れに乗っていましたが、案外伸びませんでした。
 勝負どころとなる3コーナー手前でスマートファルコンを負かしに行こうとした中央馬にとっては厳しいレースになりました。特にキングスエンブレムは積極的にスマートファルコンをとらえに行きましたが、直線では後退してしまいました。無理して行っているわけではなかったと思うんですが、スマートファルコンとは思った以上に力の差があったようです。


かきつばた記念JpnV

 セイクリムズンは、地方へは初めての遠征でしたが、このメンバーでは力が抜けていました。スタートして楽に2番手につけましたが、外目の枠だったのもよかったのでしょう。ダートのこの路線では、しばらくこの馬が勝ち続けるかもしれません。
 ミリオンディスクは1番枠からのスタートで内の3番手、いちばんいい位置につけました。楽に好位を追走できたので、最後はよく伸びてきました。
 ラブミーチャンはスターダッシュがいいですね。しかも折り合いがつきます。ゴール寸前でミリオンディスクにも差されて3着でしたが、最後までよく粘りました。全日本2歳優駿を勝っているように、距離はマイルくらいまでだいじょうぶだと思います。大事に使っていけば、これからもダートグレードを勝つチャンスはあるでしょう。
 セレスハントは、東京スプリントは福永騎手がうまく乗って勝ちましたが、今回はあまりいいところがありませんでした。スタート後の直線では少し掛かっていましたが、その影響もあったのかもしれません。内枠のミリオンディスクに好位をとられて、そのうしろからになりましたから、そのあたりの枠順の差もあったかもしれません。


兵庫チャンピオンシップJpnU

 ハナを切ったエーシンブランは、1周目のスタンド前ではちょっと引っかかっていたようですが、それで逃げ切ってしまうのですからたいしたものです。ただ1〜2コーナーあたりからは折り合いがついていたので、それほど影響はなかったのかもしれません。ダートは今回が初めてですが、強いですね。このあとジャパンダートダービーにでも出てくれば、いいレースをするのではないでしょうか。
 ホクセツサンデーは2番手を追走して、向正面でも勝ち馬について行きました。直線では離されましたが、勝負どころで離されずについていって、よく粘ったと思います。
 マルモセーラは、スタートでつまづいて落馬寸前でした。そのほかの中央馬も、向正面でペースアップしたところでついていけず、差を広げられてしまいました。


かしわ記念JpnT

 フリオーソは3番手からになりましたが、戸崎騎手は落ち着いて乗っていました。フェブラリーステークスもそうでしたが、この馬は終いがしっかりしてきました。7歳ですが、ほんとうに強くなりました。ヴァーミリアンやカネヒキリと互角の勝負をしていたわけですから、そうした経験もあると思います。
 ラヴェリータはダッシュよく出て、武豊騎手は行けるなと思ったのでしょう、一気にハナに行って、最後はよく粘りました。この馬はハナに行ってもいいし、控えてもいいし、牝馬ですが、たいした馬です。
 エスポワールシチーはスタートで出遅れてしまいました。3〜4コーナーあたりでフリオーソの直後に迫ったときは、やっぱり強いなと思って見ていたのですが、最後は伸びませんでした。出遅れた影響もあったでしょうし、道中に行きたがっていたところもありました。アメリカに遠征した影響もまだ残っていたのかもしれません。出遅れずに、2番手あたりにつけていれば、もう少しいいレースができたかもしれません。


佐々木竹見(ささきたけみ)
NAR地方競馬全国協会参与。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
 現在は地方競馬教養センターなどで後進の指導にあたる。