当コーナーでは、地方競馬に関するイベントや注目レース等の気になる話題を写真と共にご紹介します。

第37回帝王賞(JpnⅠ) 参考レース&注目馬解説

2014年6月23日
第37回帝王賞(JpnⅠ)
2014年6月25日(水)大井競馬場 2,000m
(出走表はこちらをご覧ください)

<参考レース>

名古屋グランプリJpnⅡ(13年12月25日|名古屋)
 1着シビルウォー
 長距離戦にしては先行争いが激しくなり、ハナを奪ったのはトウショウフリークで、エーシンモアオバーが控えて2番手。この先行争いでトウショウフリークがかかり気味に後続を離しての大逃げとなり、シビルウォーは中団馬群からの追走。2周目の1~2コーナーあたりから徐々に位置取りを上げていったシビルウォーは、向正面では早くも鞍上がムチを入れ、3コーナーでは前を射程圏に。追われて長く脚を使えるシビルウォーには絶好の展開となり、4コーナーでトウショウフリークをとらえると、直線で突き放し3馬身差をつけての完勝となった。

ダイオライト記念JpnⅡ(14年3月19日|船橋)
 1着ニホンピロアワーズ
 4着ゴールドバシリスク
 5着ムスカテール
 1番人気は川崎記念でホッコータルマエに半馬身差2着と迫ったムスカテールで、ニホンピロアワーズと2頭に人気が集中。トウショウフリークが後続を引き付けて逃げ、3番手の内にムスカテールで外にニホンピロアワーズ、ゴールドバシリスクはそのうしろから。直線でトウショウフリークが一旦は後続を離したが、追ってきたニホンピロアワーズが残り100メートルでとらえると、2馬身差をつけて完勝。ムスカテールは3コーナーあたりから手ごたえが悪く、ゴールドバシリスクにも交わされ、勝ち馬から10馬身近く離されての5着だった。

名古屋大賞典JpnⅢ(14年3月26日|名古屋)
 2着ソリタリーキング
 5着オオエライジン
 8着グランシュヴァリエ
 地元のサイモンロードが逃げ、エーシンモアオバーが2番手で、3番手の内にオオエライジン、外にダノンカモンで、ソリタリーキングはそのうしろから。直線を向いて抜け出したダノンカモンは54キロ、対してこれを追いかけたソリタリーキングは58キロで、ゴール前では差を詰めたものの1馬身差までで2着。オオエライジンは3コーナーあたりでペースが上がったところからついていけず5着だった。

かしわ記念JpnI(14年5月5日|船橋)
 1着コパノリッキー
 3着ワンダーアキュート
 セイクリムズンが押し出される形で先頭に立ち、ワンダーアキュートは外目の3番手、スタートで出負けしたコパノリッキーは外に持ちだして5番手から。マイル戦のわりにはペースが上がらず、4コーナーでは中央5頭のうちの4頭が横一線となっての追い比べに。手ごたえ十分に追い出されたコパノリッキーが突き抜け、フェブラリーステークスから連勝。内で粘ったセイクリムズンが2馬身差の2着で、ワンダーアキュートはこれを交わすことができずハナ差で3着だった。

大井記念(14年5月14日|大井)
 2着キスミープリンス
 4着ゴールドバシリスク
 今年から本番と同じ2000メートルに距離短縮となった大井記念。トーセンアドミラルが逃げ、断然人気のサミットストーンは2番手、キスミープリンスが追走し、ゴールドバシリスクはそのうしろから。直線を向いて先頭に立ったサミットストーンが楽に5馬身突き放して圧勝。2着争いは接戦となり、トーセンアドミラルが粘っていたが、キスミープリンスがクビ差とらえて2着。ゴールドバシリスクも差を詰めたがトーセンアドミラルにアタマ差及ばず4着だった。



<注目馬解説>

オオエライジン(兵庫)
 大井では未出走のまま兵庫に戻って以降は、地方馬同士では4戦全勝。川崎の報知オールスターカップも制し、輸送も問題なくこなしている。久々のダートグレード挑戦となった今年の佐賀記念JpnⅢ、名古屋大賞典JpnⅢでは、ともに地方最先着だが、4、5着と、この馬にかかる期待の大きさからすればやや物足りない結果だった。早めに先頭に立つと遊んでしまうなど、気性面で実力を発揮しきれていない部分はあり、それが解消できればさらに上を目指せるはず。

ニホンピロアワーズ(JRA)
 2012年のジャパンカップダートGⅠを制してダートチャンピオンの1頭に数えられるようになったが、その後は帝王賞JpnⅠでの2着や、東京大賞典GⅠでの3着はあるものの、GⅠ/JpnⅠのタイトルはそのひとつだけ。とはいえ前々走ダイオライト記念JpnⅡでは、逃げ切るかに思えたトウショウフリークに、直線伸びを見せてとらえたのはこの馬だけ。さすがにGⅠ馬の貫禄を見せた。前走アンタレスステークスGⅢでの3着は、ゴール前4頭での追い比べとなり、他の3頭とは2キロ重い58キロを背負ってのもの。今年は早い時期から前半の目標をここと定めていた。アンタレスステークスGⅢから2カ月と十分な間隔をとり、万全の態勢で臨むことになりそうだ。

キスミープリンス(浦和)
 2歳時には鎌倉記念を制し、全日本2歳優駿JpnⅠでも勝ち馬から3馬身ほどの差で3着と好走。当然3歳時には南関東三冠戦線での期待も大きかったが、その後は長いトンネルに入ってしまった。前々走、川崎の準重賞で挙げた勝利が、鎌倉記念以来じつに3年7カ月ぶりの勝利。続く前走大井記念は、勝ったサミットストーンからは離されたとはいえ、混戦の2着争いを制した。中央馬との対戦は、3歳時のジャパンダートダービーJpnⅠ(5位入線、のちに3着馬の失格があり繰り上がって4着)以来3年ぶり。今後への試金石となればといったところだろう。

ソリタリーキング(JRA)
 一昨年の日本テレビ盃JpnⅡまでの3連勝では、あのヴァーミリアンの弟としていよいよ本格化を思わせたが、GⅠ/JpnⅠとなるとやや力不足。その後に挙げた勝ち星も昨年のマーキュリーカップJpnⅢのみ。ここ2戦は地方のJpnⅢでともに僅差の2着。特に前走名古屋大賞典は、勝ったダノンカモンとは別定重量で4キロも差があっただけに惜しいレースだった。ダート中距離戦線の常連だが、大井コースは今回が初めて。帝王賞JpnⅠは、兄のヴァーミリアンが2009年に制しており、兄弟制覇の期待がかかる。

ゴールドバシリスク(船橋)
 中央ではダート短距離でオープンまで出世したが、オープンクラスでは6着が最高という成績で、昨年後半に船橋に移籍。南関東2戦目となった今年正月のオープン特別を制してはいるが、重賞タイトルには手が届かず。それでもダイオライト記念JpnⅡは、直線伸びあぐねていたムスカテールにクビ差先着しての4着だった。前走大井記念4着のタイムは2分5秒7。昨年の東京大賞典GⅠの勝ちタイムが2分6秒6だったことを考えれば、流れ次第では通用する可能性はある。中央の実績馬6頭を相手にどこまで迫れるか。

シビルウォー(JRA)
 5歳時(2010年)には、マーチステークスGⅢでの3着や中央のオープン特別勝利などがあったが、その後、年を重ねてからは典型的にスローに流れる地方の長距離で力を発揮するタイプになった。2011、12年のブリーダーズゴールドカップJpnⅡ連覇など夏に調子を上げ、昨年は3連覇とはならなかったものの、それでもJpnⅠ馬ハタノヴァンクールの2着と好走。前々走名古屋グランプリJpnⅡは、4年ぶりの夏以外の季節の勝利。トウショウフリークがかかり気味に飛ばす展開で、2周目の2コーナーから追いどおしでも、直線とらえて突き放した。長く脚が使えるという、この馬の持ち味を存分に生かす展開になった。前走ブリリアントステークス10着はこの馬の脚質からも気にしなくていいが、9歳になってどんなレースを見せるか。

コパノリッキー(JRA)
 フェブラリーステークスGⅠは最低人気での勝利だったが、ホッコータルマエ、ベルシャザールという、ダートのチャンピオン級を2、3着に従えてのものだけに価値がある。もともと兵庫チャンピオンシップJpnⅡでは、その後にユニコーンステークスGⅢを制するケイアイレオーネを相手にせずの圧勝だったけに、骨折休養明け2戦の凡走は何らかの理由があってのものと考えられる。フェブラリーステークスGⅠから2カ月半ぶりとなったかしわ記念JpnⅠは、マイル戦としてはめずらしくスローな流れとなり、4コーナーから“ヨーイドン”の競馬も瞬発力の違いで完勝。今回は初めての2000メートルに加え、過去の傾向からもコース経験が問われるレース。ここも突破できればいよいよ本物だ。

ムスカテール(JRA)
 今年の川崎記念JpnⅠは、デビュー2戦目以来3年近くぶりのダートで、見るものには半信半疑だったが、ホッコータルマエを半馬身まで追い詰めての2着。芝の長距離で見せる直線でのキレる脚を、ダートでも使えることを証明してみせた。続くダイオライト記念JpnⅡではニホンピロアワーズを差し置いて1番人気に支持されたものの、3コーナーあたりから手ごたえが一杯になり、見せ場をつくれずの5着。今回は、それで人気を落とすようなら馬券的には妙味がありそう。川崎で見せた末脚を、大井の長い直線でも使えるなら、人気になるであろうGⅠ/JpnⅠ馬3頭にとっても怖い存在だ。

ワンダーアキュート(JRA)
 ここ2年での勝ち星は2012年のJBCクラシックJpnⅠ(川崎)と、昨年の日本テレビ盃JpnⅡのみだが、特に地方のダートでの安定感は抜群で、2011年以降、地方で3着以内を外したのはたった一度、2012年ダイオライト記念JpnⅡでの4着のみ。ただそのときは、フリオーソ、ランフォルセと、スタートからハイペースで競り合ってのもの。昨年秋のJBCクラシック、ジャパンカップダート、東京大賞典というGⅠ/JpnⅠ・3連戦はすべて2着。勝ち切れないと言ってしまえばそれまでだが、むしろ安定して力を発揮できるこの馬の強さを見せた。昨年、大井2000メートルが舞台の帝王賞JpnⅠ、東京大賞典GⅠでは、ニホンピロアワーズと2、3着を分け合った。8歳でも衰えのないところを見せられるかどうか。


文・構成:斎藤修(サイツ)



※ 当コンテンツの内容は、編集時点(6月23日)での情報となっております。出走回避等によりレースに出走しない可能性もありますのでご了承ください。また、当コーナーの内容に関しまして、NARおよび競馬主催者が特定馬の推奨などを行うものではありません。