当コーナーでは、地方競馬に関するイベントや注目レース等の気になる話題を写真と共にご紹介します。

第60回東京大賞典(GⅠ) 参考レース&注目馬解説

2014年12月26日
第60回東京大賞典(GⅠ)
2014年12月29日(月)大井競馬場 2,000m
(出走表はこちらをご覧ください)

<参考レース>

帝王賞JpnⅠ(14年6月25日|大井)
 1着ワンダーアキュート
 2着コパノリッキー
 逃げたのはニホンピロアワーズだったが、向正面に入ってコパノリッキーが掛かり気味に先頭に立ち、ワンダーアキュートは好スタートも控えて3番手を追走した。4コーナーからはこのGⅠ/JpnⅠ勝ち馬3頭が横一線となって、直線を向いての追い比べ。直線半ば、まずニホンピロアワーズが脱落。ゴール前ではワンダーアキュートがコパノリッキーとの差をじわじわと広げ、2馬身差をつけての勝利。勝ったワンダーアキュートにとっては、2012年のJBCクラシック以来1年半ぶり、2度めのJpnⅠ制覇となった。

ジャパンダートダービーJpnⅠ(14年7月9日|大井)
 2着ハッピースプリント
 南関東三冠がかかったハッピースプリントは単勝1.4倍の断然人気。そのハッピースプリントは3番手からの追走。3コーナーで先頭に立っていたノースショアビーチを絶好の手ごたえのままとらえにかかり、直線半ば過ぎで抜け出そうかというところ、ゴール前で襲いかかったのが、後方から徐々に位置取りを上げてきたカゼノコだった。内外離れてのゴールは写真判定となり、カゼノコがハナ差先着。ハッピースプリントは惜しくも2着で三冠はならなかった。

JBCクラシックJpnⅠ(14年11月3日|盛岡)
 1着コパノリッキー
 2着クリソライト
 3着ワンダーアキュート
 4着ホッコータルマエ
 11着トウホクビジン
 スタート直後、行く馬がないと見て、コパノリッキーが外枠から一気にハナを取りに行った。好位に続いたのはいずれも中央勢で、4コーナーを回ってベストウォーリア、ホッコータルマエが並びかけてきたが、残り200メートルを切ってコパノリッキーが追い出されると、あっという間に突き放しコースレコードでの圧勝。5番手から外を伸びてきたクリソライトが3馬身差で2着。ラチ沿いを突いたワンダーアキュートが半馬身差の3着で、ドバイ遠征以来の復帰戦だったホッコータルマエは直線で勢いをなくし4着だった。

浦和記念JpnⅡ(14年11月19日|浦和)
 1着サミットストーン
 3着トーセンアレス
 中団を追走していたトーセンアレスが向正面から仕掛け、3コーナーで前をとらえにかかると、2番手にいたグランディオーソがこれを前に行かせまいと気合を入れ、3~4コーナーではこの2頭が馬体を併せて抜け出した。逃げていたエーシンモアオバーは勢いをなくし、直後を追走していたサミットストーンは完全に行き場をなくして後退する場面があった。直線ではグランディオーソ、トーセンアレスの一騎打ちかに思えたが、直線を向いてようやく進路が開けたサミットストーンがラチ沿いから猛然と追い込んで差し切っての勝利。アタマ差2着にグランディオーソで、トーセンアレスはクビ差3着。

勝島王冠(14年11月26日|大井)
 1着ハブアストロール
 5着ハッピースプリント
 9着フォーティファイド
 水の浮く不良馬場で、前3頭の先行争いが激しくなり、最内枠のハッピースプリントは控えて5番手から。向正面で外に持ち出されたハッピースプリントだが、4コーナー手前で追い出されるもなかなか前をとらえるには至らず。直線でも馬群の中でもがいていたところ、4コーナーを15頭立て14番手で回った格下から挑戦のハブアストロールが大外から豪快に伸びて差し切って勝利。ハッピースプリントは最後まで弾けることなく5着だった。

チャンピオンズカップGⅠ(14年12月7日|JRA中京)
 1着ホッコータルマエ
 3着ローマンレジェンド
 5着ワンダーアキュート
 12着コパノリッキー
 14着クリソライト
 クリノスターオーの2番手を追走したホッコータルマエが直線を向いて先頭に立ち、ローマンレジェンドも直後にぴたりとつけていた。1000メートル通過が62秒3という緩い流れにホッコータルマエの脚色は確かなまま、ゴール前ではナムラビクターが迫ったが、これを半馬身差で振り切っての勝利。ローマンレジェンドは3/4馬身差で3着。道中後方3番手を追走していたワンダーアキュートは直線大外から伸びるも5着。1番人気コパノリッキーはスタートで後手を踏み、1コーナーでは他馬と接触する場面もあり、見せ場をつくれないままだった。



<注目馬解説>

クリソライト(JRA)
 昨年のジャパンダートダービーJpnⅠを7馬身差で圧勝したときはダートの新星誕生かと期待されたが、休養から復帰しての秋から今年前半は見せ場のないレースが続いた。復活のきっかけをつかんだのはマーキュリーカップJpnⅢで、速い流れを2番手から早め先頭に立っての2着。続く日本テレビ盃JpnⅡでは7馬身差圧勝で完全復活をアピールした。JBCクラシックJpnⅠでも、5番手追走から直線勝負にかけて2着と好走。しかしチャンピオンズカップGⅠでは、好位にはとりついたものの直線勢いをなくして14着。ジャパンダートダービーJpnⅠを制した舞台で再度の巻き返しなるかどうか。

ロイヤルクレスト(JRA)
 芝では1000万クラスで頭打ちとなり、昨年夏にダートに転向すると、秋には準オープンを制した。今年夏の函館では、大沼ステークス、マリーンステークスと、早め先頭から押し切るという競馬で連勝。特にマリーンステークスでは、その後にブリーダーズゴールドカップJpnⅢやJBCレディスクラシックJpnⅠを制することになるサンビスタを3/4馬身差でしりぞけていた。しかしダート重賞初挑戦となった武蔵野ステークスGⅢでは12着。今回は初の地方参戦、他の中央馬はいずれもGⅠ/JpnⅠ勝ち馬という中に入ってどこまでやれるか。

ホッコータルマエ(JRA)
 昨年はJBCクラシックなどGⅠ/JpnⅠを4勝。今年も川崎記念JpnⅠを勝って、フェブラリーステークスGⅠでもコパノリッキーの2着と、その勢いに衰えはなかったが、遠征したドバイワールドカップでは最下位の16着。休養後の調整過程でも筋肉痛などがあって調整が遅れ、急仕上げで臨んだJBCクラシックJpnⅠは直線見せ場をつくるも4着。そのJBCを叩いた効果もあり、万全の仕上げで臨んだチャンピオンズカップGⅠは横綱相撲とも言える強い勝ち方。大井2000メートルは、昨年の帝王賞JpnⅠ、そして東京大賞典JpnⅠを制している舞台。もしここを勝てば、今年GⅠ/JpnⅠ・3勝目でコパノリッキーと並ぶことになる。

コパノリッキー(JRA)
 フェブラリーステークスGⅠは最低人気での勝利で驚かされたが、その後はかしわ記念JpnⅠ、JBCクラシックJpnⅠを勝ち、一躍ダートの主役となった。帝王賞JpnⅠでワンダーアキュートに競り負けたのは夏負けの影響もあったようで、それが長引いて復帰予定だったマイルチャンピオンシップ南部杯JpnⅠには間に合わず。しかし秋の復帰戦となったJBCクラシックJpnⅠでは、積極的に逃げの手に出ると、直線弾けてコースレコードでの圧勝となった。期待されたチャンピオンズカップGⅠは出負けしたこともあって見せ場をつくれず。揉まれると走る気をなくす面があるようで、今回はライバルとなるホッコータルマエのひとつ外の7番枠からのスタートで、自分のペースに持ち込めるかどうか。

トーセンアレス(浦和)
 中央所属としてジャパンダートダービーJpnⅠに出走した経験があり、そのときはマグニフィカの5着。中央ではダートでオープンまで出世し、移籍した南関東では、南関東限定の重賞を2勝。前走浦和記念JpnⅡでは、レース中盤から動いてみずからレースをつくり、結果3着だったものの、勝ったサミットストーンからはアタマ、クビ差の接戦。7歳にして、ダート交流重賞競走では2012年オーバルスプリント以来約2年ぶりとなる馬券圏内の好走を見せた。今回は初めての古馬JpnⅠ挑戦で、見せ場をつくれるかどうか。

ソイフェット(外国)
 2011年に国際GⅠとなった東京大賞典に初めて参戦する外国馬。昨年、GⅠのオーサムアゲインステークスで、その後にブリーダーズカップクラシックを制するムーチョマッチョマンの3着があったが、グレードレースではそれが最高の成績。今年はハンデ戦やステークスで3勝を挙げているもののグレードレースでは2戦してともに着外。初めての国外遠征に加え、質の異なるダート、初めての右回りなど、克服しなければならないアウェー的な要素が多いことは否めない。

ハッピースプリント(大井)
 昨年2歳時はダートでは無敗のまま、北海道2歳優駿JpnⅢ、全日本2歳優駿JpnⅠを制し、2歳にしてNARグランプリ年度代表馬に選出された。その後大井に移籍し、京浜盃、羽田盃、東京ダービーは次元の違いを見せての連勝。南関東三冠のかかったジャパンダートダービーJpnⅠでは、惜しくもカゼノコにハナ差交わされての2着だった。秋、復帰戦となった勝島王冠はまさかの5着。水の浮く不良馬場の乱ペースで厳しい競馬になったこともあったが、ジャパンダートダービーの反動が想像以上にあり、調整の遅れもあったようだ。今回、初めての古馬とのダートグレード挑戦でどこまでやれるか。

サミットストーン(船橋)
 中央準オープンから昨年移籍した金沢ではチャンピオン級の活躍を見せたが、地元で行われたダートグレードは、白山大賞典JpnⅢが5着、JBCスプリントJpnⅠが6着だった。しかし今年移籍した南関東ではさらなる充実を見せ、遠征した白山大賞典JpnⅢでエーシンモアオバーのレコード勝ちに3/4馬身差の2着と好走すると、浦和記念JpnⅡでは4コーナー手前で行き場を失くす大きなロスがありながら、浦和の短い直線で差し切って見せた。今年地方馬にGⅠ/JpnⅠを制した馬はなく、この結果次第では年度代表馬の選出に大きなアピールとなる。

ワンダーアキュート(JRA)
 今年の帝王賞JpnⅠの勝利が、2012年のJBCクラシック(川崎)以来のJpnⅠ制覇で、8歳の終盤を迎えても衰えはない。その2年前のJBCクラシックJpnⅠを制して以降、地方のダートグレードには10回出走してすべて3着以内に好走。しかもそのうち9回がGⅠ/JpnⅠと、ダートの頂点を争うメンバーとの対戦でも崩れることがない。その間、中央では5着、6着が一度ずつあったが、勝ち馬との着差では地方も含めてすべてコンマ6秒以内というところでも、堅実ぶりがうかがえる。東京大賞典GⅠは、10着、2着、3着、2着ときて、今年で5年連続での出走。武豊騎手には東京大賞典6度目の制覇がかかる。

ローマンレジェンド(JRA)
 一昨年のこのレースでGⅠ初制覇。その後の活躍が期待されたものの勝ち切れないレースが続き、昨年の東京大賞典GⅠではゲート内で暴れるなどのアクシデントがあって6着。レース後には骨折も判明した。7カ月ぶりの復帰戦となったエルムステークスGⅢを制すと、そこから4カ月ぶりとなった前走チャンピオンズカップGⅠでは、ゴール前までホッコータルマエに食い下がっての3着。そこで叩かれたことでの上積みがあれば、2年ぶりのGⅠ制覇も期待できそう。


文・構成:斎藤修(サイツ)



※ 当コンテンツの内容は、編集時点(12月26日)での情報となっております。出走回避等によりレースに出走しない可能性もありますのでご了承ください。また、当コーナーの内容に関しまして、NARおよび競馬主催者が特定馬の推奨などを行うものではありません。