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特集

2018ヤングジョッキーズシリーズ

2018 YOUNG JOCKEYS SERIES
 本年12月27日(木)に大井競馬場、28日(金)にJRA中山競馬場で実施される『2018ヤングジョッキーズシリーズ ファイナルラウンド』への出場権をかけて、地方競馬およびJRAの若手ジョッキーが争う代表騎手選定競走が『2018ヤングジョッキーズシリーズ トライアルラウンド』です。このトライアルラウンドでの着順に応じて得た点数により、地方競馬およびJRAそれぞれの代表騎手が選ばれます。

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Trial Round

  • 6月27日(水)
  • 笠松競馬場
  • ヤングジョッキーズシリーズTR 笠松
  • ポイント表

第1戦

山口以和(佐賀)

ティアップジャンコ

第2戦

森裕太朗(JRA)

キクノコア

2戦とも先行した人気2頭での決着 山口騎手は一戦のみの騎乗で勝利

 ヤングジョッキーズシリーズのトライアルラウンド笠松は、今年の西日本地区における最初のステージ。昨年のファイナルラウンドに進んだ渡邊竜也騎手(笠松)は「また中山競馬場に行きたいですね。笠松競馬を宣伝するという意味も含めて」と気合が入っていた。昨年は通算の2勝目が笠松のトライアルラウンドで挙げたもの。それからいろいろな経験を積み重ねて臨む今回は、昨年とは違った気持ちで臨めることだろう。
 同じく笠松から出場する水野翔騎手は、昨年は北海道所属で出場していた。現時点では通算の勝利数が100を超えているので“減量騎手”ではないが、出場資格は今年の4月1日時点での減量騎手または見習騎手となっているために“ラストチャンス”が得られた。
 同様に通算100勝を達成している佐賀の山口以和騎手は、昨年のトライアルラウンド園田で、あと一歩というところでファイナル進出を逃していた。それだけに今年に賭ける気持ちは人一倍大きいことだろう。
 JRA所属騎手もファイナルに向けての意欲は十分。昨年のファイナルラウンドで総合3位に入った森裕太朗騎手は「中山では悔しい思いがありましたから、また今年もファイナルに行けるようにしたいです」と話していた。また富田暁騎手は「昨年は笠松での第2戦で勝ったので、いい印象を持っています」と笑顔を見せていた。
 笠松競馬場でのトライアルラウンドは、第1戦がC級14組で、第2戦がC級13組。いずれも笠松のなかでは条件的に下のクラスだ。そうなると最近の競走成績がいまひとつという馬が加わってしまうのは仕方ないが、小回りコースの笠松競馬場だけに、各騎手とも少しでもいい位置を取りたいと考えていたことだろう。
 しかし第1戦で地元の2名は先手を取れず。単勝4番人気に推されていた渡邊騎手は出遅れて、3番人気の水野騎手は100メートルほど進んだところで前がふさがり、ともに中団からの競馬になってしまった。
 対照的にスムーズに先手を取れたのは、最内枠の川又賢治騎手(JRA)と9番枠からの山口騎手。1コーナー手前ではその2人が先頭を争ったが、インコースの川又騎手がコーナーワークを使って先手を取り、山口騎手は2番手に控えた。その後ろはすこし離れて3頭が一団になって追走したが、前の2頭のスピードは落ちず、3コーナーからは一騎打ちのかたちになった。
 「でも、1コーナーで競られた分、最後が甘くなってしまいましたね」と、2着に終わった川又騎手が振り返ったように、ゴール前の勢いは山口騎手のほうが上。山口騎手は昨年も含めトライアルラウンドでの初勝利を得ることになった。
 3着には後方から差を詰めてきた荻野極騎手(JRA)が入線。「中団からという指示どおりに進めましたが、向正面では前との差がけっこうありましたね」と、3着でも仕方がなかったという表情。それでも「やっぱり勝ちたかったです」と、勝負師の一面を見せていた。
 一方、地元の2名は渡邊騎手が7着で水野騎手が8着。「スタートでだいぶ遅れましたね」(渡邊騎手)、「遅れ気味に出てしまいました」(水野騎手)と意気消沈。それでも2人とも「次はがんばります」と言葉をそろえた。
 ひとつレースをはさんでスタートした第2戦は、山口騎手の騎乗馬が出走を取り消したため、9頭立て。先手を取ったのは三津谷隼人騎手(JRA)で、単勝1倍台の支持を受けた森騎手がその直後を追走していった。
 その後ろはほとんど一団になったが、向正面の中央付近で後方から2番目にいた長谷部駿弥騎手(兵庫)が一気に動き、3コーナーでは3番手にまで浮上。しかし先行していた2頭を追い抜くまでには至らず、2番手から抜け出した森騎手が勝ち、逃げた三津谷騎手が2着で、長谷部騎手が3着となった。
 この結果、地方所属騎手では、第1戦を勝利し、第2戦は規定により6ポイントを獲得した山口騎手がトップ。JRAでは第1戦が4着、第2戦が1着の森騎手がトップに立った。
 とはいえ、第1戦で最下位に敗れた三津谷騎手は、合計で6回の騎乗予定がある。5着と9着で地方所属のなかでは最少得点となった塚本雄大騎手(高知)も同様だ。
 「去年は高知所属騎手が1人もファイナルに行けませんでしたから」と塚本騎手が話したとおり、笠松での成績がいまひとつだった騎手たちは、このあとの巻き返しに意欲を燃やしている。
取材・文:浅野靖典
写真:桂伸也(いちかんぽ)

コメント

第1戦1着山口以和騎手
(佐賀)

逃げるようにという指示で、いいスタートを切れたのですが、インコースに先手を主張してくる馬がいましたから、2番手で楽に進められればいいかなと判断しました。今日は1戦だけでしたが、平常心で乗ろうと考えていましたね。でもやっと、トライアルラウンドで勝つことができました。

第2戦1着森裕太朗騎手
(JRA)

指示どおりに2番手で進められて、3コーナーでは少し置かれかけましたが、そのあと盛り返してくれました。最後は余裕がありましたし、馬の力が上でしたね。このシリーズは若手にチャンスを与えてくれる舞台だと思うので、この機会をむだにしないように、1戦1戦を大事にしていきたいです。