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特集

2018ヤングジョッキーズシリーズ

2018 YOUNG JOCKEYS SERIES
 本年12月27日(木)に大井競馬場、28日(金)にJRA中山競馬場で実施される『2018ヤングジョッキーズシリーズ ファイナルラウンド』への出場権をかけて、地方競馬およびJRAの若手ジョッキーが争う代表騎手選定競走が『2018ヤングジョッキーズシリーズ トライアルラウンド』です。このトライアルラウンドでの着順に応じて得た点数により、地方競馬およびJRAそれぞれの代表騎手が選ばれます。

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Trial Round

  • 10月10日(水)
  • 名古屋競馬場
  • ヤングジョッキーズシリーズTR 名古屋
  • ポイント表

第1戦

渡邊竜也(笠松)

エスペレラヴニール

第2戦

渡邊竜也(笠松)

フラワーイレブン

渡邊騎手が2戦とも圧勝 地方西日本地区の暫定1位へ

 西日本地区でのトライアルラウンドは名古屋と園田を残すのみ。今回の名古屋が最終戦となる騎手が多いなか、田村直也騎手(兵庫)はここが今年の初戦となった。「肩甲骨の骨折で休んでいましたが、もう万全です。ただ、実戦感覚という点は不安ですね」と話していたが、騎手紹介式では「少しでも足跡を残せるようにしたいです」と、久しぶりの遠征に気持ちが高ぶっている様子だった。
 地方騎手5名のなかで、今年デビューは出水拓人騎手(佐賀)だけ。「兄弟子(兒島真二騎手)の古巣なので、いい結果を残したいです」と話していたが、第1戦の騎乗予定馬が出走取消。他の出場騎手があわただしく動いているなか「ちょっとヒマなんです」と苦笑いしていた。それでもその後は第2戦の騎乗馬を管理する今津勝之調教師に話を聞くなどして、本番へのイメージを膨らませているようだった。
 トライアルラウンドは大詰めに近づいているが、まだ全員にファイナルラウンドへの可能性が残っている状況。しかし第1戦は、4戦連続連対中の馬に騎乗する渡邊竜也騎手(笠松)が単勝1.2倍の断然人気に支持された。
 その渡邊騎手は大外枠からのスタートだったが、すぐに先手を取り切って、後続にすこし差をつけての単騎逃げ。2番手には加藤祥太騎手(JRA)がつけ、富田暁騎手(JRA)も差なく続いたが、その後ろはやや離れて一団という形になった。
 この日は全体的に時計が速めの馬場コンディション。それも味方につけたのか、渡邊騎手の独走は最後まで続き、ゴール地点では2着に4馬身差をつけた。レース後は「スタートして何もしなくても逃げられました」と渡邊騎手は満面の笑み。「次のレースで乗るのは、全休日に弥富トレセンへ攻め馬に行ったときにたまたま乗せてもらった馬」とのことで、「2勝して1位通過を目指します」と力強く話した。
 2着だった加藤騎手は「無理して追いかけても厳しいと思ったので2番手で折り合いました。結果的にはこれで正解だったかなと思います」とコメント。さらに3馬身差の3着には後方から差を詰めてきた服部寿希騎手(JRA)が入ったが「スタートでもう少し出していければ良かったのですが」と反省しきりの様子だった。
 とはいえ、服部騎手はこの日、トライアルラウンド前に4回の騎乗機会があった。「所属厩舎の助手さんから名古屋競馬のかたを通して用意していただきました」とのことで、厳しい展開のなか3着に入った要因には、その経験が生きたところがあったのかもしれない。
 ひとつレースをはさんでの第2戦は、その服部騎手が単勝1.5倍で1番人気。渡邊騎手が3.7倍の2番人気で、あとの8頭はすべて単勝10倍以上となった。一騎打ちムードのメンバーではあったが、最内枠から先手を取り切ることに成功した渡邊騎手が1コーナーで後続を引き離しにかかり、3コーナーからは独走状態。ゴール地点では2着の服部騎手に2秒の大差をつけた。
 連勝を飾った渡邊騎手は「1戦目は3コーナーあたりでちょっと焦ってしまったので、こんどはそうならないように乗りました」と連勝に笑顔。これで95ポイントとなって、地方西日本で暫定トップに立った。
 またしても善戦までとなった服部騎手は「(JRA所属時に)調教で乗せてもらったことがある馬だったので勝ちたかったです」と残念そうな表情。それでも名古屋で35ポイントを獲得したことで、次の園田にファイナルラウンド出場への望みをつないだ。
 3着には柴田勇真騎手(金沢)が入線。「3コーナーで前が詰まってしまいました。外にも行きにくい感じだったので、そこからはインが空くことを信じて乗りました」と話したが「ファイナルへのポイントは足りないですが……」と、意気消沈の表情だった。
 6着、5着という結果に終わった塚本雄大騎手(高知)は45ポイントで騎乗予定のラウンドを終了し、名古屋終了時点では西日本地区の地方騎手で5位。「僕は来年も出られるんですよね。来年は高知から3人もデビューするんですが」と心配顔。騎手紹介式では「兄弟子(松木大地騎手)と一緒にファイナルに進みたいです」と話していたが、きわめて厳しい状況になった。
 JRA騎手のなかで得点状況を心配していたのは、これで騎乗予定が終了した富田騎手。「もうムリですよね。大井でも中山でも乗ったことがないので、ファイナルに行きたいと思っていたのに……」と肩を落としていた。富田騎手は、同じく名古屋で騎乗予定を終えた森裕太朗騎手(JRA)と同じ52ポイントで、ここまでJRA西日本地区3位タイ。ほかのJRA騎手の動向次第では、ファイナル進出の可能性を残した。
取材・文:浅野靖典
写真:桂伸也(いちかんぽ)

コメント

第1戦1着、第2戦1着
渡邊竜也騎手(笠松)
トライアルラウンドでは1場1勝を目指していたのに勝てませんでしたが、ここで連勝できてうれしいです。1戦目は上手に乗れませんでしたが、馬が強かったですね。2戦目の馬は逃げていいレースをしていたので前に行こうと考えていたら、その気持ちに応えてくれたかのようなスタートを切ってくれました。