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特集

2018ヤングジョッキーズシリーズ

2018 YOUNG JOCKEYS SERIES
 本年12月27日(木)に大井競馬場、28日(金)にJRA中山競馬場で実施される『2018ヤングジョッキーズシリーズ ファイナルラウンド』への出場権をかけて、地方競馬およびJRAの若手ジョッキーが争う代表騎手選定競走が『2018ヤングジョッキーズシリーズ トライアルラウンド』です。このトライアルラウンドでの着順に応じて得た点数により、地方競馬およびJRAそれぞれの代表騎手が選ばれます。

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Trial Round

  • 9月11日(火)
  • 佐賀競馬場
  • ヤングジョッキーズシリーズTR 佐賀
  • ポイント表

第1戦

石堂 響(兵庫)

カシノアイガー

第2戦

義 英真(JRA)

シュダイカ

石堂騎手がしぶとく差し切る 義騎手はあっさり逃げ切り勝ち

 最高気温29度ながら、爽やかな風が吹いた佐賀競馬場。秋競馬の到来とともに、ヤングジョッキーズシリーズ(YJS)トライアルラウンドも年末のファイナルラウンド進出をかけてより白熱した戦いになってきた。
 夏のJRA北海道シリーズで腕を磨いた加藤祥太騎手(JRA)は今年のYJS初参戦。「ここまでのレースは『ガッツ溢れるな』と見ていました」としっかりチェックしており、「今年はファイナルラウンドへ行って、優勝できるようがんばります!」と昨年のトライアルラウンドJRA西日本9位からの挽回を誓った。一方、「初めて一緒のレースに騎乗するんです」と笑ったのは塚本兄弟。弟・雄大騎手(高知)が「直線で追い比べをしたいですね」と意気込めば、兄・弘隆騎手(金沢)は「そういうレースになったらいいですね」と久しぶりの再会に笑顔で答えた。
 第1戦(1400メートル)の1番人気はカシノアイガーと石堂響騎手(兵庫)。近5走、1400メートル戦では2、2、3着とオール馬券圏内の差し馬だ。続く2、3番人気の松木大地騎手(高知)と西村淳也騎手(JRA)は逃げや2~3番手からのレースで好成績を残している馬に騎乗した。
 しかし、スタートから押してハナを取りに行ったのは柴田勇真騎手(金沢)。「前に行ってほしいという指示で、どれだけペースを落とせるかな、と思っていました」とスローペースに持ち込んだ。向正面に入ると「この馬の脚質を考えて、徐々にペースを上げようと思いました」と西村騎手が早めに外から並びかけると、さらに外から「スタートが速く、いいポジションを取れていた」という渡邊竜也騎手(笠松)も加わって4コーナーでは横一線。西村騎手が3頭併せの中から抜け出しかけたが、すかさず外から渡邊騎手が応戦し、さらには中団にいた松木騎手が最内から脚を伸ばす。熾烈な追い比べを横目に、外から鋭い差し脚を見せたのは石堂騎手。まとめて交わして1着でゴールした。「馬群が密集していたので、外を回す下手な乗り方をしてしまいましたが、馬が強かったです」と表情を引き締めた。同じく後方から追い込んだ義英真騎手(JRA)が2着で「これでYJSでは2着が3回目。わずかな差で負けているので勝ちたいですね」と悔しがった。3着には渡邊騎手が粘った。
 第2戦も1400メートル戦。前回のトライアルラウンド金沢で2連勝を遂げた松木騎手のハクユウロゼに地元紙では本命印◎がズラッと並んだ。ゲートが開き、逃げたのはシュダイカと義騎手。「ゲートを出るタイミングを馬が焦った感じがしましたが、ハミを取り直していいリズムでハナに行けました」と、前走900メートル戦で逃げ粘って3着の快足を生かしハナへ。向正面に入ると、徐々にリードを広げにかかり、直線でも脚色は衰えず、「やっと1勝できました」と義騎手が勝利。2着には中団外から追い上げた松木騎手。「勝ち馬が強かったです」と、相手を褒めた。
 3着争いは接戦。好位から前を追っていた西村騎手に対し、先頭から大きく離れた後方から3~4コーナーで馬群を縫うように脚を伸ばしてきたのが石堂騎手。写真判定に持ち込まれ、しばらくして“同着”のアナウンス。昨年はトライアルラウンド盛岡で5着同着があったが、今年は初めてで、両騎手にはそれぞれ3着の15ポイントが付与された。
 今回の戦いを終え、トライアルラウンド佐賀で2、1着の義騎手がJRA西日本1位に躍り出た。残す騎乗はトライアルラウンド園田での2鞍のみ。「何回か乗せていただいている競馬場ですが、最後まで緊張感を持って臨みたいです」と気を引き締めた。また、1、3着の石堂騎手も地方西日本7位から3位へ躍進。「レース前にいろんな着順をシミュレーションしてポイント計算をしていました。『1戦目で1着をとったら……よっしゃぁ、ファイナルラウンド進出できるかもーっ!』って考えていました。勝つことができて、取らぬ狸の皮算用にならなくてよかったです。騎乗馬のクジ運もありますが、残す園田もしっかりがんばりたいです」。
 対照的に「まだ望みはあります」と切り替えたのは柴田騎手。地方西日本7位で、残すはトライアルラウンド名古屋での2戦のみとなったがチャンスはある。終盤に差し掛かったトライアルラウンドから目が離せなくなってきた。
取材・文:大恵陽子
写真:岡田友貴(いちかんぽ)

コメント

第1戦1着石堂響騎手
(兵庫)

調教師の話や前走のレースぶりから、出たなりでレースをしようと思いました。内で少し置かれる形になり、3~4コーナーでは届かないかもしれない……と思いましたが、直線でまた伸びてくれました。馬が本当に強かったです。ゴールでは勝ったか分からず、必死に手を前に伸ばしていました。

第2戦1着義英真騎手
(JRA)

返し馬からいい馬だと感じ、自信がありました。スタートからいい意味で行きっぷりがよく、リズムよく運べました。後続を引き付けるよりも少し離していった方が能力を出せるタイプかな、と思い道中はリードを保ちながら進めました。最後まで集中して走って、この距離でも能力で押し切ってくれましたね。