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特集

2018ヤングジョッキーズシリーズ

2018 YOUNG JOCKEYS SERIES
 本年12月27日(木)に大井競馬場、28日(金)にJRA中山競馬場で実施される『2018ヤングジョッキーズシリーズ ファイナルラウンド』への出場権をかけて、地方競馬およびJRAの若手ジョッキーが争う代表騎手選定競走が『2018ヤングジョッキーズシリーズ トライアルラウンド』です。このトライアルラウンドでの着順に応じて得た点数により、地方競馬およびJRAそれぞれの代表騎手が選ばれます。

2018ヤングジョッキーズシリーズの総括はこちらです
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Trial Round

  • 11月7日(水)
  • 園田競馬場
  • ヤングジョッキーズシリーズTR 園田
  • ポイント表

第1戦

出水拓人(佐賀)

アグネスハンサム

第2戦

長谷部駿弥(兵庫)

タンバコージン

出水騎手がYJS初勝利 地元長谷部騎手は2勝目

 6月からスタートした2018年のヤングジョッキーズシリーズ(YJS)トライアルラウンドもいよいよ西日本ラストとなる園田を迎えた。今年から騎手順位の決定方法が変わり、上位のポイントを得た4レース分の合計得点により決定されるとあって上位騎手は少しでもポイントの上積みを狙いたいところ。地方の出場騎手のうちファイナルラウンド進出に向けて有利な順位につけていたのは松木大地騎手(高知)、長谷部駿弥騎手(兵庫)、石堂響騎手(兵庫)。長谷部騎手は「今日は前残りですよね」と砂の全面入れ替えが行われたばかりの馬場を分析し、地の利を生かしたいようだった。JRAでは義英真騎手、荻野極騎手がこの日の出場騎手では上位。義騎手は1着1回、2着3回の90ポイントを持っており、「ファイナルへ弾みをつけたいです」と冷静に話した。
 一方で、「悔いの残らないよう精一杯頑張ります」と話したのは、南関東(減量があるのはデビューから3年未満)から金沢(同5年未満)への移籍により今年YJS参加資格を得て初出場を果たした塚本弘隆騎手(金沢)。暫定では地方西日本9位だが、結果次第ではファイナル進出も狙える。地方西日本10位の田村直也騎手(兵庫)も「2連勝をしてミラクルを狙います」、三津谷隼人騎手(JRA)は「微妙な順位(JRA西日本8位)ですが、チャンスはあると思っています」、加藤祥太騎手(JRA)は「暫定9位(JRA西日本)ですが、ファイナルの可能性もあるのでがんばります」と、それぞれ逆転を誓った。
 これまでのトライアルラウンドではレース前、和やかに談笑する姿が見られたが、この日はちょっと違った様子。心なしかいつもより口数の少ない騎手もいた。
 第1戦は1400メートル。先行策で好成績を残している馬が多いメンバー構成となった。単勝1番人気は加藤騎手で3.2倍。差がなく出水拓人騎手(佐賀)、義騎手、三津谷騎手、荻野騎手が単勝10倍以下だった。
 スタートから押していき、「逃げるしかないと思って」とハナに立ったのは出水騎手。同じく逃げたかった西村淳也騎手(JRA)は外に切り替えて2番手につけた。そのうしろは内から義騎手、石堂騎手、加藤騎手、服部寿希騎手(JRA)が並んだ。
 4コーナーに差しかかっても出水騎手の脚色は衰えず、1着でゴール。「ずっと着にも入れていなかったので嬉しいです」とYJS初勝利を挙げた。クビ差2着は西村騎手。「逃げ馬に脚を使わせるようなレースをしたんですが……。『うぉ~、これ来たっ!』って手応えがあったんですけどね」と悔しさをにじませた。3着に石堂騎手、4着義騎手、5着加藤騎手と、5番手以内でレースを進めた騎手での決着となった。
 ここでJRA西日本暫定6位から3位に浮上したのは西村騎手。近くにいたJRA職員に入念にポイントの確認を行った。石堂騎手はレースの感想を求められると「まぁまぁ……」とだけ言うとすぐに「僕、3位に上がれましたか?(出水)拓人は何位?」と順位が気になって仕方がない様子。他の騎手たちもポイント確認を行い、異口同音に「トライアルラウンド最後をいいかたちで締めくくりたいです」と第2戦に向かった。
 第2戦も1400メートル。単勝1番人気は地元の田村騎手。続いて義騎手、長谷部騎手、石堂騎手が10倍以下だった。
 スタートから出して行ったのは外枠の荻野騎手。しかし、内から義騎手がハナを奪い、服部騎手が2番手、出水騎手が3番手に続いた。向正面ではグッとペースが落ちて馬群はひとかたまりに。ラスト600メートルを切って義騎手と出水騎手が後続を引き離しにかかり、最後方にいた加藤騎手は早めのまくりで3番手まで取りついた。その直後にいたのは長谷部騎手と石堂騎手。直線で義騎手が粘り込みを図るところ、外から2頭が脚を伸ばし、長谷部騎手が差し切ったところがゴール。右手で大きくガッツポーズをした。1馬身半差に石堂騎手、さらにクビ差3着に義騎手だった。
 この結果、地方西日本はポイント合計の多い順に渡邊竜也騎手(笠松)、松木大地騎手(高知)、長谷部騎手。JRA西日本は義騎手、荻野騎手、西村騎手となった。ファイナル進出騎手が確定するのは2週間後、11月21日のトライアルラウンド浦和が終わってからとなるが、「早く結果を知りたいです。人生で一番長い2週間になりそうです」とそわそわしたのは石堂騎手。地方西日本では暫定4位で、もし地方西日本1位の渡邊騎手が地方全体でも1位となればファイナル進出の可能性が見えてくる。注目のトライアルラウンド最終戦・浦和の結果を待ちたい。
取材・文:大恵陽子
写真:桂伸也(いちかんぽ)

コメント

第1戦1着出水拓人騎手
(佐賀)

スタートの1歩目は普通に出たんですが、「行けたら行ってほしい」という指示で逃げました。馬場も前が有利と聞いていました。直線では後ろから迫ってくる馬がいて焦りましたね。YJSではずっと成績を残せていなくて、勝てると思っていなかったので嬉しいです。

第2戦1着長谷部駿弥騎手
(兵庫)

勝って締めくくれてよかったです。レース前は展開がどうなるか想像がつかなかったので、出遅れないことと落ち着いて乗ることを考えていました。4コーナーでは手応えがあり、後ろから来なければ勝てるんじゃないかと思いました。表彰式では応援に来ていた家族の声も聞こえて嬉しかったです。