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特集

2018ヤングジョッキーズシリーズ

2018 YOUNG JOCKEYS SERIES
 本年12月27日(木)に大井競馬場、28日(金)にJRA中山競馬場で実施される『2018ヤングジョッキーズシリーズ ファイナルラウンド』への出場権をかけて、地方競馬およびJRAの若手ジョッキーが争う代表騎手選定競走が『2018ヤングジョッキーズシリーズ トライアルラウンド』です。このトライアルラウンドでの着順に応じて得た点数により、地方競馬およびJRAそれぞれの代表騎手が選ばれます。

2018ヤングジョッキーズシリーズの総括はこちらです
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Trial Round

  • 8月23日(木)
  • 門別競馬場
  • ヤングジョッキーズシリーズTR 門別
  • ポイント表

第1戦

井上敏樹(JRA)

ステラインベレッタ

第2戦

木幡巧也(JRA)

アポロストロング

直線大外一気に逃げ切り圧勝 JRAの2騎手がシリーズ初勝利

 11の競馬場で実施されるヤングジョッキーズシリーズ(YJS)トライアルラウンドも折り返し、6ラウンド目の舞台は門別競馬場。「ダートグレードのときよりお客さんが多い」(現地記者)というほどのファンが来場したのは、藤田菜七子騎手の出場によるものだろう。藤田騎手は3日前に帯広競馬場で行われた恒例の『JRAジョッキーDAY』のエキシビションレースに参加していたが、北海道で実際の競馬に騎乗するのはこれが初めて。JRA札幌・函館での騎乗もまだない。それゆえ“待ちに待った”というファンも多かったことだろう。藤田騎手は昨年からYJSでの活躍が目立っている騎手のひとりで、トライアルラウンドに限れば、昨年そして今年ここまでに騎乗した船橋のすべてのレースで5着以内を確保している。しかし結果から言ってしまえば、ここ門別では7着、7着という結果に終わった。
 第1戦は1200メートル戦。騎乗馬でラッキーと思われたのは、目下3連勝中の3歳牝馬ラッドカバレッタを引き当てた地元の山本咲希到騎手。レースは、人気の中心となったその山本騎手を目標にという展開となった。
 スタートはややばらついたが、その中で互角のスタート切った山本騎手がじわじわと先頭に立ちかけたところ、負けじと競りかけていったのが、落合玄太騎手(北海道)、岩本怜騎手(岩手)、藤田凌騎手(大井)という地方の騎手たち。
 直線を向いて先頭は地元の新人、落合騎手だったが、満を持してという感じでこれをとらえにかかったのが山本騎手。ムチを2発3発と入れ、残り200メートルを切ったあたりで抜け出したところでは快勝かに思われた。
 しかし馬場の真ん中から追い込んでくる馬が2頭。道中は中団から進めていた井上敏樹騎手(JRA)がゴール前の一瞬で差し切った。「できればもう少し前で運びたかったんですが、けっこう速いペースで流れていたので、この馬のリズムで走れたのが最後の伸びにつながりました」(井上騎手)という展開が見事にハマった。山本騎手は3/4馬身差で2着。勝ち馬とともに伸びた木幡初也騎手(JRA)がクビ差で3着だった。
 門別ではレースごとに3着までの騎手の表彰式が行われたが、その直後、「掛からないようにうまく運べましたが、2着は悔しい」と山本騎手。前半600メートルが35秒6、後半が39秒9というハイペースに巻き込まれ、それで2着は確かに馬の能力は発揮したものの、言葉も出ないほど悔しそうな様子だった。
 第2戦で幸運を引き当てたのは木幡巧也騎手。騎乗するアポロストロングは中央未勝利から転入後4連勝中で、単勝は1.8倍。2番人気が第1戦を制した井上騎手で6.5倍だから、圧倒的な人気だ。
 その木幡巧也騎手がハナを主張すると、1800メートル戦ということもありゆったりと流れた。レース中盤から、3番手以下を離して競りかけて行ったのが横山武史騎手。しかしその横山騎手は直線で徐々に後退して4着。レースの上り(=勝ち馬の上り)600メートルが40秒7のところ、39秒3という脚を使って押し上げた2着馬に、5馬身差をつけての逃げ切りとなった。
 2着には落合騎手、3着には山本騎手と、地元の2騎手が入り、着実に上位ポイントを重ねた。
 ちなみに、勝ったアポロストロングのここまで4連勝の鞍上にあったのが落合騎手。「調教にも乗っていて、調子もよかったので(レースに乗れなかったのは)残念。まだ上のクラスでもやれる力はあります」と、複雑は思いを語った。
 YJSトライアルラウンドは、これで東・西で3ラウンドずつを消化。東日本はここまでの船橋、盛岡の計4戦、いずれも地方騎手が勝っていたが、ここはJRA騎手が2勝と見せ場をつくった。
 JRA・東日本では、ここまで4戦に騎乗している木幡巧也騎手が52ポイントでトップ。予定している6戦の騎乗を終えた(騎乗変更などで追加騎乗の可能性はある)横山騎手が47ポイントで2位。井上騎手はここまでの4戦すべて9着だったが、今回の1着と6着で42ポイント、3位まで浮上した。
 地方・東日本では、船橋で勝利を挙げ、ここまで4戦すべて5着以内の山本騎手が75ポイントでダントツ。今回騎乗のない吉井章騎手(大井)が54ポイントで2位。今回の第1戦で4着に入った岩本怜騎手(岩手)が48ポイントで3位となっている。
 今年は騎乗全レースのうち上位着順を得た4レースのポイント合計で争われるだけに、後半戦は少しでも高いポイントを獲得して、前半の下位ポイントを帳消しにできるかという争いとなってくる。
取材・文:斎藤修
写真:浅野一行(いちかんぽ)・小久保巌義

コメント

第1戦1着井上敏樹騎手
(JRA)

去年から1勝もできないどころか、馬券にもからめてなかったので、初馬券がらみで勝てたのでよかったです。前走乗っていた小林騎手からの情報よりも、すごい馬にやる気がある感じで、これはいいときに乗せてもらったのかなと、感謝しています。

第2戦1着木幡巧也騎手
(JRA)

馬が強かったです。ここまでの4連勝が逃げて勝っていたので、すんなり行ければ逃げようと思っていました。馬のリズムを崩さず運ぶことだけを考えて、直線追っただけでした。YJSは(去年から)勝ててなかったので、勝ててホッとしました。ここまでいい流れできているので次も勝てるようにがんばります。