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特集

2018ヤングジョッキーズシリーズ

2018 YOUNG JOCKEYS SERIES
 本年12月27日(木)に大井競馬場、28日(金)にJRA中山競馬場で実施される『2018ヤングジョッキーズシリーズ ファイナルラウンド』への出場権をかけて、地方競馬およびJRAの若手ジョッキーが争う代表騎手選定競走が『2018ヤングジョッキーズシリーズ トライアルラウンド』です。このトライアルラウンドでの着順に応じて得た点数により、地方競馬およびJRAそれぞれの代表騎手が選ばれます。

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Trial Round

  • 8月21日(火)
  • 金沢競馬場
  • ヤングジョッキーズシリーズTR 金沢
  • ポイント表

第1戦

松木大地(高知)

サンデーストリート

第2戦

松木大地(高知)

ムーンマジェスティ

金沢に吹いた松木旋風 騎乗経験生かして連勝

 西日本地区では3戦目となるヤングジョッキーズシリーズ・トライアルラウンド金沢。昨年の同ラウンドのあとにオーストラリアへ長期遠征に出た小崎綾也騎手(JRA)は、現在では見習騎手を卒業し、函館2歳ステークスGⅢのタイトルも手にして金沢に戻ってきた。一方、デビュー1年目からはトライアルラウンド高知に続き西村淳也騎手(JRA)、服部寿希騎手(JRA)、石堂響騎手(兵庫)が参戦した。彼らに混じり「初参加なんです」とハニかんだのはデビュー5年目の塚本弘隆騎手(金沢)。昨年まで所属していた船橋では減量騎手の期間による規程が“デビュー3年未満”なのに対し、移籍先の金沢では“5年未満”のため出場権が復活しての参戦。「ラッキーですね。みんなより少し年上の分、経験を生かしてがんばりたいです」とこの日が23歳の誕生日という青年は爽やかに笑った。なお、トライアルラウンド中盤に差し掛かった今回、落馬負傷などで4名が騎乗変更での参戦。改めてシーズンを通してフル参戦する難しさと大切さを感じさせられる。
 レースを前に地元の調教師からは「いかにインを取るか。それとここは逃げたら勝ちや」という声が聞こえた。
 第1戦は松木大地騎手(高知)が単勝1.1倍の圧倒的人気。JRA500万クラスから金沢へ転入初戦の前走はゴール前で流しながら7馬身差の圧勝だった。他の騎手からは「この馬、かなり強そうですよね」という声も聞かれたが、スタートで躓いてしまった。あわやという場面にも「仕掛けていったらスピードの乗りが良くて、先頭に立てました」と松木騎手。一旦、先頭に立っていた小崎騎手は「他馬なら競ったと思いますが、圧倒的に強そうな馬だったので控えて最内をとりました」。4コーナーからは松木騎手が後続を引き離しにかかり「馬が強すぎました」とゴール前は余裕の勝利だった。
 2着に差してきたのは渡邊竜也騎手(笠松)。インを狙う騎手が多い中、道中も直線も外を回してのもので、「スタート後に内に入れようとしたら、ラチから2~3馬幅の所で馬がモゴモゴしました。重たいのかなと思い、それより外を選びました」という馬場読みだった。3着は「一脚にかけた」水野翔騎手(笠松)、4着は大外枠ながら「インがほしかった」と道中ロスなく立ち回った柴田勇真騎手(金沢)。さらに小崎騎手が最下位人気ながら粘って5着だった。
 第2戦は渡邊騎手と人気を分け合った荻野極騎手(JRA)が好スタートから先手を奪った。続いて大外枠の三津谷隼人騎手(JRA)が「前目の内に入りたかった」と2番手の内、渡邊騎手は3番手という隊列。
 4コーナーから直線への立ち上がりで「空くと思って狙っていました」と松木騎手が内から外にシュッと持ち出すと、義英真騎手(JRA)との叩き合いを制し連勝を決めた。レース後は「気持ちいい~っ!」という第一声。「上手く乗れたと思いました」と会心の騎乗だった。昨年はあと一歩でファイナル進出を逃したが、連勝により地方競馬西日本地区で暫定1位に躍り出た。3着は「勝てませんでしたが、ポイントを上積みできました」と暫定2位の長谷部駿弥騎手(兵庫)。4着の三津谷騎手はトライアルラウンド笠松での2着に続き高ポイント獲得も「勝ちたいですね」と悔しそうな表情だった。5着荻野騎手、6着渡邊騎手はレース後、談笑しながらも互いの敗因を分析した。
 一気に“松木旋風”の吹いた金沢競馬場。騎手紹介式で「ただいまぁーっ!」と叫んだように、2016年に金沢で期間限定騎乗を行い約4カ月で16勝を挙げた。この日は横断幕も掲げられ、第2の地元ともいえる金沢での快挙。「勝って帰ります!馬券、買ってください!」とファンへ宣言していたのだが、有言実行となった。昨年、森裕太朗騎手(JRA)がトライアルラウンド名古屋で5着、10着の後、3連勝したように、きっかけひとつで流れが変わる可能性がある。特に成長著しい若手ならなおさらだろう。
 西日本地区の次回トライアルラウンドは松木騎手も参戦予定の9月11日佐賀競馬場。“松木旋風”は続くのか、あるいはこの日の悔しさを糧に他の騎手が台頭するのか。ファイナルラウンド進出に向けた戦いはまだまだ続く。
取材・文:大恵陽子
写真:早川範雄(いちかんぽ)

コメント

第1戦・第2戦1着
松木大地騎手(高知)
1戦目は最内を取れれば2番手でもいいと思っていましたが、スピードの乗りが違いました。馬が強すぎましたね。1つ勝ちたいと思っていたのでホッとしました。2戦目はスタートがあまり速くない馬だと聞いていて、3~4コーナーまでは内ラチ沿いを通りたいと思っていました。2連勝は金沢の関係者のみなさんのおかげです。