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第76回 2014年11月20日 サイレントスタメン

勝馬ニュース 千田正明さん撮影
Profile
 ~2009年東京ダービー馬サイレントスタメン~川崎競馬場の足立勝久厩舎からデビューし、クラウンカップで重賞初制覇を飾ると、続く東京ダービーではネフェルメモリーやナイキハイグレード、ブルーラッドなど豪華メンバーが集った中、豪快に差し切っての勝利(8番人気)。1着から6着まで0.3秒差の中でひしめき合う大混戦でした。3歳の若駒たちが魅せたあの時の迫力と興奮は、今でも脳裏に焼きついて離れません。「重賞は選りすぐりの速い馬たちが集まる中で、周りが止まっているように見えるあの脚には本当にびっくりした。東京ダービーを勝たせてもらって一生忘れられない馬だね」とコンビを組んだ金子正彦騎手は振り返っています。

 その後のサイレントスタメンは精彩さを欠き、掲示板に入るのも数回ほど……。今年10月の東京記念(11着)を最後に水沢競馬場の佐藤雅彦厩舎に移籍。

 岩手競馬では一番下のC2クラスからのスタートになりました。「やっぱり風格はありますよね。怪我などせずに問題なく出走できれば、能力の違いで勝たなきゃいけない馬だなぁと思っていました」(佐藤調教師)。

転厩初戦は10月6日の盛岡競馬場5レース(C2二組、ダート1400m)。山本聡哉騎手を背にして気合いをつけられながら4番手を進んでいき、直線で早々抜け出して2着馬に6馬身差をつける圧勝でした。東京ダービー優勝以来5年4か月ぶりの勝利。

 続く2戦目も順当に勝ち、3戦目となった前走の11月10日の盛岡競馬場11レース(C1三組、ダート1600m)では、前目に位置取るも、逃げた馬を交わせずに惜しくも2着。「ある程度前にはつけていったんですが、逃げた馬が止まらない馬場だったり、仕上げももっと負荷をかけられました。馬自身は頑張って走っているんですが、厩舎サイドがまた気を引き締めていかなくてはいけないと思いました。悲観する内容ではありません」(佐藤調教師)。

 この後は12月6日から始まる水沢開催のレースを使う予定だそうです。「スタメン自身も周りが勝って喜んでいる雰囲気はわかると思うので、これからもそういう気持ちを味わせてあげたいですね。まだまだ競走馬としてやっていける雰囲気ですし、ずっと無事に走らせてあげたいです」(佐藤調教師)。

 どのレースも勝つことは本当に大変なことで、だからこそ、勝った時は最高にうれしい瞬間です。競走馬として生まれた以上、その喜びをひとつでも多く味わって、新天地岩手で輝き続けて欲しいと願っています。『東京ダービー馬サイレントスタメン、頑張れ!』




高橋華代子(たかはしかよこ)
元NHK山形放送局キャスター。
現在は南関東競馬を中心に取材活動中。
<掲載媒体>
・南関魂
・TCKホームページ
・楽天競馬
・WEBハロン
・馬事通信
・netkeiba.com
・ターファイトクラブ会報誌
・SPAT4ザ・ウィナーズ
など