二大レジェンド対談

感覚としてそういう風に捉えられるレースって珍しくないですか。

そこまで急に思うっていうことはあまりないですね。

スターキングマンでのレースを挙げていただきましたが、的場さんは1986年にカウンテスアップで東京大賞典を勝利しました。当時3000mのレースを逃げ切って勝ったわけですが。

3000mなので本当に折り合いが大事で、引っかかったらなかなか難しいですね。
それが引っかから無かったんですよ。1周目から折り合いついて気持ちがよかったから、1番人気のハナキオーに勝てるなと思いましたね。

カウンテスアップ/第32回東京大賞典

ハナキオーは三冠馬ですが、最後は2頭の対決となって3着以下を大きく離していました。

騎手として豊さんもあると思いますが、道中上手くいく時ってありますよね。
なんでこんな気持ちよく走ってるのって。騎手と馬の息もピッタリだったから1周目を回ったところで、まだ残り1600mくらいあるけれど、これなら勝てるなって閃きがありました。

あとジョッキーの感覚でまさに人馬一体というか、そういう感覚になれるというのも、なかなか無い機会かなと思いますけれども。

突然上手くいく時とかありますよね?

そうそう。上手くいっているなという感覚で4コーナーを迎えることがあるんですよ。そういう時は4コーナーからゴーサインを出すとほとんどの馬が弾けますよね。

ちなみに、武さんは全て上手くいったみたいなレースはありましたか?

それこそスマートファルコンはすごく難しい馬でしたけど、ペースとか関係なくとにかく気分優先で走らせたらどうなるのかなってやってみたら、レコードを出したんです。

2010年の東京大賞典でダート2000mを2分00秒4で走ってレコード勝ちしました。

スローペースで無理して引っ張ってもダメですからね。

馬にとってもそれだけ負担が増えるということですか。

車で例えるなら、アクセル踏んでたくさんブレーキをかけたら、ガソリンを消費しちゃいますからね。

なるほど。ここまで東京大賞典を中心に振り返りました。後編もお楽しみに!

武豊(タケ ユタカ)騎手

1969年3月15日生まれ、京都府出身。O型。
1987年3月1日に騎手としてデビューを果たすと、3月7日の阪神3Rでダイナビショップに騎乗し初勝利を挙げる。
1988年、スーパークリークに騎乗して菊花賞を制しJRAのGI初勝利。
1989年、アメリカで海外初勝利、さらにJRAリーディングジョッキー(最多勝利騎手)を獲得。
1997年、年間最多勝利騎手・年間最多重賞勝利騎手に輝く。
以降も様々な偉業を成し遂げ、史上最速・最年少で通算1000勝(1995年)のほか、2016年には前人未到の通算4000勝を記録するなど、競馬界の“レジェンド”として知られる。

的場文男(マトバ フミオ)騎手

1956年9月7日生まれ、福岡県出身。A型。
大井競馬場東京都騎手会所属の騎手。
「大井の帝王」の愛称で親しまれ、地方競馬全国リーディングを2回(2002年、2003年)、大井競馬リーディングを21回(1983年、1985年~2004年)獲得。
多くの重賞タイトルを手中に収めている。2018年には34年連続35回目の年間100勝を挙げる。
2020年11月には中央競馬・地方競馬を問わず騎手として初めて黄綬褒章を受章。

小堺翔太

タイムリーオフィス所属。タレント、フリーアナウンサー。
中央競馬全レース中継キャスターをはじめ、中央・地方問わずグリーンチャンネルの競馬番組に多数出演。