データ分析 Data Analysis

上位組からはのちのダービー馬も誕生

2013~20年までは地元馬限定で行われた2歳重賞・兼六園ジュニアカップ。昨年、地方全国交流へと門戸が開かれると、1着エンリルは地元・門別に帰って王冠賞を、2着エムティアンジェ(金沢)は重賞3連勝、3着カイル(浦和)は東京ダービー馬に輝くなど、全国各地で活躍を見せた。地元限定戦時代にも2頭がのちに石川ダービーを制覇している。ここでは12~21年の過去10回から傾向を見ていく。

1番人気の3着内率はパーフェクト

1番人気が6勝を挙げていることもさることながら、3着内率100%は特筆すべき事項だろう。2歳戦やダートグレードなど人気決着しやすいレースはいくつかあるが、それでもなかなか見ることができない数字。過去10回はすべて3番人気以内の馬が勝ったこともあって、3連単が万馬券となったのはたった1回。1→6→4番人気で決まった2020年で、この時は2強ムードが濃く、3番人気でも単勝17.1倍という中で2番人気が4着に敗れたことが一因だった。【表1】

[表1]単勝人気別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1番人気 6 3 1 0 60.0% 90.0% 100.0%
2番人気 1 1 2 6 10.0% 20.0% 40.0%
3番人気 3 3 1 3 30.0% 60.0% 70.0%
4番人気以下 0 3 6 55 0.0% 4.7% 14.1%

真ん中かやや内が有利か

基本的には中ほどの枠の勝率が高い。過去10回でフルゲート12頭立てになったことはなく、最も少頭数だった昨年で6頭立て。そのため、外枠のデータが不利に出る可能性もあるが、それは馬場傾向でも言えることで、最近は内から数頭分の砂が深く、内が不利だ。これらを総合すれば、データに極端なバイアスはかかっていないはず。【表2】

[表2]馬番別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1~3番 2 5 4 18 6.9% 24.1% 37.9%
4~6番 6 1 1 22 20.0% 23.3% 26.7%
7~9番 2 3 3 16 8.3% 20.8% 33.3%
10~12番 0 1 2 8 0.0% 9.1% 27.3%

注記:2020年7番、14年3番は出走取消

金田厩舎・中川厩舎に注目

他地区交流だった2012年は愛知、21年は北海道所属馬が勝ったが、今年は地元馬限定戦。地元勢の中で強さを見せるのは4勝を挙げる金田一昌厩舎と、3勝で高い3着内率を誇る中川雅之厩舎。騎手では意外にも吉原寛人騎手が過去10回は未勝利だが、厩舎別では強い傾向が見られる。【表3】

[表3]厩舎別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
金田一昌 4 3 1 19 14.8% 25.9% 29.6%
中川雅之 3 1 2 6 25.0% 33.3% 50.0%
角川秀樹(北海道) 1 0 0 1 50.0% 50.0% 50.0%
岩切敏男(※引退) 1 0 0 0 100.0% 100.0% 100.0%
藤ヶ崎一人(愛知) 1 0 0 0 100.0% 100.0% 100.0%
その他 0 6 7 38 0.0% 11.8% 25.5%

今年は定量戦で重賞実績が信頼できる

金沢プリンセスカップの勝ち馬は6頭出走して【3-1-0-2】。別定重量だった2015~21年では、16、19、20年は2kg増でメンバー最大重量の56kgを課されながらも勝利。17年は1kg増の重量55kgで7着だったが、21年は加増なしの重量54kgで2着と好成績を収めている。今年は牡馬55kg、牝馬54kgの定量のため、実績馬が重量の加増なく走れるのが例年より有利。金沢プリンセスカップをはじめ重賞勝ち馬は積極的に狙っていきたい。

湿った馬場になりやすい

北陸の寒冷地ゆえか、この時期は馬場が乾きにくく、良馬場は1回のみ。水を含んで砂が塊となって飛んでくると、以前は騎手にアザができることもあったというが、砂が変わり、それらも解消。痛かったのはきっと馬も一緒で、砂を変更後はこれまでほど砂を嫌がらなくなった馬もいるという。2歳馬にとってはプラス材料だろう。

勝つのはこういう馬!

人気を素直に信用したいレースで、基本的には1番人気から狙いたい。6番より内の枠で、金田一昌厩舎や中川雅之厩舎の馬だとなお心強いだろう。上位入着馬はのちに重賞馬となることが多く、将来有望な2歳馬を探すのも楽しい一戦となりそうだ。

(文・大恵 陽子)

注記

当ページの情報は、特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。