ル・プランタン賞

北は北海道から南は沖縄まで、日本全国の競馬ファンの皆様、いかがお過ごしでしょうか。佐賀競馬の実況放送を担当しています、中島英峰です。この実況アナブログのお話しを頂くまで、自分の書いた文章がネット上で公開されることなど、考えてもいなかった様な古いタイプの男です。今回がブログ初挑戦のアナログ人間ですが、よろしくお願いします。
さて初日の話題はル・プランタン、フランス語で春を意味する言葉です。地方競馬の世代別牝馬重賞シリーズ、グランダム・ジャパン3才シーズン第3戦として実施されました、今年のル・プランタン賞。3才牝馬オープン地方全国交流レースという形で、4月25日の日曜日に佐賀競馬場で行なわれました。出走馬11頭のメンバー構成は、東海地区笠松からの遠征馬4頭に対して、迎える九州地区の代表馬が7頭。九州勢は、地元の佐賀から6頭、そして荒尾からの参戦が1頭でした。
当日の天候は晴れ、馬場状態も良でした。九州競馬ファンの歓声が響くなか、優駿達が熱戦を繰り広げます。レースは終盤戦へと入り、いよいよル・プランタン賞の出走馬達が姿を現しました。
4月19日の月曜日に水沢競馬場で行なわれました、グランダム・ジャパン3才シーズン第2戦の日高賞で、なんと上位を独占した笠松勢。東北みちのくは岩手県から、九州は佐賀県まで、わずか中5日の大移動です。ここ佐賀競馬場を訪れる人々のほとんどが、過去のダートグレード競走で見せてきた、東海地区からの遠征馬達の実力を知っています。九州競馬ファンの視線の多くが、名馬の里の笠松ガールズに向けられました。
笠松 エレーヌ | 笠松 コロニアルペガサス |
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笠松 プティフルリール | 笠松 ショートエアリー |
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佐賀 ゴールドセント | 荒尾 テイエムアコガレ |
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地方全国交流レースという形で行なわれる今年のル・プランタン賞、昨年までとは違う雰囲気を醸し出しながら、出走馬達は戦いの場に身を移します。目にはまぶしい明るい日差し、肌にはやさしい穏やかな風、絶好の競馬日和です。はたして名馬の里笠松から、更なるスーパーアイドルが誕生するのか。それとも地元のプリンセスが、二つ目の冠を手にすることが出来るのか。あるいは九州から、新たなヒロインが出現するのか。
ル・プランタン賞のゲートは、向正面のほぼ中間地点に置かれました。スタートで少し後手にまわった馬がいたようですが、大きな遅れはありませんでした。まず先行したのは九州勢、その中には2月の飛燕賞を制したゴールドセントと吉田順治騎手の姿がありました。また荒尾から参戦のテイエムアコガレと山口勲騎手も先行集団の一角です。そして笠松勢はというと、いずれも後方集団を構成する形で、九州勢を前に見ながらレースを進めています。先行争いはすぐに落ち着いて、ゆっくりとした流れになって一度目のスタンド前へと入りました。
春の明るい日差しの中、先行集団が一周目のゴール板前を通過して行きます。その時、場内から大きな歓声が上がりました。ピンクの帽子が一つ、前へ前へと押し上げてくるではありませんか。そうです、キングシャークです。1月の花吹雪賞を制したダイヤアストライアと鮫島克也騎手が、ゆるい流れを嫌ったのか、後方集団から抜け出してきました。しかし、全体のペースが大きく変わることはありません。すぐにダイヤアストライアも、ゴールドセントやテイエムアコガレと共に、上位集団の一角に落ち着きました。
レースが大きく動いたのは、二度目の向正面。ここまで後ろの方で我慢していた笠松勢が、ついに進出を始めました。エレーヌと筒井勇介騎手が、じんわりと動いて先行集団に取り付きます。それを追うように、コロニアルペガサスと吉田稔騎手が、ものすごい勢いで後方集団から抜け出します。
これが名馬の里の底力でしょうか、笠松ガールズ恐るべし。
優勝 笠松 エレーヌ 筒井勇介
2着 笠松 コロニアルペガサス 吉田稔
3着 笠松 プティフルリール 真島正徳
4着 佐賀 ゴールドセント 吉田順治
5着 荒尾 テイエムアコガレ 山口勲
地方競馬の世代別牝馬重賞シリーズ、グランダム・ジャパン3才シーズン第3戦として、初めて全国交流レースという形で行なわれた今年のル・プランタン賞。九州競馬ファンの一人である私には、少し刺激が強すぎる結果でした。しかし栄城賞まで、あと一ヶ月余りあります。強力な遠征馬達との対戦は、今日出走した九州ガールズにとって、良い経験となるはずです。これからも、ご声援をよろしくお願いします。そして、ここまでの重賞レースでは少し影が薄かったものの、九州ボーイズのダービーへ向けての逆襲にご期待下さい。
さて今日は最後に、大型連休期間中の九州競馬、5月初旬の開催日程をご案内させて頂きます。まず荒尾競馬が、1日・2日、2日には重賞レースの荒尾ダービーがあります。続いて行なわれます佐賀競馬が、3日・4日・5日、期間中の九州競馬は怒涛の連続開催です。それでは全国の競馬ファンの皆様、大型連休は地方競馬を心行くまでお楽しみ下さい。
羽田盃
こんにちは。東京ダービー実況担当(予定)の大川充夫です。
21日(水曜日)、大井競馬場にて、南関東三冠戦線第1弾の
第55回羽田盃がおこなわれました。
南関東地区の三冠レースはすべて大井競馬場でおこなわれる、というのは以前書いたとおり。羽田盃はその1つめのレースで、ここから直接、東京ダービーへむかうのがいわゆる「王道」であるという話も書きました。
今年、ひとつめの王冠を手にしてその「王道」をあゆむことになる(であろう)馬は、
シーズザゴールドです。…ええと、ひらたく言うと、羽田盃の勝ち馬はシーズザゴールドですよ、ってことですが。
第55回羽田盃、人気をあつめたのは
マカニビスティーでした。
マカニビスティーはJRA5戦2勝で今年春、大井へ転入してきた馬です。12月の新馬戦は芝生のレースで9着でしたが、その後ダートで連勝。2月にはオープンのヒヤシンスSで上位と差のない5着という経験があります。
南関東転入初戦で2着に1秒6差という圧勝を演じており、羽田盃しめきり直前オッズでは1.3倍という圧倒的な支持をうけました。
レースはナンテカが後続を離して逃げ、2番手タケノアリュールや3番手ライトラン、4番手からショウリュウといった馬がバラバラと続く展開。少し飛ばし気味であったのか、先行勢は3コーナーあたりで続々と苦しくなります。
マカニビスティーは、うしろから3頭目からの競馬。向こう正面で馬群の外をとおってポジションを上げていき、4コーナー手前では先頭にならびかけます。直線に向いて一気に後続をつきはなし、またしても快勝ムード、ではあったのですが。
道中、中段の内側をとおったシーズザゴールドが残り800メートルを切ったあたりで徐々に前に進出し、直線に向くあたり(残り400メートル)では先行勢の直後、いわゆる第2列目に位置しました。
抜け出すマカニビスティーに、外へ進路を切りかえて伸びてくるシーズザゴールドがせまり、残り100メートルからは馬体をあわせた追いくらべ。
決着はハナ差。
わずかに外のシーズザゴールドが競り勝ちました。鞍上は内田博幸騎手(この日はJRA交流戦が組まれており、大井での騎乗がかないました)。
3着は2頭から5馬身おくれて
ブンブイチドウ。後方からレースをすすめるクチで、このレースでも中段よりうしろから。いつものようによく伸びてきて混戦の3着あらそい(3/4、1/2馬身差でウインクゴールド、ドラゴンキラリが4着・5着)では先着。重賞での入着が続きます。
内田博幸騎手コメント(表彰式にて)
「(荒山勝徳調教師からは)指示というよりは、騎手の感じとった感触でレースしてくれ、と。
(人気のマカニビスティーについては)うしろから早めにあがってくるってことを予想はしていました。(マカニビスティーは)直線なかばで脚色がちょっと重くなった感じがしたので、これはかわせるかな、と思いました。
一旦かわしたんですけど、今度はボクのほう(=シーズザゴールド)が進まなくなっちゃったので、また並び返されてしまったんですけど、勝負根性を出してくれたと思います。
今年はいろいろありましたけど、ようやく大井で乗ることができて、こうやって大きなレースが勝てたことを、ファンのみなさんや関係者のみなさんに感謝したいと思います。本当にどうもありがとうございました」
今年の南関東三冠戦線は混戦です。ってのはすでに書きました。
一冠目・羽田盃を終えてその混戦さ加減に変化があったか、というと。
わたくし個人の感想ですが、どうもあまり変化はないようです。
もちろん、一冠目を勝ち取ったシーズザゴールドが東京ダービー本番で注目と人気を集めることは間違いありません。そしてハナ差2着のマカニビスティーも負けて強し、次では巻き返し必至、という見方で問題ありません。
が、羽田盃の結果がそのまま本番の東京ダービーに反映されるかどうか、という話になると…。
どうでしょうかねえ。それほどカンタンじゃないんじゃないか、と思うのですが。
いや、ただ単にわたくしに見る目が備わっていないだけという話もあるのですが。
わかりません。
とりあえず、23日におこなわれる、新設の東京ダービートライアルを見てみましょう。
てなわけで、次回はその新設トライアルについて(内容は突然変更することがあります…って、これ、いちいち断っておかないとイカンですかね?いや、勝手に断ってるだけなんですけど・笑)。