ダービー後記
2010.6.8
兵庫ダービー馬ハイパーフォルテ
『兵庫ダービー』は、3番人気のハイパーフォルテ(平松厩舎)が快勝して幕を閉じました。
「(末脚をなくして)差されてもいいから強気で行きました」
という鞍上の田中騎手の言葉通り、積極果敢なレースぶり。
“ダービー”の栄誉を奪い取りに行った結果の勝利でした。
勝ったハイパーフォルテは、7月14日の『ジャパン・ダート・ダービー(JpnT)』(大井競馬場2000m)には向かわず、休養させるということです。
1番人気で3着に敗れたフィオーレハーバーも、放牧に出されることになりました。
残念ながら3着という結果となりましたが、急きょの乗り替わりとなった板野騎手の騎乗に、落ち度は全くなかったと思います。
今回の場合は、ハイパーフォルテが強すぎたということでしょう。
勝った田中騎手には、“ダービージョッキー”にこれまで2度輝いていた慣れと、余裕がありました。そして、これが3度目のダービー制覇です。
「運がいいだけです。今回は1番人気じゃなく、挑戦者の立場でレースが出来たのが良かったんじゃないですか」
うん、コメントにやっぱり余裕があります。
田中騎手と板野騎手とでは、精神的な部分での違いはあったのでしょう。
また、あって当然だったと思います。
こんな人生最大のプレッシャーを経験した板野騎手は、大きな何かを得たように思います。
悔しい思いもあるでしょうが、これをバネに、素晴らしいジョッキーに成長していってもらいましょう!
全国のダービーを観ていて、『JDD』で集結する頂上決戦が楽しみになって来ました。
岩手のロックハンドスターの強さには惚れ惚れしました。
きっと全国レベルの闘いでもヒケを取らないのではと思わせます。
大川さんも書いてましたが、名前も“岩手の星”でカッコいい!!
それから、マカニビスティーの強いこと、強いこと!
道中は後方に位置して、追い上げるときはロスを承知でいちばん外。
それでアッサリ差し切るわけですから、さすがとしか言いようがありません。
JRA時代に敗れているバーディバーディとの再戦が楽しみですねぇ。
そのバーディバーディも、先日の『ユニコーンS』で圧勝!
やっぱり、こちらも強いですわ。いまは敵なしって感じですね。
そんな猛者が集う『JDD』が、楽しみでなりません。
最後に、全国各地の『ダービー』で盛り上がっていただきましたファンの皆さま、ありがとうございました。
これからも地方競馬の熱戦を、どうぞご期待ください。
そして、熱く盛り上がってください、よろしくお願いします!
騎手変更です!
2010.5.31
木村騎手は、腰痛のため騎乗を断念。よって、フィオーレハーバーには板野騎手が騎乗することになりました。
相当なプレッシャーがかかるでしょうけど、騎手という稼業は、それを撥ね退けなければならないことは山ほどあるハズです。
撥ね退けてもらいましょう!
板野騎手にはそれができるだけの技量が備わっています。だからむしろ期待しましょう!
きのうから始まったダービーウィーク。
『日本ダービー』は1番人気のヴィクトワールピサが3着で、2番人気のペルーサが6着になり、3連単では15万円台の高配当に。
地方競馬での皮切りは、佐賀競馬場の『九州ダービー栄城賞』。1番人気のメイオウセイが勝って、2着には3番人気のゴールドセント。そして、3着に兵庫からの武者修行中、寺地誠一騎手が、9番人気のリワードシャンブルを食い込ませ、波乱を演出しました。
やるやん、寺地騎手。
寺地騎手が向正面で追い上げ態勢に入ったとき、中島アナウンサーが言った「迷いなく」という言葉は、まさに寺地騎手の心境だったでしょうね。
さて、きょうは盛岡競馬場の『岩手ダービーダイヤモンドカップ』です。波乱ムードをなぞっていくのでしょうか?そして、長田アナウンサーはどんな実況をするんでしょうか?そんな思いで、レース観戦します。
我が『兵庫ダービー』も主役候補の騎手変更で、すでに小波乱。当日を心待ちにしてください。
ちょっと緊急事態!
2010.5.28
木村騎手が、腰痛で今週の騎乗を見合わせました。以前にも痛めたことがあり、再発したかたちです。
となると、来週の『兵庫ダービー』で、大本命に推されるであろうフィオーレハーバーには騎乗できるのでしょうか?正式には週明けにも発表されるものと思われます。ここでもお伝えしようと思いますし、園田・姫路競馬のHPでもご確認ください。
リーディングジョッキーである木村騎手がいるのといないのでは大違いなので、とにかく早期の復帰を祈ります。
★『兵庫ダービー』予備登録馬一覧
(収得賞金順)
フルゲート12頭
1 フィオーレハーバー
2 ハイパーフォルテ
3 タガノバロット
4 ホクセツロマン
5 オキナワノペガサス
6 フウリンカザン
7 タガノパンデミック
8 ブリリアンストーム
9 ホワイトランナー
10 タガノフライト
11 アーモンドケーキ
12 アンファンユニーク
13 シャーククレセント
14 シャムシール
15 ヒノクニシンゴ
フィオーレハーバーとハイパーフォルテの一週前追い切りが、両馬の併せ馬で行われ、ともに非常に良い動きを披露したようです。
いよいよ迫ったダービーウイーク、各地で皆さん盛り上がってください!
第二勢力の旗頭
2010.5.17
『菊水賞』で上位のフィオーレハーバー、ホワイトランナー、ハイパーフォルテがトップグループで、ダービーでは有力候補として挙げられています。
それに続く第二勢力は、すでに勝負付けが済んだと見られていて、やはり3頭で決まってしまうのではないかというのが、大方の予想でした。
しかし、そんな中、一頭「おっ!」と思わせる馬が現れました。タガノフライトという馬です。
JRAでもお馴染みのタガノ軍団は、これまでタガノバロット、タガノパンデミックと、重賞路線で有力馬を送り込んできました。
2歳時の『兵庫若駒賞』で、断然人気のフィオーレハーバーに対し、パンデミックが果敢に競りかけペースアップを誘い、ジッと待機していたバロットがそこを差し切るという見事なコンビネーションをみせて優勝をさらっています。
ところが、その後にフィオーレ、ハイパーの平松(厩舎)軍団の反撃に遭い、3歳戦では劣勢に回っています。
そこへ、第3の刺客としてタガノフライトが出現します。
新馬戦こそ5着に敗れたものの、その後は持ち前の競走センスでC級戦を3連勝。この勢いで、当初予定のなかった『菊水賞』に急きょ参戦することになります。
結果は6着。初の一線級相手に、準備が整わぬままの出走では、敵うはずはありませんでした。
15戦全勝で十両優勝し、新入幕を果たしたのちも快進撃を続けた把瑠都ですら、千秋楽では当時新大関だった白鵬になすすべなく敗れているわけですから。
あっ、すみません。もうお気付きの方もいらっしゃるでしょうが、ぼくの文章にはちょいちょい相撲ネタが予告なく現れます。ご了承くださいませ。
この敗戦で目が覚めたタガノフライトは、Bクラスの特別戦、オープン特別と再び連勝街道に。
特に前走は圧巻で、同じく第2勢力の有力候補として挙げられていたオキナワノペガサスを軽くひねって5馬身差。しっかり予選を勝ち抜いて、改めてトップグループに挑戦状をたたきつけます。
決して脇役ではないタガノフライト。注目です。
新大関把瑠都も頑張れ!
三冠馬誕生ならず!
2010.5.10
そらそうでしょう。
バーディバーディ(牡3・JRA池江郎厩舎)は強すぎました。5馬身差の圧勝は、勝ち馬が2着馬につけた過去最大着差。勝ち時計の1分59秒6も、良馬場では最高タイム。文句のつけようのない勝利です。
『皐月賞』でも逃げたわけですから、当然ここでも逃げるだろうと安直に考えていたら、なんとすんなり控えてしまったのです。
「どこからでも競馬ができるだろうと思っていたので」
と鞍上の松岡正海騎手は、サラッと言ってのけます。
実況しているこちらとしましては、ちょっとした“ビックリ表現”をしてしまいます。
先行したのはタマモアルプスとミッキーデジタル。一旦落ち着いたかと思われた一周目の正面スタンド前。ところが、1コーナーのカーブ付近から再びペースアップ。速い流れを作って行きます。
それを見ながら4番手ですんなり折り合っていたバーディバーディは、目の前のアースサウンドの手応えが怪しいとみると、外に持ち出し進出を開始します。
やおら腰を上げたかと思うと、もう先頭各馬を飲み込んでしまいます。
さながら武士道の“後の先”を思わせる動き。
直線ではほとんど追わずの状況での5馬身差圧勝、自身初の重賞勝ちとなったわけです。
この馬、間違いなく世代を代表するダートのトップホースですよ。このあとの活躍が楽しみです。
次は『日本ダービー』に向かうとの話でしたが、『ユニコーンS』へシフトすると伝えられています。本格ダート路線歩むのかも知れません。
となると、春の最大目標は『ジャパンダートダービー』ということになります。
2着には、これまたJRAのサンライズクォリアが食い込んできました。後方からの追い上げで、ハイペースに乗じた形ですが、この馬はこういう流れではキッチリ追いこんできます。そういうキャラを確立しました。
こちらも次走は『ユニコーンS』だそうですが、距離短縮で速い流れになりそうなので、ここでも期待できるんじゃないでしょうか。
そして、お待たせしました。3着に、我が地元のフィオーレハーバー(平松厩舎)が来たのです!
4コーナー手前で、フィオーレハーバーが追い上げてきたときに、大歓声が湧き起こります!
みんな地元馬を応援してくれてるんや!
と嬉しく、興奮してしまいました。
吉田(勝彦アナ73歳)さんも「嬉しかったぁ」と感動ムード。
2着馬から4馬身差の3着ですが、自ら動いていっての3着ですから、立派な成績と言えます。うん、間違いなく立派です。
さらにクビ差で、同じ平松厩舎のハイパーフォルテが4着に。これまた嬉しい結果。しかも、上がりの3ハロンは、勝ち馬より0.1秒速いという素晴らしい末脚です。
さて、『兵庫ダービー』
この同厩舎の2頭が、再び相まみえます。
言ってみれば、同部屋決戦です。
平成元年名古屋場所の、千代の富士−北勝海の優勝決定戦を思い出され方も多いことでしょう。
大相撲では本割(ほんわり・場所中の通常の取組)で同部屋の力士が対戦することはありません。さかのぼれば、同じ一門でも対戦がない時代もありました。
ただし、優勝決定戦は本割ではないので、上記の対戦や、平成7年九州場所の若乃花−貴乃花の同部屋兄弟対決(兄弟も本割では対戦しない)が実現したのです。
話が花道に、いや、横道にそれてしまいましたが…。
競馬でも、同じ厩舎の馬同士が対戦することは、あっ、なんぼでもあるわ。
だから珍しいことではないですね、アハハ。
でも、興味深い一戦であることは間違いありません。
過去の両馬の直接対決では、4−0で世代のチャンピオンであるフィオーレハーバーが圧倒しています。しかし競馬に絶対はなく、5度目の対戦で、しかも『ダービー』という大一番で、ハイパーフォルテが快哉を叫ぶかも知れません!
今年の初場所、それまで11度の対戦で一度も勝てなかった横綱・白鵬に、当時関脇だった把瑠都が初勝利を挙げ、大関という名誉をぐぐっと引き寄せたように。
そんな一番に“待った!”をかける馬がいます。
今年の秋で勇退するリーディングトレーナー曾和直栄師が送り込む刺客、ホワイトランナー。
道営出身で、JRAを経由して園田に移籍。園田では5戦して3勝2着1回3着1回の好成績。
三冠初戦の『菊水賞』では、勝ったフィオーレハーバーに3/4馬身差まで詰め、世代の王者をとことん苦しめました。
どうやら、三つ巴の様相です。
そうです、巴戦です。
大相撲の優勝決定戦には巴戦もあり、平成2年の春場所…、
もうええか。
とにかく今年の『兵庫ダービー』は目が離せませんよ!
まもなく兵庫チャンピオンシップ
2010.4.26
“世界遺産姫路城”にほど近い姫路競馬場で今年も『兵庫ダービー』が行われます。ダービー観戦がてらに、姫路城も見学されてはどうでしょうか。と言いたいところですが、残念ながら保存修理のため、大天守には入ることができないのです。それでも普段見られない姿となる姫路城も、一見の価値があるかも知れませんよ。
兵庫三冠戦線最後の『兵庫ダービー』ですが、その前に『兵庫チャンピオンシップ(JpnU)』(5月4日)という三冠への最難関が待ち受けます。ここ数年はJRA勢の独壇場で、地方馬は手も足も出ないという状況。今年こそ、そんな厚い壁をぶち破るような馬が出てきて欲しいものです。
地元の大将格は三冠初戦の『菊水賞』を勝ったフィオーレハーバー。昨年の2歳チャンピオンでもあり、世代を代表するに相応しい馬。『菊水賞』でのタイムや着差は威張れるものではないものの、2ヶ月のブランク明けで上積みは必至。万全の仕上げで臨めば、JRA勢にもアッと言わせるシーンもあるのでないかと、期待してみたくなります。
竹之上 次男
(兵庫ダービー担当)
(有)ダート・プロダクション所属
1970年4月28日生まれ(まもなく40歳)
実況場 :園田・姫路競馬場
思い出のダービー馬:
ユキノアラシ
選出理由:
この年から賞金が1000万円に増額。このご時世で、ローカル重賞としては破格で、各陣営の目の色が変わったように見えたものです。
これにより『ダービー馬』の称号は、さらに栄えあるものになり、兵庫県のホースマンたちの想いも熱くなります。
2007年『兵庫ダービー』に一番人気に支持されたユキノアラシ。騎乗する田中学騎手は、“ダービー馬”の重みに、前日はなかなか寝付けなかったそうです。
そんなプレッシャーに押しつぶされそうになりながらも、堂々逃げ切った田中騎手は、間違いなく精神的に大きく成長。その成果を翌年、バンバンバンクでダービー連覇を果たし、証明してみせるのです。
意気込み:
ダービーだからといって特別ではなく、どのレースでも明瞭、的確、過不足なく伝えられたらと思います。
なかなかできませんが…。