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クイーン賞〜兵庫ゴールドトロフィー(第19回)

クイーン賞JpnIII

 ユキチャンは外枠だったのがよかったですね。スタートもよくて、外から無理にかぶせてくる馬もなく、うまく砂のかぶらない好位を追走することができました。シスターエレキングが逃げて、落ち着いたペースになり、テイエムヨカドーをぴったりマークする位置で競馬ができました。3〜4コーナーでも手ごたえが楽でした。だからといってキレる脚はないのですが、最後はじりじりと前に出ました。今回はすべてがうまくいった感じです。地方に来て、早いうちに大きいところを勝ててよかったですね。
 テイエムヨカドーにとっては、好位を追走してほぼ完璧なレースをしていただけに、残念な結果でした。それでも牝馬同士なら重賞を勝つチャンスはあるでしょう。
 ヤマトマリオンは全盛時の勢いがないですね。中団追走から3〜4コーナーで前の2頭の直後に迫るという、この馬の勝ちパターンでした。強いときならそのまま直線で一気に交わしているはずですが、直線ではあまり伸びませんでした。


全日本2歳優駿JpnI

 ラブミーチャンはゲートを出てからのダッシュ力が抜群で、とにかく速いですね。外枠からのスタートでも、内に切れ込んで楽にハナに立ちました。こういう馬だと、乗っているほうは楽ですよ。先頭に立っても引っかかっていかず、道中は手綱を馬にくれてやって、完全にマイペースに持ち込みました。それにしてもいいレースをしました。このスピードがあれば、芝に行ってもいいレースをするのではないでしょうか。後ろから見るといい馬体をしています。おそらくトモ脚の蹴りも相当な力があるのでしょう。
 ブンブイチドウもいいレースをしました。最後は追い込んで、よく2着に届きました。こういう脚が使えるのなら、たとえば大井の長い直線に行けばさらにチャンスがあるのではないでしょうか。
 ビッグバンはスタートで出負けしたのが残念でした。内のナンテカに寄られて、下げる形になってしまいました。あれがなければ、もう少しいい位置につけられたかもしれません。ただ、やはり力はあるので、これからが楽しみな馬です。3コーナーからはいい手ごたえで仕掛けて行っているのですが、前の2頭が離しにかかったときに、その直後まで一気に行ききれるようでないと川崎コースでは厳しいですね。左回りに慣れていなかったこともあるでしょうし、飛びが大きいので小回りコースはあまり向かないかもしれません。


名古屋グランプリJpnII

 JBCクラシックでヴァーミリアンと接戦だったマコトスパルビエロとワンダースピードが実力どおりのレースをしました。
 マコトスパルビエロは、外枠から迷わず一気にハナを奪いに行きました。安藤勝己騎手は最初から行くと決めていたのでしょう。これで、今回は完全にこの馬のペースになりました。飛びの大きい馬ですから、長距離のゆったり流れるレースはこの馬に向いています。東京大賞典にも登録がありましたが、ここを使って正解だったかもしれません。
 ワンダースピードも、常に力を発揮していいレースをしています。内枠に入って、ちょうどJBCクラシックのときのヴァーミリアンと同じような展開になりました。前にマコトスパルビエロ、外にマイネルアワグラスがぴったりついて、動くことができませんでした。それでもゴール前では差を詰めてきましたが、マコトスパルビエロは道中ずっと楽をしていましたから、それを差し切るのは容易ではありません。
 メイショウトウコンはいつもどおり後ろからの競馬でした。向正面からスパートして、3〜4コーナーでは前3頭のうしろまで来ましたが、強いときならあそこで一気に前に並びかけていたでしょう。そういう意味では、以前ほどの力はないのかもしれません。


兵庫ゴールドトロフィーJpnIII

 トーセンブライトは、地方のコースでは強いレースをしますね。ヴァンクルタテヤマが外から行ってくれて、いいペースになりました。4番手のいい位置を追走して、直線でも抜群の手ごたえでした。
 リミットレスビッドは10歳でも衰えがありません。早めに2番手につけて、積極的な競馬をしました。
 ラヴェリータは、ダッシュがあまりよくないですから、もう少し長い距離のほうがいいのではないでしょうか。今回は馬群の中で馬が行く気を見せなかったので、もしかしたら外枠に入ればもう少しいいレースをしたのかもしれません。向正面からずっと追いどおしでも前には行けませんでした。頭が高いのも気になります。フワフワしていて、ハミがかかっていないので、乗りにくい部分があるのかもしれません。小回りコースの忙しい競馬は、この馬には向いていないようです。前走でジャパンカップダートを使った反動もあったのではないでしょうか。
佐々木竹見(ささきたけみ)

NAR地方競馬全国協会参与。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
 現在は地方競馬教養センターなどで後進の指導にあたる。
 
 
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