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第9回 2009年4月20日 テツノセンゴクオー

 
 テツノセンゴクオーを覚えていますか?今から10年以上前、大井所属として東京記念と金盃を制覇。黒光りした雄大な体と茶色い瞳を潤ませた青鹿毛の猛者を・・・。

 そんな姿に魅了された一人の競馬ファンがいました、中島由美子さんです。カツラノハイセイコのファンだったことでその息子にも注目するようになり、そもそも黒くて大きい馬が好きだったことから、テツノセンゴクオーに魅せられていきました。神奈川在住ですが、大井から転厩後も、新潟と高知に足を運んで応援し続けたそうです。

 03年1月に高知で現役生活を退いたテツノセンゴクオーは、高知県黒潮町の山沖利之さんの牧場で余生を過ごし始めました。入野海岸のすぐ近くにあって、波音が聞こえてくる心地良い場所です。

 縁あって、5年前から中島さんはテツノセンゴクオーのオーナーになりました。「競走馬のオーナーは大変でしょうけど、引退馬なので何とか(苦笑)。離れてはいますが、母親と息子の感じでしょうか」(中島さん)。忙しい仕事の傍ら、3か月に1度は会いに行くそうです。

 1泊2日の滞在期間中、寝る以外はほとんど一緒。馬房掃除から体の手入れなども中島さん自ら行って、テツノセンゴクオーが放牧地から馬房内に移動しても、片時も離れないそうです。「飽きないものですよね?」と中島さんは言いますが、もちろん、そのお気持ちわかります(笑)!

 「オーちゃん」という愛称で呼んでいるそうですが、テツノセンゴクオーは澄まし顔でクールな対応。現役時代、気性のきつさは天下一品だったことでも知られていますが、今は非常におとなしくて扱いやすいタイプだそうです。もう17歳になりましたが、怪我や病気はない健康体で、体のハリや毛づやは抜群。私が行った日は残念ながら荒れ模様の天候だったんですが、それでも馬体の素晴らしさは目を引くものがありました。それに、すごいイケメンだし・・・おじいちゃんには全然見えません!

 ハイセイコー、カツラノハイセイコの血を残したいという中島さんの思いから、種牡馬として余生を送り始めています。産駒が砂上を走る日を心待ちにして・・・。

 「健康でいつまでも元気でいて欲しいです。付き合いも長いですから、もう家族みたいですね。自分がこんな風になるとは夢にも思いませんでした」。

 〜1頭を応援し続けた普通の競馬ファンが、ゆくゆくはオーナーになって、その愛する馬と時間を共有する〜 中島さんのライフスタイルって、何て素敵なんだろう。
高橋華代子(たかはしかよこ)

元NHK山形放送局キャスター。現在は南関東競馬を中心に活動中。

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