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東京大賞典〜川崎記念(第20回)

東京大賞典JpnI

 サクセスブロッケンは外枠からのスタートでしたが、内田騎手はほとんど手を動かすことなく、まったく楽に2番手につけました。2コーナーを回ったあたりではかなり遅い流れになったので、掛かりぎみになって折り合いに苦労していました。そのため、3コーナー手前でゴールデンチケットが行ったときには置かれてしまいました。行きたがる馬を抑えるのに苦労していたので、おそらくすぐに切り替えてペースアップすることはできなかったのでしょう。ただそこで行かなかったことで、最後の伸びにつながったということはあったかもしれません。最後は内田騎手の執念で勝ったようなレースでした。
 ヴァーミリアンは、ゴールデンチケットが行ったときに一緒に上がっていく形になりました。この馬にとっては、ここでついて行ったのは正解だったと思います。直線でいいタイミングで先頭に立ちましたから、これで負けたのなら仕方ないというレースでした。
 ロールオブザダイスは、ぴったりラチ沿いを回ってうまく乗りました。直線を向いて外に持ち出し、サクセスブロッケンと並んだときには、内にヴァーミリアンがいて、2頭に挟まれるような格好になりました。本当に力があれば、あそこは割って出てくるところ。そのあたり、やはり前の2頭とは力の差があったということでしょう。まだ重賞勝ちはありませんが、今回このメンバーを相手にこれだけのレースができれば、いずれ重賞の1つや2つは勝つかもしれません。
 セレンはスタート後は後方でしたが、ゴールデンチケットが上がっていったときに位置取りを上げていっています。このあたりはさすが石崎(隆之)騎手ですね。テンに楽をしていたぶん、最後はよく伸びてきました。これからが楽しみです。
 ゴールデンチケットが向正面で一気に行ったのは、流れがかなり遅かったので、いい判断だったと思います。ただ大井の直線は長いですからね。さすがに最後まではもちませんでした。
 フリオーソは無理せず先頭に立って、うまくスローに落としましたが、早めに来られてしまったので厳しいレースになりました。


TCK女王盃JpnIII

 ユキチャンはゲートでも落ち着いていて、スタートがよくなりました。今回も外枠に入ったのはよかったですね。今野騎手が乗るようになってから、なぜか外枠ばかりが当たるようになりました(笑)。好スタートからスッと好位につけて、道中はずっと我慢していました。直線では一気に抜け出すのかと思いましたが、先頭に立つと抜け出すわけでもなく、追ってもジリジリとしか伸びません。それでも内からウェディングフジコが来たら差し返したところは立派です。外から一気に差してくるような馬がいると交わされてしまうと思いますが、他の馬と並んでいるぶんには抜かせません。競り合いになると強いです。
 ウェディングフジコは内々のいいところを回ってうまく乗りました。直線でもラチ沿いから伸びてきました。エンプレス杯に出てくれば再び注目でしょう。
 コスモプリズム、ツクシヒメも外から伸びてきました。あまり差はありませんでしたが、最後は脚いろが同じになってしまいました。
 トウホクビジンも今回は直線までよく粘っていました。本橋騎手の好騎乗でした。最後は後退して7着でしたが、勝ち馬からは1秒も離されていないので、これからが楽しみな馬です。


川崎記念JpnI

 ヴァーミリアンは結果的に2番手追走になりましたが、ハナに行くつもりで最初の3〜4コーナーまで譲らなかったのがよかったですね。当然フリオーソも行く気だったので、もしすぐに控えていれば、外から来る馬にかぶされて、行き場をなくしていたと思います。そういう展開になれば、フリオーソに勝たれていたところでした。スタートで行く気を見せた武騎手は好判断だったと思います。最初のスタンド前でも外には持ち出さず、フリオーソの真後ろ、少し砂をかぶる感じの位置を追走しました。外に出していれば掛かってしまったかもしれませんから、この位置取りも正解です。直線ではフリオーソもしぶとかったですが、最後はよく伸びました。スタートで下げずに2番手を追走できたことが、最後のこの伸びにつながったと思います。
 フリオーソは、前回の東京大賞典は休み明けでしたが、今回は2走目だけによくなっていたと思います。デムーロ騎手が3コーナー過ぎから早めに追い出したので、ヴァーミリアンに並ばれたらあっさり交わされてしまうかと思いましたが、よく最後まで粘りました。デムーロ騎手は初騎乗でしたが、一瞬のキレる脚はなく、長く脚を使うタイプで、そういうところまでわかっていたのでしょう。
 テスタマッタ、ゴールデンチケットなど上位馬はいずれも一流ジョッキーの騎乗で、持てる力を存分に発揮しているだけに、実力どおりの結果でした。
佐々木竹見(ささきたけみ)

NAR地方競馬全国協会参与。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
 現在は地方競馬教養センターなどで後進の指導にあたる。
 
 
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