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第32回 2011年3月18日 ビービートルネード

 2006年東京ダービーは、12番人気のビービートルネードがインからの差し切りで優勝。鞍上の当時18歳だった町田直希騎手の右腕が高々と上がり、最年少東京ダービージョッキーの誕生した瞬間でもありました。勝負は最後まで諦めてはいけないんだということを、改めて教えてもらった一戦。

 ビービートルネードはその後も06戸塚記念と07報知オールスターカップを優勝し、中央競馬へ移籍。しかし、脚元の不安を発症し長期休養に入っていたものの、現役生活を断念。昨年8月中旬に北海道から神奈川県秦野国際乗馬クラブに移動し、第二の馬生をスタートさせました。この乗馬クラブの馬たちは、川崎競馬場誘導馬の役割も担っています。

 今年1月26日の川崎記念当日が、ビービートルネードの誘導馬としてのお披露目となりました。川崎記念は自身も4年前に出走して5着に入り、南関東ラストランとなった思い出の舞台です。

 競走馬時代はいかに速く走るかを日々教え込まれますが、第二のお仕事は正反対のこと。乗馬クラブの関係者によると、馬場ではかなり元気がいいので、この日に向けて毎日じっくりなだめながら調教を積んできたそうです。

 馬場以外ではおとなしいそうですが、川崎競馬場に到着した際は、気合い乗りがグンと良くなったそう。ここに着いたら速く走らなくてはいけないということを覚えていたのかもしれません。

 しかし、お仕事中は後輩たちを誘導しながら、走りたいという気持ちをグッと抑えているかのようにも見えました。またこういう形で川崎競馬場に帰ってきてくれたことと、今のお仕事を一生懸命行う姿に胸を打ちました。

 多くのファンの方々も、今の勇姿をしっかりカメラに収めていました。「余生を過ごす場所ができて本当に良かった」と愛馬をなでながら目を細めていた武井調教師。

 川崎競馬場の誘導馬と言えば、『コスプレ誘導馬』という異名を持ち、季節に合わせて華やかないでたちで登場することでも人気を集めています。ビービートルネードも最初からスムーズに飾り付けをできたそうで、資質があったのかもしれません。

 現在は競技会に出場したり、日々の調教などで忙しい生活を送っているようです。川崎競馬場の誘導のお仕事はまた調教を積んでから行う予定で、楽しみに待ちたいと思います。

 第二の馬生をスタートさせている東京ダービー馬ビービートルネードを、これからも応援していきたいですね。まだ8歳、働き盛り……


高橋華代子(たかはしかよこ)
元NHK山形放送局キャスター。
現在は南関東競馬を中心に活動中。

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